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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
3章 日々是修行(49話~107話)
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早朝、魔法の型を試してみる

無事3章に入りました。

ここから先はストックがほとんどないので更新ペースは落ちますが(既に落ちてますが)頑張っていきます。


<ここまでのあらすじ(1章からの続き)>

コウはクエスに誘われ異世界へと転移する。

異世界で精霊と契約しコウは魔法が使え、年を取らない体に変化する。

魔法の基礎である型を学び、ついに風を起こす魔法<突風>を使えるようになった。


俺がこの世界に来て4日目の朝。


昨日俺は風属性の突風を教えてもらい何度も使った。

そう、4日目にしてもう魔法が使えるようになったのだ。


あまりに嬉しかったせいか興奮しすぎて、結局ほとんど寝ることが出来なかった。

夜中に度々魔法を使った感覚を思い出しては、魔力の塊の数を増やしたらどうなるだろうか、魔力バランスを変えたらどうなるだろうか

想像が尽きなかったのも一因だと思う。



起きて周囲を見回すが、俺がいつも寝て食事しているこの大部屋は壁に窓が一切ないので外の状況が分かりにくい。

ただ、この部屋の天井は外の光がうっすら入るようになっているので朝なのは間違いないはずだ。


そう思い布団から出て布団を畳んで部屋の隅に置く。

そう言えばこの部屋・・布団を入れておく場所もないんだよなぁ。



師匠に朝の挨拶でもと思うが、実は師匠たちがどこの部屋にいるのかまだわからないし

そもそもこの家の部屋がどれだけあってどこがどこに繋がっているかも俺は知らない。


まぁ、師匠たちは女性なのであまり部屋を聞くのも・・色々な意味でよろしくないかなと思ったりして

4日経った今でも師匠たちが来るのを待つしか、師匠に合う手段がない状態が続いている。


そういえば、昨日外に出てこの家・・隠れ家だっけな?の外観を一方面から見ただけでも、この隠れ家がやたらでかいことだけはわかったんだよなぁ。

「こんなでかい家が森の中に切り開かれて建っていたら、隠れ家も何も目立ち過ぎたと思うんだけど」

そうぼやきながらもやることがないので、とりあえず外に出ることにする。


昨日のこれって真夜中?という薄暗さと違い、外はすっかり明るくなっている。

朝・・だとは思うがいまいちわからない。空を見渡してみたが・・とにかく太陽が見えないのだ。


太陽がないのに明るいのは不思議を通り越して異常としか言えない。

今まで2回は魔法の修行で外に出ているのに気づかないとは不覚だった。


「一体どうやって明るくなっているのやら・・この世界はよくわからないことが多いなぁ」


外に出て一人でそうぼやいていると急に後ろから声が聞こえた。


「そこは今度教えるので今は少しだけ待っていてくださいね」


その声は、と思って振り向くとやはりボサツ師匠だった。

俺が外に出ると即やって来る当たり、何か監視するような魔法か道具があるのだろう。


これは警戒されているのか、それとも厳重に管理されているのだろうか?

何にしても不用意に塀の外には出ないことはアピールしておいた方がよさそうだ。


「あ、おはようございます師匠。目が覚めたので外の空気を吸いたくて出たんです。もちろん塀の向こう側は危ないということなので出るつもりはないですから」


どんな方法で警戒しているのか聞きたくはなったが、とりあえず口には出さず頭を下げてあいさつする。


「おはようございます、コウ。塀の外はそうしてくれると助かります」

優しく返事を返してくるボサツ師匠の笑顔を見るとどうしても悪い人には思えない。


これ以上警戒したり考えたりしても仕方がないので、ひとまずこのことは忘れることにした。


「朝から昨日のことを思い出して反復練習ですか?」

「あ、はい・・実は昨日初めて魔法が使えた事で興奮しすぎてか夜も眠れなくて、色々と考えていたんです」


子供の遠足じゃあるまいし、と思われたかもしれないが俺には衝撃的な出来事だったので興奮しっぱなしだった。

ただ寝不足な点は多少怒られるだろうと思い、一応申し訳なさそうにしておいた。


「ふふっ、そうでしたか。あまりに魔力の使い方が上手かったので平然と受け止めるのかと思っていましたが・・私も初めて使えた時は興奮して皆に自慢して回ったことを覚えています」


