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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
3章 日々是修行(49話~107話)
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謀反の疑惑は晴れたが・・

ここまでのあらすじ


謀反の疑いをもたれたクエスはボサツと共に、この連合のトップ達に説明するために会議に臨む。


7人の当主による激しい雑談が落ち着いて数分後、扉が開き女王が会議室に入ってきた。


「皆いるようね。今日は集まってもらって助かるわ。クエス本人も交えて今から連合内で出回っているクエスの謀反話を打ち消せるよう質疑応答を行うわ。

 私とバカス、そしてボルティスは直接話を聞いているから可能ならフォローも入れる。もちろん本人を交えての質疑応答も行うわよ」


女王は毅然とした態度でこの場をまとめる。

上級貴族と女王はそこまで地位としての差はないが、一般市民からの敬意では圧倒的な差がある。

そのため当主たちも女王に対してはあまり無礼な態度はとらないことにしている。


女王の話が止まり当主たちは扉の方を見るが、女王の入室後にクエスたちが後から入ってくる様子はない。

相変わらずクエスは遅れてくるのか、と思いながらレディは女王に尋ねた。


「女王様、クエスはまた遅れているんですか?」

今回は主役なのに遅れるなよ、と不満を持つレディに女王は別室で待機していることを告げる。


「待機?さすがに当人が来ないと場が始まらないだろう。何で待機なんてさせているんだ?」

バカスはさっさとやろうぜ、とクエスが来るように女王に促す。


「まぁ、待ちなさい。クエスを連れだって入ってきてもよかったんだけど、あなたたちがすぐにクエスと対峙して大事にならないようにと配慮したのよ。

 だけどここに来たら様子がずいぶん予想と違うわね。何かあったのかしら?」


「なぁに、クエスがいかに信用できる奴か俺がご高説を垂れてやったのさ」


バカスはやや自虐風に先ほど発言に触れる。

自虐風なのはさっきの解説に自分でやや恥ずかしいところがあったと思っているからだった。


当主の何名かはそれを聞いて「さっきの説明はなかなかよかったぞ」と少しにやついている。

女王は会議室の雰囲気が予想していたものと随分違っていて訳が分からなかったが、荒れた雰囲気よりはましかと思い直ぐにクエスを呼ぶことにした。




会議室へどうぞ、とクエスたちを呼びに来た近衛兵にクエスは軽く答えて立ち上がった。


「クエス、けんか腰にならないでくださいね」


ボサツは少し心配そうな表情でクエスの顔を見る。

それに対してクエスはさすがに少し呆れる。


「ボサツ、さすがにそんなことはしないわよ。一応謝罪する立場なのはわきまえているわ」


クエスは今回の状況は一昨日までまともに知らなかったが、さすがに今は十分に状況を理解している。

もちろん、これをこのまま放置しておくことは更に危険だということも。


変に話をこじれさせると、痛くない腹を探られるだけでは済まなくなる。

コウの件とエリスのことを詳しく知られたら必ず横やりを入れられたり、駆け引きに使われかねないとクエスは強く警戒している。


「さて、あとは順調にいくことを祈りたいわ」

「です、ね」


そう言いながらクエスとボサツは会議室へ向かった。



近衛兵達が両側から戸を開ける。


「失礼します」クエスは入口で軽く女王に頭を下げると名乗ることなく入って来る。

ボサツは付き添いという感じで軽く頭を下げながらクエスの後に続き、クエスと同じく女王の右後ろに並ぶ。


ボサツがいることに少し驚いたのか、ボサツが所属する一門の当主リリスは「えっ」という表情をするが

ボサツは何事もないかのように、軽く会釈をしただけで視線を全体に戻した。


クエスは女王に視線を向け話し始めていいか確認をする。

女王は真剣な顔つきで軽くうなづく。

それを見てクエスは正面を見据えて、しっかりとした様子で話し始めた。


「この度は意図的ではないものの、皆様に混乱とご迷惑を引き起こし申し訳ありません。

 私には謀反の意図は全くなく、これからもこの光の連合にこの身で尽くしていくことを改めて誓います」


この場で2名ほどはやや懐疑的な表情をしているものの、おおむねは受け入れられていることを各当主の表情から判断し

結構なメンバーが自分を疑っていると思っていたクエスは、予想がずれて少し戸惑った。


ボサツもほぼ同様の感想だったが、一番厄介だと踏んでいたルルーは露骨に不満そうな表情をしていたので2人共警戒を緩めない。


クエスの発言が終わると一門の当主であるボルティスが立ち上がる。

「改めてこの連合へ力を尽くしてくれることをクエス殿に誓ってもらった。彼女の言葉に嘘偽りがないことを私が保証しよう」


「私も保証します」

「俺もそこは間違いないと保証するぜ」


続いて女王とバカスも保証する。その流れを見て、レディはもういいやと言わんばかりに椅子の背もたれに体を預けた。



このクエスの件において彼女の誓いで問題なしとするかどうかは、現状は女王を含めた3名が賛成、一見中立のほぼ賛成派が3名ともなれば、もはや決を採るまでもなく勝敗は明らかだ。


