表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
2章 下級貴族:アイリーシア家の過去 (18話~46話)
41/483

再興をかけての決闘

ここまでのあらすじ


クエスたちはアイリーシア家の再興を女王に告げられる。だが・・


何事もないように話が進む中、ついに事が動く。

今までの歓迎の雰囲気を打ち破るかのように、自分の守護家をつぶされたバカス・ライノセラスが大声を上げる。


「ちょっと待ってくれねえか。3姉妹の予定が2人しかいない上にそいつらの強さもよくわからん。それなのに特例で復讐法により無罪じゃ俺が納得いかねえ!」


溜めていた怒りを解き放つかのようなバカス。

まっすぐ見据えてくるクエスと少し驚いているミントを全力で睨みつける。


「バカス、前に言ったはずよ。このまま彼女たちに敵対しても利はない。戦力として吸収することが光の連合全体の利益だと」


既に訓練場に集まっている時点でこの流れはこの場の誰でも読める展開だった。

だが女王はあえて、バカスを抑えるようにの反論を行う。

クエスを守る立場を示したと、あえてクエスたちにアピールするためにだ。


「ふん、そいつらが雑魚なら仲間割れの原因になるだけだ。不要な奴らだろう」

「ふふ、そうね確かに」


バカスの主張に対して、一理あると横にいた同派閥のレディが軽く同意を示す。

本心は早く話勧めろと思っていたレディだったが、バカスの孤立を防ぐ役目を買って出た形だ。

そんなレディを無視するようにバカスは話を進める。


「だからそこの二人に俺の配下と決闘してもらおう。俺たちが勝てばこの裁定は無しだ、その上俺のわがままを通させてもらう。だが十分な強さを示せれば俺も認めよう」


バカスはにやつきながらクエスとミントを見下して言い放った。

ここで本来決闘の流れになるはずだったが、メルルの守護者であるボルティスが口を挟んだ。


「この決定自体、他の上級貴族と女王が全員賛成していたはずだが。正式な議決はされてないがほぼ決まっていたも同然だろう。

それでも決闘を行うならアイリーシア家側が勝った場合も、何か追加で褒美でも与えられないと不平等であろう」


予定外のボルティスの反論にバカスは睨み返す。だがボルティスも一歩も引かない構えだ。

この膠着を見て女王が二人の言い合いをさえぎった。

それはこの流れを予見していたかのような対応だった。


「二人とも待ちなさい。ボルティス、彼女たちが勝てばもちろん褒美は与えるわ。一応私たちの一員になってくれとお願いしている立場なのだから」

「そしてバカス、決闘は1人だけにしなさい。さぁ、決闘で戦う者を早く選びなさい。貴方たちは・・当然クエスでいいでしょ?」


女王は2人の言い合いを上手く遮断しつつクエスの方を見る。クエスは軽く頭を下げて同意を示す。


「わかったよ、こっちはうちの配下のNo.2。副将軍ルキュルを出そう。ルキュル!お前の鍛え上げた実力を見せつけてこい」

荒っぽい声を上げると離れたところにいた兵士たちの一段から紫色の髪をした女性が細身の長い剣を持って近づいてきた。


「では、二人はそこの中央にある実践用のエリアに上がりなさい。決闘よ、勝ち負けは死ぬか各自が降参した場合、もしくは支援者が降参を決めた場合のみで決まる、もちろん反則はない。いいわね?」