少し懐かしそうにしながら、ボサツ師匠は嬉しそうに語った。腕のいい師匠もやはり最初はそういうものなんだなぁ。

なんか俺と同じで安心したというか嬉しかったというか。

それに睡眠不足を指摘されなくて・・助かった。


「えっと、考えていたことなんですけど、突風の魔法の元となる魔力の配置やバランス、数を変えたりするとどうなるかとかですね」

「なるほど。コウはそこに興味を持ちますか。・・では今の段階でそうするとどうなると思っていますか?」


師匠から質問が返ってくると思わなかった。何となく聞いただけだったのに。

でも今は、試す前にどうなるか一度真剣に考えてみるべきか。


そう思いつつ昨日までのクエス師匠やボサツ師匠の指導の言葉を思い出す。

何気なく聞いていた中にヒントのようなものがあったかもしれない。


そして思い切ってボサツ師匠に返答した。

「多分失敗すると思います。クエス師匠も型の完成度を%で言ってましたし・・発動しなくなるとか、魔法が発動したとしても威力が下がるとかでしょうか」


少なくとも%で指摘されるあたり、この世界の魔法はそれなりに研究・精査されてるものだと思うので

ど素人で新人の俺がちょっといじったくらいでより良くなるとかはさすがに思っていない。


前に読んでいたネット小説とかならチート設定で回りも驚くようなことを何気なく出来たりするだろうが

残念ながら俺は転生してはいないしチートを授かった覚えもない。


なので基本的に失敗すると思っている。

だが今は、どう失敗するのかを知りたかった。


失敗すると言っても、まっすぐ狙い通りにいかない、威力が落ちる、コントロールが効かず威力が上がるが暴発する、何も起きない、色々あると思っている。

それは事と次第によっては使う意味のある失敗になりえるかもしれないからだ。


俺はこの世界に来て今までなかった魔法という存在を自分で使えるようになったことで、たくさんの知らないことを知ることが出来るようになった。

ならば、それをより深く知りたかったのだ。



「うーん、コウは結構研究者肌なのでしょうか?普通そういうことを試す新人はいませんよ?」


そう言いながら師匠は結構ニヤニヤだ。

そういえば師匠は研究者もやっているんだったよな。

何の研究か詳細は全く知らないが。


「で、ですよね、あくまで興味があったので気になっただけですから」


師匠ににやけ顔から褒められてる気もするが勘違いの可能性もあるのでここは一歩引いておく。

普通に考えれば、変わったやつだと思われただけが順当だと思う。

俺は右手で頭の後ろに軽く手を当てながら、一瞬でもうぬぼれた自分が少し恥ずかしい気持ちになった。


「でもせっかくだから試してみてはどうですか?暴発しようがコウが怪我しないように私が見ておきますよ」


師匠のお墨付きで実験できる機会が与えられるとは思わなかった。

まぁ、こうなったら今更逃げる道はない。

俺は安心できる師匠のフォローを得たことだし、思い切ってやってみることにする。


まず俺は昨日と同じ玄関から左側の土がむき出しのエリアに行き魔力の形を作る。

まずは縦に上から2:3:2の魔力比を真ん中だけ3→4にして魔力の2倍にしてみる。


「風よ俺の元に・・<突風>」


精霊魔力は流れ込んでくるが、昨日教わった正しい型と比べると維持していおくのがきついし・・多分魔力が漏れて霧散してる気がする。

放っても昨日の威力の半分くらいだろうか、しかも昨日のような100m先までは到底届かなかった。


少し変えただけでもこの違いだ。魔法を使う上で型をいかに正確に組めるかが大事なことを改めて思い知らされる。


次に魔力を全部同じにしてみると、目の前での威力はある程度保たれたが風がまっすぐではなくあちらこちらに散る感じで広がっていき50m先では地面の砂ぼこりすら立たず風を感じられない状況になった。


