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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
3章 日々是修行(49話~107話)
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仕組まれた街中での戦闘

ここまでのあらすじ


買い物しようとまちまで・・出かけた時にコウは貴族が平民を一方的に攻撃する状況に出くわした。

何とかその平民を助けるべく、コウは師匠の指示を待たずに飛び出す。


素早く型を組むために相手との距離を少しでも埋めようと手を伸ばして魔法を使ったこともあり、俺が邪魔したことがさすがに気づかれてしまう。

やってしまったのは俺の責任なので、今更後ろを振り返って師匠に助けを求めることはできない。


そう思いながら、俺は片膝を地に着きつつその貴族を見上げる。相手が国王でもない限り見上げるくらいは許される・・だろう。

俺の態度を見てその貴族は平民には興味がなくなったのか、俺のほうへ向かって真っ直ぐ歩いてきた。



◆◇◆◇◆◇



クエスはコウが駆け出して行ったのを止めることなく、黙ってその場でコウの行動を見ているだけだった。

コウの心理を時々こっそり観察していたクエスは、コウの様子を見続けながら思う。


(1度目は我慢できたようだけど、ちょっと押しただけで突っ込んで行くとは。あまりいい傾向とは言えないわね)

少し困った様子を見せつつもクエスは動かない。その後、コウがどう動くのかを観察しながら時折コウの心情をうかがうことにした。



一方広場の反対側の建物の1階のお店で軽く変装しコウの行動を観察しているボサツも、コウが飛び出していったのを見ていた。


「ここまでは私たちの予想通りですね。問題はここからのコウの行動です」


今のところは完全に部外者を決め込んで、ボサツはただ様子を見守っていた。



ボルティスもまたクエスとボサツから離れた建物の3階からコウの動きを観察する。

この部屋は、このエリアではやや高級な食事処だが今は国王権限で本日は貸し切り、関係者以外は近づけない場所になっていた。


「教育不足か・・それとも」


ボルティスのつぶやきに横にいる親衛隊長のメグロは低い声で

「殺害に至ると判断したのやもしれません」とだけ呟く。


「かもしれんな」

視線を変えずにボルティスはそう答えた。



その頃、コウは平民を一方的に攻撃していた貴族の男と対峙していた。


「おい、そこのお前。邪魔をするな。俺とあいつとの問題だ」


平民の男に蹴りを入れそこなった貴族の男ルトスが、コウに対し邪魔そうなものを見る目をしながら怒鳴る。


一見するだけでは気付きにくいが、ルトスは豪華な上着で胸部に薄手の防具を着こんでいるのを隠している。

コウはまずい相手に喧嘩を売ってしまったかと思いながらも、低姿勢を続けながらルトスに返答した。


「邪魔のつもりはありませんでした。お詫びいたします。ですが、先ほどの蹴りの威力ではその男は死んでしまいかねません。さすがに死亡させては問題になると思ったのです」


「どこの誰かわからんやつに、この俺が指摘を受ける筋合いは無い」


そう言うと、その貴族は手元で型を作り出す。それは<光一閃>の型だ。

放たれた場合、今ここでコウが避けてしまったら確実に周りに被害が出るだろう。


それを理解したのか、コウはその一撃を防ぎきるために<水泡の盾>を使う。

水の盾系統の中でも更に光に対して効率のいい防御魔法だ。


ルトスの放った一直線の光は、コウの目の前にある<水泡の盾>を貫通できずに消えてしまう。

コウはその後も必死にルトスを説得するものの、先ほどの魔法を簡単に止められた事を侮辱と受け取られたのか、ルトスは怒りを明確にコウへ向けた。


だがそれをコウはそれをチャンスと考えた。

怒りを向けられた隙を利用し、コウは離れた場所にいる先ほど殴られた平民を<癒しの水>で少し回復させる。


それに気づいた平民はコウを見るが、コウは平民を見ずに目の前のルトスに見えないように後ろに手をまわしながら、離れるように合図した。

それを見た平民は急いでその場を離れた。




コウが平民を回復させる少し前、コウがルトスの前に飛び出したのを離れた場所から観察していたボサツは、ルトスに念話で指示を出す。

(ルトス、<光一閃>を彼に対して7割ほどの力で使ってください。それ以降は様子見ながら攻撃を)


