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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
3章 日々是修行(49話~107話)
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2色練習と1日の終わり

今回も短めです。


ここまでのあらすじ

コウは毎日修行中、クエスは明日の仕事道具の買い出し完了。

(いわゆる何もない平凡な日々)


更にこまごまとした追加の買い物を済ませてクエスは隠れ家に戻る。

明日の仕事のために色々と買い込んでかなり時間を使ったため、既に夕方になっていた。


「やっぱり夕方になっちゃったわね。コウも修行を終えちゃったかしら?」


そう言いながら転移門から出てきて周囲の様子を探る。

魔力を放出し建物内でコウがいそうな場所を探ってみるものの、特に反応が見られない。


「おっ、まだ二人とも外みたいね。結構遅くやってまでやってるなんて、感心感心」


そう言いながらクエスは動きやすい楽な服に一瞬で着替えてそのまま外に出る。

クエスが勢いよく隠れ家の入り口の扉を開けたため、コウは驚いたのかこっちを見たが、ボサツはそのままコウの練習を見つめている。


クエスは何をやっているのか楽しみにしながらコウの練習を見てみたが・・コウは片手に風属性、もう片手に無属性の魔力を出している。

一瞬何をやっているんだか、と思ったがすぐに昔自分も行った練習を思い出して理解した。


「おぉ、コウはもう2色の練習してるんだ」


「ええ、こればかりは時間がかかるものですから早めに取り掛かってもらうおと思いまして」


「なるほどそれがいいかもね。ところでそれはさっちゃんのやり方ね~、私からは私が練習していた時のやり方を教えるわ。まぁ、どっちがいいのかはわからないけどね」


そう言うとクエスは両手を出す。

両手に無属性の魔力を出しておきその二つがそれぞれすーっと光と宙の魔力に変わっていく。


「あのぅ、師匠、いきなり2色出てますけど・・そんなんできませんよ?」


コウが呆然としたまま降参宣言をしてきた。

ん?とクエスは不思議に思ったが両手に2色を出している時点で自分が間違っていたことに気付く。


「あっ、あ、あはは、ごめんごめん、ちょっと間違っちゃった」

「くーちゃん・・」

「は、はぁ・・」

コウとボサツはクエスの素の間違いにただただ呆れた。


「まぁまぁ、次はちゃんと見ててよね」


そう言うとクエスは両手を伸ばしてその先に属性を帯びていない魔力を2つ出す。

そしてクエスの左手の魔力を光の属性に変える。


「2色同時に使える今の私じゃ正確な再現は難しいけど、今のコウみたいに1色しか出せないなら、この右手の魔力を強引に宙属性に変えたら左手の光属性はどうなると思う?」


「2色同時ができないので、もちろん光の方は属性が無くなり無属性になります」

「そうね、正解」

そう言ってクエスは左手側を無属性に戻しつつ右手の魔力を宙属性に変えた。


「こうなるわね」

コウは先ほどの練習で2色を同時に出そうと先に1色を出して、後からもう片手に別の色を出そうとするとクエスが示した状況になったので

クエスの発言にその通りだとただ頷く。


「で、それをどんどん繰り返して、出来るだけ素早くやっていくの」

そう言うと左手に再び光属性を持たせると右手を無属性にする。


そしてすぐに右手を宙属性に変え左手を無属性に戻す。

それをコウがとてもできそうもない速度で何度も繰り返す。


「お、おぉ、すげぇ」

「これをやっていくうちに気付くと2属性同時に出せるようになるかもしれないわよ?」


クエスはにっこり笑っているがボサツはやや呆れている。


「くーちゃん、それは属性の切り替え速度が異常に速いくーちゃん専用の練習方法だと思いますよ」

「そう?まぁ、コウもこれを練習してると切り替え速度が速くなるかもしれないじゃない。まぁ、2色同時が使えると切り替え速度が速くてもあまりメリットないけどね」


コウは一応その練習方法もやってみるか、と思いつつも現状はあの早さは出来っこないな、と心の中で思った。



その後ボサツ師匠がいつの間にか用意していた夕食を3人で仲良く食べる。

食事中にクエス師匠がボサツ師匠に今日はどういうのを教えたの?どんな感じだったと聞いていた。


ボサツ師匠は最初は「食事後に説明しますから」とクエス師匠をなだめていたが

気が付くと、楽しそうに説明しながら食べていた。

本当に仲のいい2人なんだなと思う。


しかも2人共綺麗だし・・これが彼女とかなら・・やばいな。

俺幸せ過ぎじゃん。


まぁ、漫画・・ラブコメならあり得るか?なんて考えているとクエス師匠が小さな光の球を俺の額に向けて飛ばしてきた。

思わず顔面に魔力を特に厚めにして抵抗するとその小さな光は額に届く前に消滅する。


「コウ、不健全な妄想していたでしょ?」

大して怒ってはないことがわかる、ちょっとにやけたような表情でクエス師匠が鋭く突っ込んできた。


「まぁまぁ、くーちゃん、コウだって男なんです。女性を2人も目の前にすれば妄想の一つくらい許可されないと、抑えきれなくなった欲望が爆発してしまいます」


ボサツ師匠はすかさず俺をフォローしてくれる。

正直言って全くありがたみを感じないフォローだけど。


俺は、いやそうじゃなくてっという感じに両手を前に広げてぎこちなくに首を横に振る。

表面上は否定はするものの心の中では「そうだよ!」という感じだったのだが。


多分また心を読まれて突っ込まれたんだろうけど、否定はしておかないと師匠と変な距離感を取ってしまいかねない。

