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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
3章 日々是修行(49話~107話)
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疑念を晴らす会議の前に




その夜は師匠との共同作業(言い過ぎ)をちょっと思い出すと少しドキドキしてなかなか寝付けなかったので

いつも寝ているこの大部屋の机の上にそのまま置かれていた魔法書を1冊手に取ってみる。


部屋は少し薄暗かったがまだ本が読めないほどではなかたったので助かった。

暗い中でも目立つ黄色の本を取ってみる。魔法の内容は・・<明かり>どうやら初期魔法みたいだ。

確かに光属性はまだやっていなかったので初期的なものからということだろうか。


型は直線の3点というシンプル過ぎるものだったのでここが暗いこともあって思わずやってみる。

光属性の丸型の魔核を縦に3点並べて繋ぎ・・魔力が満たされて発動させる。


「明かり!」


魔法が発動し微妙な明るさのもやっとした光の球が出来た。これは、成功でいいんだよな?

どうもこの明かりは位置が固定されているようだ。魔法使い定番の明かり魔法は自分の周囲にぷかぷか浮いているイメージがあったがそうすることもできるのだろうか?


何回か作っているうちに魔力核の大きさが3個とも合っていないとかなり明るさが落ちることに気付く。

さらに本を読み進めると自分の周囲に漂わせる方法も書いてあり思わず読みふけってしまった。


流石に色々試すのは明日にするかと思い、自分の作り出した明かりへの魔力を閉じ霧散させ布団に入る。

この調子で練習していたら10個覚えるどころか2,3個夢中になっているうちに師匠たちが帰ってきそうだな

そう思いながら明日を想像しているといつしか寝てしまった。



昨日は色々と緊張することが多く精神的に張りつめていて疲れていたのだろうか

今日は起きると朝になってるなと分かる明るさになっていた。


「いつもよりちょっと長く寝てしまったか・・」


そう思いながら日課になってきた瞑想を外でやろうと思い布団から起き上がるとすでに師匠たちがこの部屋にいた。


「おはよう、コウ」

「おはようございます、コウ」


「お、おはよう、ございます」

俺はいきなり声をかけられて、驚いて少しどもってしまった。


声をかけてくれた師匠たちは朝食の準備をしていたところだった。

相変わらず食材も食器もひょいひょいと宙を動いているが、だいぶ見慣れた光景になってきたのでそう驚きはしない。

異世界に来てもう7日目、俺もだいぶこの世界に馴染んだということなのだろうか。


そのまま俺は布団の上で胡坐をかいで魔力を一定距離に展開。起きてすぐに魔力の感覚を調整する瞑想を始めた。

流石に外ではないので、家の中で邪魔にならない範囲に魔力の展開は留めておいた。


師匠たちは声をかけてこない。むしろ俺が気にしすぎなのかもしれない。

その後10分ほどしたころだろうか。そろそろやめようかと思っていた頃にボサツ師匠から声がかかった。


「コウ、その魔力を素早く光属性に変えてみましょう」

一瞬「えっ?」となったが師匠の指示だし試しにやってみる。


「はい」


その師匠の一言をスタートの合図に光の魔力の感覚を思い出し、それを俺の周囲の魔力に広げる。

放出していた無属性の魔力が徐々に光の魔力に変換され、5秒ほどかかったと思うが全て光の魔力にできた。

このまましばらく維持するのかな?と思って待っていると


「もう霧散していいわよー、さっさと食事にしましょ」

とクエス師匠が指示してきた。あ、そうですか。


もう少しなんか評価があるかと思ったんだけどな・・。もっと素早く変換できると評価上がったかな?