ルトスに指示を出し終えると、ボサツはコウの動きに視線を戻す。

上手く攻撃を受け止めたコウは、ルトスの死角から平民に逃げるように指示をしている。


それを見てボサツは少し驚いた。ここ一月ずいぶんクエスにしごかれていたようだったが、どうやらその成果はあったようだ。


「コウ、なかなかの動きじゃないですか」

その様子を見ながら感心してボサツは嬉しそうに呟く。


が、すぐに厳しい表情に戻ると

「さて、後はここからどうするかが見物です」と言ってカップに入ったお茶を口に付けた。



一方のボルティスも一連のコウの行動を見て少し感心したように話し出した。


「確かクエスは言っていたな、まともに育てられないので弟子は取れないと」


「ええ、確かボルティス様に依頼された時もそう言って逃げていた記憶があります」


「の割にはずいぶん優秀な弟子を持っているように見えるな、メグロ」


「確かにそのようですね。ですが、あの向こう見ずな乱入もクエス様の弟子らしいかと」

メグロの指摘にボルティスの口元が緩む。


「ふっ、そうだな。あれはあれでまともとは言えないか。困ったものだな」

そういうとボルティスは視線をコウとルトスの2人に戻した。




怒っているルトスはさらに攻撃魔法を繰り出してくる。

周囲に魔力を展開して、斜め後ろで型を作り始めた。


「あの型は・・4光折か」


コウはクエス師匠との実践訓練で慣れていたこともあり、即座に<水の強化盾>を1つ、2つ、3つと作りルトスの攻撃に備える。

4本の光線のうち、2本は時間差でほぼ同じ場所を狙っていたので。コウは1つの強化盾で2本の光線を何とか防ぎきれた。


いつも訓練しているクエスの手加減の<4光折>よりも威力が低かった事もあり、何とか防ぎ切った感じだ。


一旦攻撃を防ぎ切ったところで、コウは再びルトスをこれ以上ここで戦わないように説得する。


「落ち着いてください。私に非がある部分は謝罪しますが、一旦戦闘を収めてもらえませんか。とにかくここでの戦闘は周りに被害が出かねません」

「黙れ!俺を馬鹿にしてお前は何者だ」


コウはあくまで直立することなく柔軟に防御できるよう、やや低姿勢を保ちながらルトスへ説得を続けるが

ルトスはその説得に耳を貸す様子はなかった。


こういう状況だが、コウは自らを何者かを名乗ってはいない。

コウはクエスの制止を振り切って飛び出したので、ここで名乗ってしまえば師匠であるクエスに迷惑をかける恐れがあると考えていたからだ。


結局コウが名乗らない事もあり、質問を無視されたルトスは更に怒りが増したように攻撃を続ける。




その状況をコウの後ろで見続けているクエスは、少し深刻な表情をしていた。

(そう、ここで私のことを気にしているの・・はぁ、困ったものね・・)

それでもクエスは動かずに、コウがどうするのかを観察し続ける。




ルトスが周囲に作り出した型により<輝きの欠片>が複数来ると判別し、コウは大きめの<水の盾>を3枚展開して5発の尖った光の塊を防ぐ。


全て受け止めるものの、2枚の<水の盾>が割られてコウは一瞬足元をふらつかせるが、すぐに踏ん張って体勢を立て直しルトスを見据えて、彼の動きに集中する。


ルトスからの攻撃を回避すれば、地面にきれいに張られた石やこの広間の色々な施設、もしくは周囲で様子をうかがう平民に被害が及ぶかもしれないとコウは考えていた。

だからこそコウには受け止めるという選択肢しかなかった。


コウは少しだけ回避した攻撃を師匠が受け止めれくれないだろうかと期待するが、自分がここにいるのは師匠の制止を振り切った結果なのを自覚し

この状況で師匠のクエスを頼るのはダメだと結論付けてしまう。


コウはクエスとの実践練習の時の言葉を思い出す。


「たとえ駄目だと言われたことでも、コウがそうしたいと思ったら行動していいと私は思うわ。ただしその時は自分で責任をもって成し遂げなさい。

 動いたのに結局他人を頼るようでは駄目よ。そうなるなら最初から動かないこと、いいわね」


コウは今回一件、上手く収められると思って動いたわけじゃなかった。

その為コウは自分の責任で、せめてこの人攻撃だけは止め続けて、周囲に迷惑をかけないように説得しなければ、とだけ考え続けていた。




クエスは後ろでそんなコウの様子を見ながら、少し腹を立てる。


「でも、どうしようもない状況なら迷わず頼れる人を頼りなさい。失敗は誰でもするものよ。大事なのは失敗しても傷口を大きく広げないこと」


そう言ったじゃない!と。

(これは私が思っていた以上に危険な方に行きやすいタイプかもしれないわね・・)