そして当たり前だが三光のボサツも賛成側。

これにケンカを売ったところでうまみは0だとレディは思ったのだ。


そんな雰囲気のまま、クエスに対して今回の状況を詳しく聞く為の質問に入る。

自分たちの一門に詳しく説明するために事の詳細を聞く大事な時間だ。


と言っても上が「問題ないからこれ以上騒ぐな」と当主が言えば

それに逆らってでも騒ぐ貴族などほぼいはしないのだが。


さらにクエスは一光であり、転移門を扱うアイリーシア商会のトップ。

納得しないと騒ぎ立てたところで孤立し一人損になるだろう。


女王の一言で質問は聞きたい側が軽く挙手をして座ったまま楽な雰囲気で行うこととなった。

ほぼ解決という雰囲気で、これ以上熱くなりすぎないための女王の配慮だろう。


さらにクエスが内々に熱くなるタイプで限界点を超えるとキレ出すタイプだと多くの者が考えていることから

この落ち着いた質問の形式にも誰も異を唱えなかった。


まずはボルティスが質問に入る。これは他の誰が見てもやらせだろうとわかるが、この場はすでに今回の一件は問題なしという結論へ進んでいると皆が理解しているので

誰も不満や横やりは入れようとしなかった。


「クエス、他からの報告によると君が様々な魔道具や大量の魔石を買い込んでいたことで、疑惑を生む原因の一つとなった。使用目的を明かしてくれないか」


「一度皆様には報告した件となりますが、妹のエリスを探すために特殊な魔道具を作成、運用するために大量の魔石が必要でした。そのために購入したものです」


クエスはそういうとアイテムボックスから高さ2m弱、長さは5mもある見たこともない大きく複雑な装置を取り出し目の前に置いた。


左右に魔石を入れる部分があり、中心には大きな銀色の球体が浮いている。

球体の周辺には球体を制御するための物と思われる、先端が尖った六方晶の銀灰色の金属のようなものが左右から10本ずつ球体を囲んでいる。


見たことない巨大な装置を目の前に出されて当主たちも驚いていた。

どういう魔道具なのかはさっぱりわからないが、銀灰色の物が宙属性関連の物であることは予想はつく。


当主たちはその装置を観察したり、逆にクエスの様子を観察したり、魔道具を使うことなく大きな装置を取り出したクエスの宙属性の能力に関心を持ったりと様々な反応だった。

普段は面倒ごとを避け黙って様子を見ていることが多いメルティアがその装置を見て、軽くクエスに分かるように挙手して質問の合図をする。


「クエス、この装置は何をするもの?」

「妹を探すときに使ったものです。予算の5割以上これと、さらにこれ用の補助制御装置を作るのに使っていましたので参考になればと持ってきました」


「へぇ・・・ありがとう」

そう言うとメルティアは再びその装置を観察しだす。これ以上は質問はしないようだった。


「で、ここまでやって肝心の妹さんは見つかったのかな?」


一見さわやかな、でもどこか企みを感じさせる笑みを浮かべながらもシザーズはクエスに尋ねる。


見つかったかどうかなどクエスの謀反疑惑とは何の関係もないが、あの優秀な姉妹の次女が死んでおらずアイリーシア家に復帰するとなれば戦力はさらに増大する。

そこは色んな意味で把握しておきたかったのだ。


「今はまだ途中の段階ですので正確な回答はできません。強いて言えば1歩進んだというところです」


煮え切らない答えにシザーズは少し残念そうにするが、クエスに対して妹のエリスのことをあれこれとほじくるのはNG行為だと全当主が認識している。

そのため回答が得られただけでもましか、とシザーズはそれ以上は踏み込まなかった。


が、このクエスに慮ったようなこの場の雰囲気にイライラしていたルルーが一歩踏み込む。


「もう少し正確な回答が欲しいわ、少なくともあなたは疑われている立場なのよ。ごまかしの答えを続けるようなら嫌疑は深まる一方じゃない?」

ルルーはクエスをにらみつけて質問するがクエスは動揺することなく答える。


「妹を探す段階がどこまで来ているかでこの連合への忠誠が変わることはありません。なのでお答えしません」


「だけど今回そのせいであなたは疑われた。だからも少しはっきりさせておいた方がよくないって言ってるんだけど」


「その場合は再びこのような場で説明しますので」

「あんた!」


淡々と質問をかわすクエスに頭にきたルルーは立ち上がろうとしたが、側にいた教育係のエリオスによってそれは止められた。


それ以上は上級貴族の当主として余裕にも欠け、悪評のみが広がると説得されてルルーは仕方なく追及の手を止める。

その様子を見た他の当主たちは意外にも教育係の言うことは聞くのだなと感心していた。


次に女王が質問する。


「クエス、私もその段階は気になるわ。それによっては今回みたいに会議などへの長期の欠席が続くのでしょう。大丈夫とは思うけど急に闇と大きな戦争が勃発するとあなたがいないのは痛いわ」