そう思いながら食事が用意されたテーブルに着いた。



「ごめんね、コウ。今日は出来るだけ早く帰って来るから」


「いえ、そんなに気を使わなくても大丈夫です。その間、魔法の習得頑張りますから」


「さすがに昼過ぎには戻れると思いますが、最悪夕方までは想定してもらえると助かります」


やっぱり偉い人たちが集まる会議だし時間がかかるものなのだろう、俺は何となくそう思う。

まぁ、俺がどうこう言えるような安い会議ではないことは確かなので、ここで大人しく祈ることにしよう。


「それと、魔力回復薬はそこのキッチンに置いておくので精神的な疲労を感じたら遠慮なく飲んでね」

「わかりました」


そうこう話しているうちにみんな食べ終わり、片付けに入る。

クエス師匠はもうどこか別の部屋に行ってしまった。色々と準備があるのかもしれない。


俺は昨日のことを思い出して光属性をもう少し練習しようと思い、昨日も見た明かりの魔法書を手に取った。


明かりの魔法所で応用例のページを見るとより明るくする場合だけじゃなく、位置を固定や自分と等距離、周囲を回らせるなど色々とあることがわかり試そうと思った時だった。


「コウ」


いきなり耳元で声をかけられたので俺はびっくりして読んでいた魔法書を落とす。

声をかけたのはさっきまで片づけをしていたボサツ師匠だった。


いきなり声をかけるにしても耳元はさすがにやりすぎだと思う。

そう思いながら師匠の方を見ると、師匠はかなり近い距離で笑顔でこっちを見ていた。


「コウ、先ほど瞑想で展開していた魔力を光属性に変えてもらいましたが、どうでした?」


どうでした・・って。なにを求められているのだろうか?少しは考えろということなのか。

少し考えた結果、やはり言うなら速度に関してかなと思う。

確かクエス師匠も「早さこそが正義」と言っていたはずだし。


「全体が光属性に変わりきるまで時間がかかり過ぎた気がします。でもなかなか上手くいかなくて」


「あ、あぁ、確かにそれはそうですね。ですが、まだ覚えたなのであの速さでも十分かと思います。

 自分を追い込むことは悪いこととは言いませんが、無理はしないでください」


意外な返答に俺は思わずまぶたをパチパチと動かし、びっくりする。

てっきり今の俺に何が足りないのかを理解しているのかの確認だと思っていたからだ。

まさか純粋にどう思ったのか聞かれるとは思わなかった。


「あれ、俺返答間違いましたか?」


「ふふ、そうですね。でも真剣に練習に打ち込んでいることがわかって私は嬉しいですよ」


ここで「師匠の指導の賜物です」なんていうと格好付くのだろうが、そのセリフはなんか小恥ずかしくて照れ笑いで返した。


師匠にいいところアピールしてちょっと気を引きたいというのはあるんだけど・・そういうのに慣れていないんだよな。

こればかりは魔法使いになっても改善しないらしい。


そんなことを頭で考えていると師匠は不思議そうに俺を見つつ出発することを告げる。


「それではコウ、会議に行ってきますので練習頑張ってください」

「はい、出来るだけ習得して見せます」


「でもただ覚えるだけではダメですよ。しっかり使いこなせるよう、覚えた後も修練は必要です」

その言葉に俺はやる気に満ちた目でうなずいた。




クエスとボサツはルーデンリア光国の居城:秀光城へとやってきた。

今回はもちろん、クエスの直近の行動を説明し、貴族内でのクエスに対する不信感を払しょくするためだ。


普通の者なら、この連合を取り仕切るお偉い様方に状況を説明するのは気が重くなるものだが、当のクエスはまったく気にしていないように淡々と歩く。

そんなクエスの様子を見て少し不安に思ったボサツがクエスに提言する。


「クエス、あまりに気にしていない様子だとそれはそれで疑いは晴れないと思います。少しくらいしおらしい演技をした方が効果的かと思いますよ」


「んー、まぁね。それはわかっているけど、一歩引いた様子を見せればそれはそれで今こそ好機と無茶なことを言ってくる輩がいるからさぁ」


「確かにそれはありますね。彼らもどうして光の使い手同士で争いたがるのでしょう。困ったものです」


「ルルーとかは、あれね。当主に就任したばかりでとにかくポジションを確保したいだけだと思うけど」


「あの人はこれからも問題を起こしそうで本当に困ります。早く落ち着いてほしいところです」

2人は嫌な奴の悪口でやや盛り上がりながら、会議場の近くまでやってきた。


クエスたちの前方に4人の兵士が会議場へ続く廊下を塞いでいる。

兵士たちの装備品は豪華で強者感が出ている。彼らはこの城を警備している近衛兵の面々だ。


ルーデンリア光国で大きな会議が行われる時は、この国の近衛兵がよく警備に出張っているが、会議室から遠間に配置してある事がほとんどだ。

特に会議室への入り口は人物確認のための文官がいるくらいで、威圧的な近衛兵がこんな風にガードしているなんてことはない。


「近衛兵がずいぶん目につくけど、今回はあまり目立たないように近衛兵をここに集中させているのかしら?」

クエスが小声でボサツに話す。


「私たちが暴れた時に取り押さえるためかもしれませんよ?」

ボサツは笑ってクエスと違い普通のボリュームでクエスに答えた。


ボサツの声が聞こえたのか4人の兵士は不快そうな顔をして二人を見つめる。

だがボサツもクエスも一向に気にせずに近づいていった。


「通っていいかしら?」


クエスは軽く挨拶するように兵士に語り掛ける。クエスもさすがに強引に通ろうとはせず1m届かないほどの距離で通行の許可を求めた。

ボサツもクエスのすぐ後ろに止まり笑顔を兵士に向けた。


「一光様、三光様、ようこそおいでくださいました。会議室は奥の右側にある扉になりますがお2人様は左側の手前から二つ目、光花の域でお待ち頂くようにと女王様からの言伝でございます」