そう思い、ため息をつきながらクエスはコウから少し視線を逸らす。



一方のボサツは別のことを考えていた。

「うーん、思った以上にコウは頑固なのでしょうか。意地があることは決して悪いことではないですが」


そういいながらクッキーをつまみつつもコウから視線を離さない。

だがその後ろで店内の他の客と従業員たちは、コウとルトスの争いにかなりの警戒感をもって避難の体制を取りつつ様子を見守っていた。



こちらは3階からコウたちを見下ろすボルティスとメグロ。

ほほぅ、と言わんばかりに左手を顎に当てつつボルティスはメグロに問いかける。


「この間連れてきた時は、確か大したことのない魔法使いだとクエスは言っていたな」


「クエス様の裏切りで騒いでいた時ですね。確かにそう言っていたのを覚えております」

メグロは視線をコウに集中させたまま、ボルティスの問いに答えた。


「ならば、あれが大したことのないものの動きというわけか」

「クエス様の中では、ということかもしれません」


ボルティスは不満そうに、ふんっ、と息を出すと

「そうかもしれんな」

そう言って再びコウの動きに目を向けた。




コウがクエスの話を思い出していると、その隙をついてかルトスがこっちに走り出し距離を詰めてくる。

どういう手で来るかわからないがとにかく防ぐしかないので、水の魔力と固定していない魔核を周囲に散らしつつ柔軟な防御態勢をとる。


が、構わんと言わんばかりに、ルトスはコウが展開した魔力の中に突っ込んできて光の魔力を左足に集める。

コウは魔法を使った一撃に気付く。あれは物理的な一撃を魔力によって威力を上乗せするタイプの<光の強化>だ。


<光の強化>により左足を強化して、ルトスは回し蹴りを繰り出してきた。


魔法で強化された物理攻撃はまともに受けると危険と判断する。

回し蹴りがあまり早くなかったこともあり、コウは素早く相手の一撃の到達点と思われる場所の手前に<水包>を使って大きな水の塊を作り出す。


ルトスは構わずそれを魔力任せに貫いてコウに蹴りを当てようとするが、ルトスの左足が水に入った瞬間<光の強化>はみるみる相殺され

<水包>による水の流れによりルトスの蹴りの威力も潰してしまう。


ルトスは左足を水の塊の中に突っ込んだ状態で棒立ちになってしまい、すぐに<水包>が消えるとバランスを崩して倒れてしまう。


本来はここで追撃を入れるチャンスだが、コウにとってルトスは準貴族だとしても成りたての自分よりは偉い存在、しかもこの都市にいるということは上級貴族の貴族である可能性もある。

それをむやみに攻撃すればただでは済まない。その為防御態勢を取りつつも、追撃は行わず説得を続ける。


「お願いです、これ以上の戦闘は止めて貰えませんか。これ以上戦うと兵士が来て騒ぎが大きくなりかねません」


「ふん、ふざけたことを言う。さんざん俺の攻撃を受け止めておいて余裕のつもりか」


ルトスのセリフを聞いて、コウは思わず自分の今までの行動が失敗したと思った。

さっきの蹴りを魔力集中でガードしつつもくらっていれば、相手も少しは溜飲を下げたかもしれない。


が、残念なことにコウは見事に防いで相手を転倒させ、追撃もせず辱めてしまったのだ。

これではルトスが矛を収めないのも無理はない。




「はぁ、コウはまだ説得を続けますか。コウがここまで考えを曲げないとは思いませんでした。仕方ありません」

そうつぶやくとボサツは温かい茶を飲み干して、カップを机の上に置き念話を飛ばす。


(ルトス、予定にあった最終段階に移行してください。威力は8割未満でお願いします)

(大丈夫なのですか、ボサツ様、8割でも収束砲はかなりの威力なのですが)


(クエスもいるので大丈夫でしょう。お願いします)

(うーん・・・了解しました)


