冷凍室を開けるとそこは?
俺は見知らぬ極寒地帯に一人ぽつんと立っていた
「何でこんなところにいるの〜!?」
俺、伊藤圭太は、大学1年生だ
大学1年といっても完全に一年間の講義が終わり、春休み中である。
サークルに入っていない俺は、高校まであった春休みの宿題などは無くなってしまったのではっきり言ってとてつもなく暇だった
なのでバイトをほとんど毎日入れてお金を貯めようとしていた
俺はどこにでもある何の変哲も無いただのスーパーで働いている。
普通のスーパーと違うのは毎週日曜日だけ完全に閉まり、絶対に入ってはいけないという社則まであるほどだ
以前は日曜日も営業しており、出入りも自由だったらしいのだが何故出入り禁止になったかは店長や社員さんも知らないらしい
自分で入ったのだが実際、すごく違和感がある職場であるのでやめようかなと思ったのだが時給も良く、店長の性格もとても優しい感じだったのでやめたいという気持ちは無くなっていて気づけば2月の上旬まで続けていた
そんな訳で2月に入って春休みになったので月曜日から土曜までシフトを入れ、お金を貯めらために働いていた
そんなある土曜日、俺は、店長にお疲れ様を言い、帰っていた時であった
「やべ!!携帯と財布忘れた!!」
俺は忘れ物に気づくがすでに遅し
もうスーパーは閉店する時刻であった
「明日は奏太とテーマパークに行く約束をしていたのに…明日、ダメ元で店に行ってみるか」
俺は、急いで家に帰り、友達の奏太に家電をして少し出発時刻を遅めに約束してもらい、朝早くに店に行ってみた
すると、何故かいつもはしまってあるはずの店の扉が僅かに空いていることに気づいた
「ラッキー!」などと思い、扉を開け、休憩室の自分のボックスの中から携帯と財布を取り出し帰ろうと思い、階段を降りたところで違和感を感じた
何故か冷凍室が光っていたのだ!
早く帰ってテーマパークへ行きたいという感情よりも何故冷凍室が光っているかの方が気になって仕方がなく、俺は野菜や日配品が入っている扉を開いた
そうすると誰かに押されるように中に入ってしまったのだ
この時、何故入ってしまったのかわからないが入りたいという欲求が抑えられなかった
すると、冷凍室の中に広がっていたのはなんと…
全く知らない世界の極寒地帯であった
そして冒頭に戻る
俺はまだ状況を理解できずにいた
「ここはどこ?私は誰?」
お決まりの記憶喪失ネタを言ったがそこに心配してくれる人やツッコミを入れる人などはいない
ただあるのは静寂と吹雪の風の音だけであった
「とにかく元のところは戻らないと」と思い、後ろにあった扉を見つけようとするが一向に見つかる気配がない
「え?扉さんは俺とかくれんぼがしたいのかな?」
なんて馬鹿な事を言ってる場合ではない
早く出口を探さないと
そんな事を思いながら、雪山の中を凍死しそうになりながらも歩いていると小さな影が一つ見えた
俺は人がいる!と思い、
「おーい!ヘルプミー!!助けてくれー!!」
と大きな声で言った
すると、小さな影だけ思っていたものは近づくにつれて、どんどん大きくなり、人間かと思っていたシルエットも全く違い、ゴツゴツした皮膚であった
「えっえーーーーーー!!ど、ど、ドラゴン?」
俺はドラゴンという生き物には会ったことはないがどっからどうみても地球には存在しない生き物であった
「ガァーー!!」
ドラゴンと思わしき生き物は飛びながら近づいてきて、俺の頭上で止まった
「デスヨネーキヅイテマスヨネー」
俺は一目散に走り出した
しかしドラゴンと思わしき生き物は飛んでいるので全く走る意味が無く、簡単に追いつかれてしまう
そして、その生き物は俺に向かってでっかい火の玉を吐こうとしていた
「ギャーーーオーー!!」
咆哮を放った後に火の玉を生成し始めたので俺は恐怖で足がすくみ、身動きが全く取れない状況であった
火の玉が放たれ、もうダメだと思った時、どこからとも無く、人の声が聞こえた
「コキュートス!!!!」
その瞬間ドラゴンと思わしき生き物はというかドラゴンは、一気に凍りついてしまった。
「え!?何今の??」
俺が呆然としているところを御構い無しにその人は話しかけてきた
「大丈夫かい?何でこんなところに人間がいるのじゃ?」
極普通のどこにでもいそうなおばさんがそこに立っていた