師匠たちもその意図を汲んでくれたのだろうか、軽く笑って再び俺の修行の話をしだした。



食事も終わってそのままこの大広間でゆっくりする。

気が付くと布団も床に準備してある。


そういえばさっきボサツ師匠が魔力回復は寝るのが一番確実!と言っていたし早く寝ろということだろうか。

師匠は二人とも別の部屋に行ってしまったので特にやることもない。


軽く瞑想でもしておこうかなぁ、と考えつつぼーっとしているとふと思ったことがある。

そういやここにきてもう数日は経ったんだが、この家の構造はほとんど知らない。


俺がやってきた転送ゲート?や色んな道具が転がっている部屋、精霊との契約に使った部屋、あと座学用の図書室。

それ以外は外へ行くのに通る部屋しか知らない。


この建物の大きさから言って、もっと部屋があっても不思議ではないはずだ。

師匠たちも毎日自分たちの国に戻っている雰囲気はないので、この家にいるとなると師匠たちの部屋もあるはず。


「うーん、ちょっと色々調べてみようかな?怒られた時は素直に謝れば・・大丈夫だよな?」


そう自分に言い聞かせるようにつぶやいて、まずは精霊と契約をした小部屋がいっぱいある廊下へつながる扉に手をかける。

ぐっ、と横に引っ張ってみるが・・開かない。


ただの横にスライドする木の扉なんだけど・・鍵なんて見当たらないんだけど・・まるで鍵がかかっているかのように開かない。

踏ん張って開けようとしたがやはり扉はびくともしないので諦めるしかなかった。


「うーん、この扉ロックとかできたんだ。となると外に繋がるところ以外は行けないのかな」

そう思ってこっちの世界にやってきた装置っぽいものがある部屋への扉を開けてみると、普通に開いた。


来たときはじっくりと見る余裕が無かったが、見渡してみると広い部屋に色んな道具が転がっている。

その道具には興味があるが、どんな動作をするものかさっぱりわからないので、万が一のことを考えて触らない。


小説とかならここで触ってみて機械が暴走してとんでもないことに!というイベント発生みたいな展開はありなんだろうけど、俺はやりたくない。

この世界の魔法は今までの地球では考えられないような現象を引き起こせるものだとだいぶ理解してきた。


ここの道具だって魔法に関係するもののはずなので、適当に触って動作して酷い目に遭うことも十分考えられる。

とりあえず最初はピカピカと光ったりポーンと音がして次の操作待ち、みたいな安全設計がされてるとは限らないし。


一旦色々な道具から目を外し、ここから別の部屋に繋がる扉はないかと色々と見渡してみるが、ここはただ広い物置という感じで他へ通じる扉はないようだ。

俺はこの部屋は外れだなと思って扉を閉めた。


後は図書室に向かう扉だ。もう一つ残っているのは外へ向かう扉なので、それは確認する必要がない。

扉に手をかけてみると・・ダメだ、ここもやっぱり動かない。


そういえば師匠たちも、食事後はここの扉を通っていたのでこの先の廊下の図書室じゃない方の扉の先に師匠たちの部屋があるのだろう。

「・・何やってるんだろうな俺は」


結局未知の場所にはいくことが出来ないことだけがわかってちょっと落胆する。

その後気持ちを切り替えて布団を敷いている近くに座り2色の魔力を出す練習をすることにした。



ボサツはクエスと同じ部屋にいながらも周囲の(特にコウの)状況を感知していた。


どうやら暇を持て余したのか、コウが扉を開けようとして開けられなかったのを感じ表情を変える。

扉のロックはボサツもクエスもできるのだが、今日の屋敷内の感知はボサツだけが行っていた。


クエスはボサツが何かに反応していると思える仕草に気付き、何かあったのかと少し不思議そうな顔をする。

それに気づき、ボサツはクエスから問われる前に口を開いた。


「ああ、コウがどうやら扉が開くかどうかを確認しているみたいなんですよ」

「へぇ、ちょっとした探検気分かしら?」


「ひょっとして私たちへの夜這いかもしれませんよ?」

「えー、さすがにそれはないと思うなぁ~。あの子女性経験ゼロの童貞君だよ。いきなり師匠への夜這いはハードル高いでしょ」


ボサツは、ですねと言わんばかりに軽く笑って答える。


「そういえば魔道具置き場はロックしてなかったけど・・大丈夫そう?」

「ええ、でもコウは入ることなく扉を閉めたみたいです。多分この家の構造を知りたいだけだと思います。くーちゃんが言うように探検気分のようです」


かわいい奴だなぁ、とクエスはちょっと笑う。

ボサツもクエスの気持ちを理解したのかふふっと笑い返す。


「で、コウの夜這いチャレンジはもう諦めちゃった?」


「流石にそのいい方はかわいそうですよ・・あぁ、もう諦めたみたいですね。覚えたての突風で無理やり扉を破壊するかと思ったのですがそれはなさそうです」


「流石にそれをやったら叱らないといけないわね」

「くーちゃん、コウを子ども扱いしすぎですよ」


「だってかわいい愛弟子なんだもん、才能もあるし、ハーレム願望もあるし、私やさっちゃんにも興味はあるみたいだし」


「はいはい、それより明日は朝から仕事に行くのでしょう?コウは放っておいても大丈夫そうですから早く寝ますよ」


「了解、何かあったら任せるわ」

そうクエスが言うと同時に部屋から明かりがゆっくりと消えていき、全体が少し薄暗くなる。


クエスはそのままベッドに入り眠りにつく。


ボサツも反応タイプの検知を残しつつ壁で仕切られた反対側のベッドに入り眠りにつく。

今日も1日楽しかった、明日もまた指導しがいのある1日になるかなと思いながら。


いつも読んでいただきありがとうございます!

次話は・・数日のうちには・・汗

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