念話を終え、ボサツはため息をつく。

「後は状況をより詳しく理解しているくーちゃんが、どこで動き出すかですね・・」

そう呟くとその後の結果を見ることなく席を立ち、料金を支払ってすぐに外へと向かった。




コウは何とかルトスの怒りがおさまるように、思考をめぐらす。


多少負傷することにはなるだろうけれど次は攻撃受けて相手を少しすっきりさせて、負けを認め詫びる形で終結にもっていこうか・・とコウが思っていると

ルトスは立ち上がり黙ってこっちを見ている。


何だ、いったい何をするんだと思っているとルトスが急に笑い出し多量の魔力を放出した。

魔力量から言って、どう考えても街中でやってはいけない高威力の魔法を使うつもりだ。


そう思ったコウは即座にルトスの作り出す型を、完成前に判別しようと確認する。

魔核の数が・・多い。30個以上ある。ひょっとしてあれは・・と驚いてコウは冷や汗をかく。


それは、その型がこの間コウの師匠であるクエスが使った<収束砲>に限りなく似ていたからだ。


あれはやばい。コウはかなり危険な状況だと判断し、どうやって対応すべきか頭を巡らせる。

コウはついこの間クエスの<収束砲>を受けようとして、十分な時間をかけて全力の水属性ガードをやったのに易々と貫かれて大ダメージを負っていた。


相手の実力の底を判断できてない今のコウにとっては、ルトスの放つ<収束砲>は師匠のよりは威力が下がっていると希望的観測で動くしかない。

その上、この状況から回避ができない以上、コウには受け止める以外の選択肢はなかった。


ルトスが型の配置にそこそこ手間取っているのを見て、コウは<水球>等の小威力の魔法を使って魔法詠唱を妨害できるかもと一旦思うが

貴族様相手に攻撃したとなるとそれはそれで問題が大きくなると思い断念する。


コウはかなり危険だと思いつつも、師匠に迷惑だけはと、その思いを強く持ち、腹をくくって意地でも受け止められるように対策を開始した。


コウは直ぐに2枚の<水泡の盾>を正面に展開すべく型を作る。

同時に多量の魔力を放出し自分の正面に集めて集めの魔力障壁とし全力で防ぐ体制をとった。


コウが放出した大量の魔力はコウの前方に集まりつつも少しばらけていて、焦りのせいか思ったよりもうまく扱えていなかった。

が、そんなことはもう気にすべき状況ではない。


ルトスがにやりと笑ったのを見て、コウは2枚の盾を型に魔力を満たし完成させる。この時点でコウはやけくそになっていた。


「来い、撃ってみやがれ」

「いい度胸だな、貴様!」


放たれた<収束砲>はコウの作った2枚の<水泡の盾>を貫き、俺の周囲の魔力をも貫いて胸部を守っている両腕に達する。

腕にも水の魔力を集中させるものの、コウの体は地面を滑りながら後ろに押され続ける。


と、ここでコウは周囲に出した魔力を使い、コウの後ろに<水包>で大きめの水の塊を作りだした。

ルトスの魔法攻撃の相殺を図りつつも、コウ自身がこれ以上後ろに下がらないためのクッションだった。


そのまま滑りながらコウは水の中に押し込められるが、<水包>の効果で水の塊の真ん中まで来たあたりで背中から水がコウを押し、前後の圧力に潰されそうになりながらもコウは何とか踏ん張れた。


