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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
1章 魔法使いになります! (1~17話)
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2人目の師匠

取り合えず異世界での生活スタートです。

ハーレムものらしく?師匠は2人です。え、ハーレム感がない? ですよね……


ここまでのあらすじ


クエスというお姉さんにスカウトされて魔法使いへとなる決心をした。


「ずいぶん騒がしいですね。ひょっとしてくーちゃんのお帰りでしょうか?」

隣の部屋から女性の声がする。

「お、さっちゃんいたんだ。今戻ってきたところよ、そっちに行くからちょっと待ってね」


クエスは扉に向かって明るく返事する。

クエス師匠から今まで見ていたどこかピリッとした感じが消えたように見える。

安心できる場所に帰ってきたということなのだろうか。



「さぁ、さっちゃんに紹介しなきゃいけないし一緒に行くわよ」


促されて俺は緊張しながら頷いた。


「わかりました、師匠」


こちらの世界に来た以上、クエスを師匠として慕って頼っていく以外は全く当てがない。

これからは立ち位置や発言にも気を使わなければならないだろうな。

見捨てられたら状況的に即、死につながりかねないからだ。


そう思ってきりっと返事はしたものの、正直ド緊張だ。

とりあえず相手が普通の人であること祈る。


たぶん魔法が使える女性なのだろうからキレやすい人だと恐ろしい。

とりあえず最初の印象を良くしておかないと、緊張しすぎてダメな奴かと思われたらこの先地獄になりかねない。

せっかく別世界に来てやり直した人生なのに、また地獄のような日々だけは避けなければ。


そうこう考えているうちにクエスが扉を開ける

そこにいたのは少し小柄で髪を後ろでお団子の様にまとめていた金髪の女性だった。


こちらも年齢は10代後半から20台前半だろうか。背が少し低いためか幼く見えなくはないが。

「おぉー、お疲れ様です。で、そこの彼はどちらさん?もしや向こうで男でも作ってきたのです?」


ほほぅといった感じの表情をして俺に視線を合わせてくる。

そしてその女性はさらに追撃を入れてきた。


「うーん、ついにくーちゃんにも彼ができましたか、私は嬉しいです」

「違う、違うって、この子は向こうで魔法の才能があることがわっかたので弟子にしただけよ。さすがに付き合う気なんてないない」


うーん、目の前で思いっきり否定されてしまった。

まぁハーレム願望とか思いっきり心読まれてたみたいだし、当然と言えば当然だな。


男から見ればハーレムなんてただの夢みたいなものだが、

女性から見れば屑男の発想にしか見えないだろうし。



ただ、ここの雰囲気が宮廷的な重苦しいものではないことは幸運かもしれない。

この部屋も木の床ということもあってか古屋敷か武術の道場みたいに感じる。


クエス師匠が(自称)超一流と言っていたのでてっきり宮廷魔法使いの偉いさんとかで

礼節なども指摘されながら厳しいご指導になるかと心配していたが、どうも取り越し苦労のようでほっと一息といったところだ。



ひとまずお座りくださいと4つ席のある長方形の木製のテーブルまで案内され

自分で椅子を引き席に座る。お茶などは出てこないみたいだけどとりあえずおとなしくしておく。

それでこれからどうなるのかと思っていると、斜めに座った先ほどの金髪の女性と目が合った


「うーん、でもこの子ちょっと変わった子みたいです」

また心でも読まれたのだろうか?俺が不安がっているとクエス師匠が軽くフォローしてくれる。


「向こうとこっちじゃ常識も違うだろうしその辺はおいおい教えていくから」

そう言ってクエス師匠は俺の方を見た。


「さて私が紹介役よね」

とクエスが立ち上がり金髪の女性に向けて手を出した。



「こちらが一流の魔法研究者であり実力も兼ね備えた完璧な魔法使い、ボサツ・メルティアールル

 ちなみにメルティアールル家の第二王女よ。将来中級貴族であるメルティアールル家の家長になる方なので失礼のないようにね」

「私は家長なんてなるつもりないのです」


本人は望んでいないと言っているが貴族の長の候補なんだし相当偉いお方なんだろう。

こんな木造の家だからもう少しフランクな環境かと思っていたが激甘だった。

この世界の礼儀はわからないけど、とにかく失礼の無いようにしなければまずいだろう。


「そして、こっちが私の愛弟子となったコウ・カザミ。まだ魔法使いの契約すらしてない素体だけど素質はすごいのよ」

「ボサツ様よろしくお願いします」

深々と頭を下げる。


「こちらこそよろしくお願いします」


向こうも頭を下げてきた。えっと、この人すごく偉い貴族様なんだよね?