「そういった緊急事態でしたらボサツとは常に連絡を取れるようにしていますので数日内には戻ってこれます」


クエス答えにボサツが所属する一門の当主リリスが発言する。


「なら、その時は私からボサツに至急連絡を入れましょう。任せてください。いいでしょ、ボサツ」

「はい、問題ありません」

ボサツは静かに頭を下げ、全く問題ないと了承した。


これ以上は特に聞くこともないという雰囲気になった時、バカスが弟子の件で質問をしてきた。

バカスもクエスにとってはあまり触れてほしくない件だとわかってはいたが、やや不満の残る当主がいるのでもう少し軋轢を減らしておこうと動くことにしたのだ。


「それで、今回こんな騒ぎにはなったが他に成果はなかったのか?何か副次的に得られたものでも構わんぞ」


クエスはすぐに弟子の件を話せということを理解した。

一瞬話したくはなかったが仕方がないと思い間をおいて、バカスの問いに答える。


「成果と言えるとは到底思えませんが、今回探索の途中で一人の人物を保護しました。どうしてもその場に置いておけないと感じ、今は私の仮弟子として側に置いています」


クエスの発言にその場の当主たちは少し騒がしくなる。

クエスは一光であり名実ともに優秀な魔法使いであるため、うちの子を弟子として指導してほしいと複数の上級貴族がクエスにお願いした過去がある。


だがクエスは「弟子は面倒だし、私は指導に向かない」と全てを断り続けていたのだ。

それは貴族間ではすっかり有名になっていて、最近は誰もクエスに弟子の依頼を行っていなかった。


そんな状況のクエスが弟子を取ったというのだから、心変わりしたのではないかと、自分の子を弟子にしてくれるんじゃないかと当主たちの間で期待が高まる。


だがクエスはその雰囲気をすぐに察知して、その期待をバッサリと叩き折る。

「あくまで私のせいでその場に置いておけない状況になったため、保護しているだけです。私はこれからも弟子を取るつもりはありません」


クエスの一言に「ちっ」と悔しそうな表情を見せた当主が数名いた。クエスもさすがに勘弁してくれという表情だ。

そこへシザーズが軽く手を上げる。クエスが小さくうなずくと早速質問をし始める。


「その弟子とやらは優秀なのかい?弟子を取らないことで有名なクエスの初弟子だ。ぜひ披露していただきたいねぇ」


「アイリーシア家に入れましたが、まだ礼節も知らぬ準貴族です。この場で披露するほどの身分でもないですし、その価値もないと今は考えています。

 仮弟子ではありますが、その弟子の為にも詳細は控えさせてください。今はまだ貴族の駆け引きに巻き込みたくありませんので」


「んー、そうか。残念だが仕方がないね~」

そういうとシザーズはクエスの少し強くなった口調も考慮しあまり突っ込むことなく引き下がる。


その様子を見て他の当主もこれ以上は藪蛇かと考えその話には触れない。

クエスは表情は変えないものの、ほっと一息をつけた。



「これ以上今回の疑いに関して聞くことが無いのなら、以上でこの場を終わりにしたいですが、、どうですか?」

当主たちはほとんどこれ以上は追及しても旨味もないと思い納得する方向で女王の問いかけに肯定する。