今度は魔力間の距離を縮めてみる。

その場合は発動はしたものの威力が落ちた上に発動直前の維持がかなりきつくなった。


逆に魔力間の距離を伸ばしてみると威力が落ち、伸ばし過ぎると突風の発動すらしなくなった。

魔核間の距離も魔核の比と同様、とても大切だということが十分なくらいわかった。



だんだん面白くなって、魔力を上下にさらに付けたしたり、詠唱を適当にしてみたりした。

上下に魔力を1つずつ付け足したものは完全に失敗。精霊から少し魔力が付加されたもののいつもより断然少なく結果俺の5つの核に使った魔力を巻き込んで霧散した。


付け足した上下の魔力が先に壊れたことから、異物となるものがあればそれを消そうとする力が働くということなのだろうか

別パターンで試しても不用意に付け加えた魔核から先に壊れ、最終的に魔力が霧散して失敗することからどうやら精霊が邪魔な魔力配置を教えてくれてると言っても過言じゃないみたいだ。


適当な詠唱の方は師匠の前で声を出すのは恥ずかしかったので心の中でやってみた。

風よ来てー、風よ、などそれっぽいものはほとんど威力も変わらず問題なく使えた。


型の中や周囲に充填される魔力の速度が微妙に変わった気がするが、いうほどの差ではない。

この魔法が初心者向けの物ですぐに魔法に変わるまで魔力が充填されるからかいまいち違いが判らない。


そういえば昨日ボサツ師匠も言ってはいたが、詠唱は本当に適当でいいらしい。

ちなみに一度イメージを竜巻が起きる感じにしてみて「風よ俺の元に」と詠唱したが、思った以上に精霊からの魔力が多く流れてきた上に、多くの魔力に型がその形を留めきれず霧散した。

どうやらイメージの方はとても重要らしい。イメージと魔核の配置が魔法詠唱の重要な部分のほとんどなのかもしれない。


ただ詠唱も、お腹空いた、気持ちいい風が吹かないかな、とか変な感じにすると発動しなかったり威力が落ちたりした。

あまり詠唱を軽んじ過ぎるのも失敗のもとになるようだ。


でも、「いけぇ!<突風>」はほとんど威力も落ちずに突風が発動した。

ほい、では威力が結構落ちてどうもいまいちだった。

この辺のさじ加減は掛け声で俺の持っているイメージも微妙に変わってしまうのか、どうにも明確じゃないと思った方がよさそうだった。


最後に2個、3個同時に型を作って、複数個型を意識したまま詠唱すると同時に発動した。

てっきり1個1個に詠唱が必要だと思っていたがこれは意外だった。


ただ3つも同時に作ると意識も維持も狙いも甘くなるので、魔法発動の結果としてはいまいちだった。

ただ感覚の上では、この辺は練習を重ねれば何とかなりそうだなと思った。



ボサツ師匠はコウがいろいろな練習をする様子を横でじっと見つめる。

最初は3つの魔力の魔力量に比率を変えたらしい。


(くーちゃんに型をきっちりと教え込まれたのを忘れたのでしょうか?)