なんだかずいぶんフランクなんだけど…俺は何かしなくていいのだろうか。敬礼とか。


「で、クエス。色々聞きたいのですがちょっといいです?」


先ほどくーちゃんと呼んでいた呼び方が変わり語気も強い。

金髪のボサツ様がちょっと怖い雰囲気に変わる。


「そうね、隣の部屋で話しましょうか。コウ、ちょっと待っててくれる。そんなに長くはかからないから」

そういって二人は隣の部屋に移動し。この部屋に取り残されてしまった。



こうなると暇なので辺りを見回してみたが、どうもこの部屋はリビングみたいな感じだ。

このテーブルから離れた壁際に鍋みたいなものが見えるからあの辺りがキッチンといった感じだろうか。

ただ火を扱うような場所が見当たらない。


「IHヒーターかと思ったが魔法のある世界だし色々と勝手が違うのかもなぁ」


そしてそれ以外は何にもない部屋だ。食器類や鍋などが入ったガラス棚とこの4人掛けのテーブル。

それ以外なし。部屋は30畳くらいある広さなのに何もないスペースが多すぎる。

テレビは当然ないとして、本やチラシすらないので、仕方なく師匠たちが戻ってくるのを黙って待つことにした。



クエスとボサツは隣の部屋に移動した直後

ボサツが軽く詠唱し、右手を出す。その直後緑のオーラが部屋中に広がった。


「とりあえず、これで向こうに音はもれません」

ボサツはそう言いながらクエスに近づき質問してきた。


「まず、アレいったい何なのです?」

「最初の主目的はいったいどうなったのです?彼はどうも見ても男ですよね?」

「しかも「私には弟子なんていらないから~」と言っていたにもかかわらず、見ず知らずの者を弟子にしてるようですし」


早口でまくし立てるときはボサツが怒っているときだ。

莫大な金銭を使って技術的にもグレーゾーンを通り越しているの今回の計画。

その一件を支援してくれたのはボサツだ。


正直怒るのは無理も無い。出発前の目標と結果がぜんぜん違うのだから。

クエスは少し「まいったな」といった表情を見せてボサツと向き合う。



「落ち着いてさっちゃん、彼は当初の目的の人物よ。確認済みだから間違いないわ」

ボサツはきょとんとなってしまう。当初の目的はクエスの妹探しのはずだ。

性別も変わっているし、妹から弟子へと関係も変わっている。ボサツが理解できないのも無理はない。


「えっーと、いやどう見てもあなたの妹には見えないのですが。ただの平凡な優男みたいです」

クエスは「だよねー」っと言って力無く笑う。


「えっとね、転生の話はしていたはずだけど、彼に妹のエリスが転生して彼の内部にいる感じなのよ。タイミングによっては会話もできるわ」

「あぁ、そういうこと…ですか。いまいち釈然とはしないですが」

「彼の中にいるエリス本人にも確認したんだから間違ってはいないわ」


転生自体はわかっていたことだったので計画段階で話していたことだ。

だが妹を連れ帰るにしても転生した母体は不要なはず。面倒事が増えるだけだ。

ボサツは難しい顔をしながら考え込んで聞いてきた


「私の記憶が正しければ、分離して妹だけを連れて帰る予定だったはずです」

「私だって、彼をとっとと処分してその肉体を元に妹を生成しなおす予定だったのよ。だけどさぁ、エリスが断固拒否しちゃって」

クエスの甘い対応に思わずボサツは呆れてしまう。


「うーん……妹に甘いくーちゃんだから拒否されたら強引な手は使えないのは判ります。ですが誘拐はいただけないと思います」

どう見ても犯罪でしかないでしょ、とジト目でクエスを見つめるボサツ。

クエスもその点はあまり突っ込まれたくなかった。一応、誘拐ではなく契約ということにしてはいるが。


「まぁまぁ、それで母体である彼を説得して弟子にして連れて来たってわけ」

「……呆れました」

ボサツは肩をすくめて呆れた。



「向こうで処分していればこちらでは罪にならない。証拠が残らないのですから。

 でもこっちでやったら分離生成の魔力残渣が問題になるって話だったはずです。これからどうするつもりです?」

ボサツはあんたが責任とりなさいよと言わんばかりだ。

が、クエスは思ったよりも余裕がある雰囲気だった。


「うーん、不確かな方法だけど彼が魔法使いになれば、魔力に対して親和性も上がるしもっと安全で確実な別の方法が使えるんじゃないかなかなって」

はぁ、とため息をつくボサツ。

クエスは目的達成に割りと手段を選ばないタイプだと理解していたが、さすがにこの展開は予想外だった。


「とりあえず最低限は成功ということですね。これ以上の議論は今更です。本人を連れてきていますし、もう戻せないでしょうから」

「そそ、今更今更」


クエスが明るく返す。もう諦めてしまったボサツ。

とりあえずこの件はもういいや、という流れになり、ボサツが先ほどのクエスの言葉を思い出し質問してくる。



「そういえば、彼はすごい素質があるとか言ってませんでした?」

「そうそう、それを見せたかったのよ。ちょっと見てよ、さっちゃんでも驚くわよ」

ややもったいぶってクエスが才能の検出氏を取り出す。


「奮発して12色の精霊の啓示を使ったんだからね~」

クエスから手渡されたその精霊の啓示を見たボサツはみるみるにやけた顔になる。


「お、おお……ほほー、これは素晴らしいです。これで男とかもう国宝ものと言えるかもしれません」

「でしょー」


クエスはどうだ!と言わんばかりだ。


「それで提案なのですが。これ…いや彼ですね、私に預けてはくれませんか?」

急にボサツが提案をしてくる。


さっきまでやや邪険にしていたと言うのにすごい変わり身だ。

だが、それだけの才能がコウにはあると言うことだ。


「その辺り色々考えたんだけど、どう?二人でみっちり指導していかない?」

「んー、そうですね…」


「武術系や実践は主に私が、複数属性の基礎練習とか魔法の基礎はさっちゃんが。適材適所って感じで」

「んーそれはなかなか面白そうな話です。いいですね、乗ります」



こうして本人が居ないところで指導の方針が決まった。

この指導により彼がどんな花を咲かせるか、二人ともすでに楽しみで思わず悪い笑みがこぼれていた。


こんな文でも読んでもらえるだけで感謝、大感謝。

今週までは何とか1日1話を続けていきたいです。(ストックもあるので、大丈夫なはず)


修正履歴

19/01/30 改行追加

19/06/30 誤字修正

20/07/18 主にボサツの語尾を修正

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[一言] 前置き長い
2019/11/15 05:21 退会済み
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