だがルルーはかなり不満そうな表情をしており、レディも不満まではいかずともいまいちな表情をしていた。

その様子をバカスが見て、これは使えるなと思い女王の問いに待ったをかける。


「なら最後にいいかな。懸念というほどのものじゃないんだが、クエスのその弟子はいつかはお披露目できるんだよな」

少し意地悪そうな表情でバカスはクエスに問いかける。


「先ほど言ったように、私の疑いと仮弟子とは直接の関係は・・」

「まぁ、それはわかってるぜ。だがな」


そう言ってクエスの反論をさえぎるとバカスはルルーの方を見る。

クエスも何かと思いつられてルルーを見るが、ルルーは気に入らない表情で「何よ?」と一言いうだけだった。


バカスは何をしたいの?とクエスが考えていると1テンポ置いてバカスが話し出す。


「今回の件、クエスが一方的に疑われたものの結果的にはうまく賛成派を増やし圧勝したわけだ」

「はぁ」


クエスは気の抜けた返事をする。が、警戒は緩めない。

バカスがこう言い出すということはもう少し譲歩しろということだろうからだ。


否定したいところだったが、不満な表情を浮かべるルルーにこれ以上ケンカを売るのも得策じゃないと判断し、黙ってバカスの話を聞く。


「ただ圧勝だけでは不満を持っている誰かさんにさらに不満を乗っけちまう。これはあまりいいことじゃないと思うんだが

 で、そこでだ。クエスはどうも嫌がっているが、その仮弟子を時期を見て公表してもらえないかと思うんだよ」


「はぁ?なんでよ?」

ちょっとイラっとしたのだろう、クエスは話し方から丁寧さを捨て怒りを少しあらわにする。


クエスの不満な態度を待っていましたと言わんばかりにバカスは語りだす。


「その不満をクエスが持つことでこっち側も溜飲が下がるというものだ」

「一方的に疑って喧嘩両成敗にされてはこっちがやってられないわ」


食ってかかろうとするクエスの肩をボサツが掴む。

それでも一瞬前に出ようとするが、クエスは我慢して立ち止まる。


「まぁまぁ、落ち着けクエス。そっちから見れば一方的に疑ってるというのはそうだろう。そこを考慮してなんだが。

 その仮弟子が1年後もそのままお前のところで弟子だったら、ルーデンリアの貴族街にしばらく・・そうだな半年ほど住んでもらうというのはどうだ?

 その仮弟子もクエスが保護者となる以上、一応準貴だ。どちらにしても貴族周りの経験をする機会は必要だろう」


もっともらしいことを・・クエスはそう思いながらバカスをにらむ。

だがバカスが言うことも一理ある。


こちらが嫌がることを少しやれば今不満そうな2人の当主も個別に嫌がらせしにくくなるだろう。

さらにコウに貴族としてのそれなりの経験をする場も必要と言えなくはない。

だが、バカスの手のひらで踊るような気がして賛同したくない気持ちもある。


「明確な拒否をする理由もないけど、応じなきゃいけない理由もないわ」

「ふん、なら適当に理由をつけてやろう。その仮弟子が実は凄腕でクエスが上級貴族に対立した時使える駒かもしれん。その駒を極秘裏に手に入れるために実は今回動いていた、と」