ようやくルトスが放った<収束砲>が消え、受け止めたコウは両腕の前腕から血を流しつつその場で地面に両手と両膝をつく。

コウの周囲に生成した<水包>も相手の魔法と相殺しきったのかほとんど消え去っていた。



その様子を見たクエスはため息をつく。

「結局私を頼らなかったか。ここまで強情とはね・・」


そういうとクエスは即座に<輝く保護布>を使いコウの両腕の傷からの出血を止めると、コウの頭をゴンッと殴って、コウの前に出てルトスに話しかける。


「私の従者が迷惑をかけたようね、そちらには怪我はないかしら?」

ルトスはクエスを見て驚く。


この状況で後ろから一光であり王族のクエスが出来れば驚くのは当然だ。

だが、もちろん、ルトスのこの驚きは演技だった。

クエスが出てきたことでこの一連のイベントは終わりだとルトスも悟り、後片付けに入りだす。


「これはクエス様の従者とは知らず、こちらも無礼を働きました。こちらは傷一つありません。むしろこちらが傷つけたことを謝罪いたします」


「別にいいわよ、今回は勝手に動いたこの子が悪いわ。これくらいの傷で済んだのなら、こっちも特に不満はないから」

「心遣い、ありがとうございます」


「いいわよ、別に。それよりもずいぶん目立ったのでややこしくなる前に退散させてもらうわよ。互いに問題ないのなら、今回はなかったことにでいいわよね?」


「も、もちろんです。それでは失礼します」

そう言ってルトスは足早にこの広場から立ち去る。


コウは呆然とその様子を見ていたので、クエスはコウに近づき「行くわよ」とだけ告げて歩きだした。

コウも我に返ったようで、慌ててローブを深めにかぶりクエスの後を付いて行き、広間を立ち去った。




一連のクエスたちによるテストが終わったのを見届けたボルティスは側にいるメグロに尋ねる。

「お前の目には・・あの者、どう映った?」


メグロはしばらく考え、そしてボルティスをまっすぐに見て答える。

「少なくとも師に対しては忠実かと。至らぬ点はありますが、良い部下になると思います」


「なるほど、確かにな」

そういうとボルティスは立ち上がり帰ろうと窓の反対側を向く。


「だが、そうだな・・師がいい意味でも悪い意味でも目立つ奴だ。あの組み合わせはあまりいいとは思えんな」

そう言ってボルティスはそれ以上は何も言わないメグロを伴って城へと戻っていった。



離れて観察していたボサツは、クエスが出てきたところで終わりだと判断しルトスが立ち去る予定の方向へ先回りする。

広間から入った路地裏を進むルトスの前に、ボサツはスッと現れてねぎらいの言葉をかけた。


「お疲れ様でした。手間をかけさせてしまいましたね、ルトス」


「いえ、私は一切反撃されなかったので楽というか、むしろ少し申し訳なかった気分です」

ルトスにとって、今回のことは少々後味が悪い結果になってしまった。


ルトスもコウから反撃を受けることくらい想定していたので、ちょくちょく防御に気をまわしてはいた。

だが、コウからの一切の反撃はなかった。それも普通に考えれば少々気味が悪いくらいに。


たとえ身分の差があるとはいえ、大枠のカテゴリーで言えばコウもルトスも貴族に分類される。

上級の貴族と下級の準貴ではかなりの開きがあるとはいえ、ここまで反撃せずに説得を続ければ、コウが少々反撃しても罪には問われることはまずない。


礼儀では貴族内でも階級の差は明確だが、こと戦闘や決闘などのごたごたとなれば、貴族内の格差は大きな影響を及ぼすことはない。


「彼が必死に説得するのには驚きました。最後は少々心が痛みましたよ・・」


「それは心苦しいことをさせてしまいました。ですがこれで、存在感のない第6王子というレッテルは剥がれたのではないですか?」

「そ、そんなものでしょうか・・」


「では、私はこれで。この後は弟子のフォローで大変ですので」

そういうとボサツはすぐにその場を立ち去る。


いまいちに納得いかない表情を浮かべつつも、ルトスもすぐにその場を離れた。


更新が遅くなりましたが、今回も読んでいただきありがとうございます。


ただでさえ素人なのに、ごちゃごちゃした視点切り替えで読みにくくなっていたらすみません。

戦闘というほどの場面ではなかったですが、久々それっぽいシーンを書いた気がします。

しかし・・ブックマークが増えてびっくりしています。拙いですが、更新努力していきます(汗


そして魔法紹介があると投降に時間がかかることが判明。いや、当たり前か・・


魔法紹介

<輝きの欠片>光:10cmほどの少し尖った光の塊を相手にぶつける魔法。初級魔法だが相手に深めに刺さりやすくダメージが取りやすい。

<光の強化>光:自分の肉体の一部に付与し、物理的な一撃の威力を増す事ができる。

<水泡の盾>水:共通魔法の盾よりも対光に特化した盾を生み出す魔法。収束した光りをかなり散らすのが特徴。

<水包>水:対象を包む水を生成する。物理的な力に反発する水の塊。この水の塊を貫通しようとする物質を水の中で押しとどめる力が働く。

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― 新着の感想 ―
[一言] 相手を見ず喧嘩売るとかアホじゃあるまいし(笑)
2021/10/07 02:40 退会済み
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