クエスとボサツはてっきりすぐに会議室に入って待機だと思っていたので少し驚いた。

とはいえ直属の上司に当たる女王様の指示となればそうそう異を唱えるわけにもいかない。


さらに目の前に女王がいるわけではないので、この近衛兵に異を唱えても仕方がない。

色々と思うところがあった2人だが、ここは黙って従い光花の域と書かれている部屋の扉を開ける。



部屋の中には既に2人の人影があった。


1人は豪華な黄色の薄く動きやすい鎧を装着した30代に見える強面の男、この国の近衛兵のリーダーであり三光除くと最強の魔法使いギース。

彼は一人の女性を守るように剣を下に向けているがすぐに動ける体制をとっている。


もう1人はこの国の女王インシー、一昨日クエスにあった時とは違いそこそこ身軽に動けそうではあるが上品な服装でまとめ、頭には統治の輝きと呼ばれる王冠を装着している。


クエスとボサツは女王が椅子に座っていることに気付き、即座に片膝をたてて敬意を示す。


「女王様、クエス、参上しました」

「女王様、ボサツ、参上しました」


「悪かったわね、こんなだまし討ちの様にして待っていて。とりあえず座ってもらえない、会議の前に話がしたいの」


そう言われて2人は女王と向かいの席に座る。

女王の斜め前ドアに近い方に近衛兵長のギースが立ったまま警備に当たる。


近衛兵長はこの王宮内では女王の護衛に当たるのが一般的だ。

とはいえ会議など人が多い前では基本的に周囲の警戒に当たり女王のそばにはいない。


そのことからクエスは一瞬自分を警戒しているのか?と思ったが、今回は自分がお詫びに来ている立場なので、それ以上は特に気にしないことにした。


「話した通り、今日の会議はクエスへの警戒を解くための情報公開の場よ。それで事前に一つだけ釘を刺しに来たわ」

「なんでしょうか?」


クエスはある程度敬意をもって尋ねる。

が、ところどころ面倒だなと言う雰囲気が見て取れる。


「とにかく今回、クエスは上級貴族たちにむやみに噛みつかないこと。これは絶対よ。後はイレギュラーがあっても冷静に対応して欲しいわ」


「はい、今回は場の状況を考えて冷静に対応するつもりです」


クエスは昨日の説明だけじゃ済まないということか、と少し落胆しつつも女王の指示に了承した。

ボサツはクエスの表情を見ながら少し考えて、女王に進言した。


「すみません。弟子であるコウのことは今回話をするのでしょうか?あと、クエスが爆発しそうなときは私がフォローしておきます」

「ちょっと・・」


「ええ、フォローはお願いするわ。あと弟子のことも出るはずよ、説明をお願いね」

「はい」


クエスの反論を封じボサツは女王と流れを確認した。

クエスはやや不満そうだが、自分の普段の言動を理解しているのか、特に反論はしない。


「それじゃ私は行くわ。タイミングを見計らってあなたたちを呼ぶので、呼ばれたら会議室に来るように」

女王の指示にクエスとボサツは頷いた。


「ギース、会議室の外の通路で警備をお願いね。あなたがこの部屋に居続けると、どうも殺伐とした雰囲気になるから」

「女王様、了解しました」


そう言って近衛兵長は女王の後ろをついていき、2人は部屋を出た。

クエスとボサツは少し体の力を抜いて心地よいソファーでくつろぐ


「無事に終わるといいんだけどなぁ」

クエスがソファの背もたれに頭をのせて、両手を上に伸ばし背伸びをする。


「無事にと言うのは難しいかもしれません。ですが、大事にはならないよう下準備は出来てると思いますので気楽でいいと思います」

この先の展開を想像して語りながら、2人は女王から呼ばれるのを待った。


読んでいただきありがとうございます!

今回は会議前、次回は会議になります。

キャラクターがごちゃごちゃする場面ですが、ついてきていただければ・・幸いです。

ブクマや評価など頂けると嬉しいです。では。

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