そう思ってい見ていたが、どうやらどう悪化するかを見ているようだった。

コウは本当に魔法の研究にむいてそうだ。


とはいえあの才能では私以上に研究など許されないだろう。

そう思うとボサツはとても残念な気持ちになった。


「戦いばかりではなく、研究に目を向けてほしいものですけどね・・この連合も」

ボサツは誰にも聞こえない程度の声で静かに呟いた。



その後もただコウがやる魔法の調整実験のようなものを黙ってみていたが

一度だけ多くの魔力が精霊から流れ込んでくるのを感じた。咄嗟にボサツはコウを同じ風のオーラで守る<風の衣>を使う。


結果的には、精霊から流れてきた多量の魔力はそのまま変化を起こすことなく霧散した。

ボサツは魔力の型は正しかったことから、イメージを変えたのだろうと推測する。

詠唱ではあそこまで極端に精霊からの魔力が変わることはないからだ。


その後も意味不明な失敗魔法を繰り返していたが、それでもボサツはコウに感心していた。

ただ教えられる型だけではなくどこまでが有効な範囲か見極めておく、これは戦闘で咄嗟に魔法を使うときには大事なことだからだ。


「まさか教える前に試すとは思いもしませんでしたね。こんな優秀な子が他にもいるのならいくらでも弟子にほしいものです」

その後も魔法の練習の邪魔をしないように、コウには届かない程度の声でボサツは何度も感想を呟いた。


最後にコウが2個同時、3個同時の突風の発動を試して、しかもそれが成功したのにはさすがのボサツも少しだけ動揺した。

普通は練習しないとうまく操れない。操れないどころか狙いも滅茶苦茶、持て余した上に発動せず霧散することもある。


しかしコウは恐らく初めてだろうが、2個同時はぼちぼちうまく出来ていた。

発動も飛ばす方向をほぼ合格点だろう。


まぁ、3個の時は3つが結構ずれたタイミングで発動していた。多分同時発動を狙ったと思われるが。

とはいえ一番簡単な突風とはいえ大したものである。


「これは、もう少し指導のギアを上げてもついてこれそうですね」

ちょっと悪い笑みを浮かべながらボサツはコウの背中を見つめた。


その時ちょうどクエスから朝ごはんの準備ができた連絡をもらった。

ボサツはにやけ顔からふっと元の表情に戻りコウに呼びかける。



「さて、そろそろ戻りましょうか。くーちゃんが朝ごはんの準備終えたようですから」

何とか3つ同時発動をやってみたが上手くいかず、もう一度やろうと思ったところにボサツ師匠から声をかけられた。


「わかりました」

そう言って玄関近くで俺を見守っていた師匠の下へ向かう。


そういえばここにきてもう4日目になるがいまだに俺は食事を食べてばかりだ。

師弟関係といえば普通は弟子が炊事や洗濯など下働きをしながら空いた時間で師匠に教わるもの、のはずだ。


そう思うと何だか急に申し訳なくなってくる。

後で色々といわれる前に今更遅くはあるものの、ちゃんと雑用もやりますと言っておかねば・・


すぐにでも言っておこうと思い、ボサツ師匠と共にが玄関に入ると俺は師匠に声をかける。

「師匠、今日まで勝手がわからず食事などの色々な世話をしていただきありがとうございます。これからは自分も食事とか身の回りのお世話を頑張りますので・・」


といいながら師匠の顔を見ていたが、は?師匠はというような表情に変わっていく。

そして、少し経って俺の言った意味を把握したのか笑顔で返された。


「あぁ、コウはそういうこと気にしなくていいですよ。むしろ魔法の修行にのみ集中してもらえれば幸いですから」


そう言いながら師匠はすぐに食事に向かおうとする。

割と思い切って言ったつもりだったが、なんということもなくスルーされた形だ。

とはいえこのまま甘えっぱなしは自分でもよくないと思う。


確かにこの世界の食事に出てくる野菜やパンなど素材に関しての知識はないが、それはやりながら覚えればいいだけ。

地球でも毎日朝と夜に親父の分を含めて飯は作っていたので、自分でも料理の腕は少しは使えるレベルのはずだと思っていた。


「ですが、弟子として師匠にお世話になりっぱなしというのはとても申し訳なくて・・、食材は知らない物ばかりだと思いますが料理経験はありますので少しでも役に立つかと思います」

何とか俺は食い下がる。

気にしなくていいと言われてもやはり気になってしまうからだ。


師匠の言葉を素直に受け止めず食い下がったからか、師匠を見ると少し困った顔をしている。

俺って日常ではそんなに使えないやつに見えるのだろうか。


「気持は嬉しいのですが、調理や配膳、食後の処理も全部魔法で素早く済ませますし負担はほとんどないのです。

 それにコウには練習に集中して立派になってほしいんですよ。恩を感じてもらえるのなら、立派になった後で構いません」


なんか高くつく恩返しを間接的に要求された気がしたが、これ以上の反論は師匠の善意を無下にすると思い師匠に素直に感謝する。

「師匠本当にありがとうございます。期待にこたえられるように頑張ります」

そう言って頭を下げた。


師匠は笑って「さぁ、お食事ですよ」とだけ言って先に行ってしまった。

ここまでしてもらえる詳しい理由などわからないが、ボサツ師匠の背中を見ながら師匠たちに心の中で再度感謝した。



いつも読んでくださりありがとうございます。

ようやく3章に入れました。

前半は基本修行メインで裏で話が進む章になりますが、よろしくです。


色々と時間が無い状況が続いていますが、これからもよろしくお願いいたします。

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