クエスは、こいつ何を言っているんだ?といった表情で訝しげにバカスを見る。

だがシザーズやメルティアなどややクエス寄りの中立だった当主は、それは面白い考えだと言わんばかりにバカスに便乗する。


あのクエスの初弟子だ。当主たちも皆、見たくないはずはなかった。

さらにこのままクエスの思い通りに運びそうでイライラしていたルルーは、クエスの不快そうな表情を見て上機嫌になっていた。


その状況を見てクエスはこの場の完全勝利を諦める。明らかに流れを変えられたからだ。

だが同時に不満を持っていそうだった当主らも納得するような流れになったことは確かだった。


ここが妥協点か、バカスにやられたな。

そうクエスは思いつつ、バカスの案におおむね同意することにした。


「はぁ、、わかったわ。うちの仮弟子はそういう類ではないとここでどんなに説明しても無駄でしょうしね。

 だからと言ってここに連れてきたところで非礼を連発すればうちの家にもかかわる問題になる。だから、腹立たしいけどバカスの案を飲むわよ。それでいいでしょ」


もちろんクエスにとってこれは不満のある解決だったが、妥協できる範囲でもあった。

ならば向こうの不満をより解消できるように、あえてより不満な態度をとりつつも同意することにした。


「ルルーとレディもそれでいいか?」

バカスの問いにレディは特に表情も変えず頷き、ルルーもクエスに一杯食わせてやってナイス!と言わんばかりの笑顔で同意した。



その後、各当主は戻って各門下に『今回のクエスの謀反の噂は全くのでたらめであることを確認できた』と通達することが決まり

大きなしこりを残すことなく、この集まりは閉会した。

クエスはボサツになだめられながらもぶつぶつと文句を垂らしながら帰っていった。


会議が終わり静かになったこの場にボルティスとバカス、そして女王が残る。


「ちとやり過ぎじゃないの、バカス」

「私もそう思うと言わせて貰う」


「ふん、あのままだとしこりが残ると思ってやったまでさ。悪い形じゃなかっただろ?」


バカスは感謝しろと言わんばかりだが、ボルティスは仕方がない流れだったと認めつつもやはり不満そうだった。

さらにボルティスは女王が来る前にバカスが話したことを詳しく聞きたかったが、先ほどの上手くクエスを誘導したバカスの巧みさに警戒感を抱き、何も言わずに会議室を出て行った。


その様子を見てバカスは少し残念そうに肩を落とす。

ボルティスはクエスの一門の当主だ。立場上クエスを擁護し守るためにもっと自分に噛みついてくると思っていたからだ。


「あれで・・クエスを守っていけるのかね。まったく」


「あなたを警戒したのでしょう。彼が知っていてあなたが知らないことを漏らしてしまえば、クエスをもっと追い込むことになるわ。それだけは避けたのでしょう」


「ふーん、まぁいいが。しかしこの連合の主戦力は本当に身内に敵を増やすのが上手いな・・」


本当に苦労させられる。そう一人でぼやくかのように愚痴を言い、席を立ってゆっくりと会議室を出ていった。


女王はさっきまで7人の当主が座っていた席を見つめてぼやく。

「なかなか上手くいかないものね。あの子も、当主たちも。本当に頭の痛い問題だわ」

そう言って扉をあけ放ち女王も仕事へ戻っていった。


先の大戦からもう30年ほど経過している。

疲弊しきった連合内の各国も、だいぶ回復してきたと言えるだろう。


だがそれは闇の国にも同じ事が当てはまる。

その証拠に、境界付近で起こる光の闇の小競り合いは10年前よりも増えている。


そんな大戦の足音が近づいている状況でも、一致団結して闇の軍勢に立ち向かえない光の連合の有様に一部の者たちは不安を感じていた。

何か一つのきっかけで闇の攻勢を許すことになりそうな、そんな不安を。

イベント要素のない修行回の裏で進んでいた一連の謀反疑惑はここで解決です。

そして食う寝る修行しかやっていないコウの未来も本人の知らぬところでちょっとだけ方向が決まりました。


いつも読んでくださりありがとうございます。

久しぶりブクマも増えたので、頑張って明日も更新するぞー

評価やブクマ、感想や誤字指摘なんでもお待ちしています。

(すぐに反応できないのは本当にごめんなさい)


編集履歴

19/04/18 アイテムボックス系の設定を変更したため、本文にでのクエスが取り出した装置の大きさを変更。

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