ルキュルとクエスは了解と頭を軽く下げると二人とも装備を取り出し軽く確認する。

そして案内役の兵士に先導されながら、左右からそれぞれ石が敷き詰められた実戦用のエリアの入口で待機した。


このエリアは周囲を1m程の高さの円状の壁で囲まれており、その中はすべて石のタイルが敷き詰められている。

通常の試合ではリングの外に出ると負けのようなルールもあるが、今回は遺恨を解決するための決闘であり

エリア全体がリングとなっているので、降参するか死者が出ないと勝ち負けは決まらない。


なお、試合中は円状に囲んである外壁から天井まで何人もの魔法使いが協力してシールドを張り、周囲に飛散した攻撃等を防ぐ仕組みになっている。

ちなみに闘技場とは違いここは訓練場だからか観覧できる一般席が100席ほどと、貴族たち専用の防壁で囲まれたわずかな席しかない。


光国には魔法使いや魔物の戦いを見世物にするための闘技場のような大きい施設が別に2つはある。

そちらにはここと違って観客用の十分な席数が用意されている。



ルキュルの強さはここの者たちには十分に知れ渡っていた。光の属性もL43で文句なしの一流だ。

だがクエスの強さは未知である為、貴族たちはみな勝負の行方を各々で予想し始める。


「ふん、うちのルキュルがあんな女などとっとと降参させてみせるさ」

と自分の部下の勝利を疑わないバカス。

ちなみに試合の中断を宣言できる支援者はルキュルにはバカス、クエスにはメルルとなっている。


「あの子の実力がどれほどのものか、この試合でじっくりと見極めたいわね。仲間になったとしても間近で見れる機会はそうそうないでしょうから」

そう言って決闘の内容を注視するメルティア


「確かに。これは見ごたえのある一戦になりそうだ。そう考えるとバカスの一計もなかなか妙計と言えるかもしれないな」

シザーズは楽しそうにメルティアの意見に同意した。


メルルは不安そうな瞳でただ黙ってクエスの無事を祈っている。

ちなみに決闘終了時の治癒対応は既に女王側で準備されていたのでメルルは見守るしかなかった。


「メルル、そう不安そうになるな。お主が信じてやらねば誰が信じるというのだ」

そう言ってボルティスは優しく励ます。

ボルティスの励ましにメルルは少し表情が柔らかくなるものの、まだ不安は完全にはぬぐえないようだった。


「どちらかが死ぬと・・荒れそうで面白そうかもね」

一歩距離を置いてレディは面白そうに決闘が始まるのを待っていた。


女王フェニーは何も語らずクエスの一挙手一投足を注視する。

中級貴族を滅ぼせたのは不意打ちを含めた運か、圧倒的実力か。


圧倒的とまでは言えない実力ならばこの決闘はかなり硬直したものになるだろう。

バカスはクエスが降参するまで辞めさせるつもりはないだろうから、危険な状況になればこの決闘を権限を使って中断させる事も考慮に入れる。


ルキュルといい勝負ができるだけで、すでにこの連合にとっては欲しい人材だ。

そんな優秀な者を万が一にもこんなくだらない決闘で失うわけにはいかない。



クエスとルキュルは共に戦いの為に服を入れ替えると共に石のリングに上がる。

周囲には配置された兵士たちによって円柱上の魔法の障壁が展開された。


クエスは肩当以外は金属部分もなく対光用のびしっとしたスーツのような服に下は膝まで隠れるスカート。

ルキュルは黄色の対光防御力の高そうなローブにも見える動きやすそうな服装だ。

クエスは母の形見の剣を右手に10m離れたルキュルと向き合った。


「ルキュルさんよろしくお願いします」

クエスは決闘の形式がわからなかったので模擬戦の時の様に相手に向かって礼をした。


その例に対してルキュルは呆れた顔をする。


「あんた、決闘よ。礼なんて不要」

そういうとクエスに対して剣を向けてきた。


「抜けてるお嬢さんに教えてあげる。私はあなたが降参するまでこの決闘をやめるつもりはないわ。もちろんこれを計画したバカス様もよ。

まぁ、今すぐに降参すれば貴方をバカス様の妻にして助けるよう助言してあげるわよ?」


ルキュルは勝ち誇ったかのように饒舌に語りだした。

ルキュルにとっては勝って当たり前とされている今回の仕事。苦戦するだけで汚名に繋がりかねない。


ルキュルにとっては正直とっとと降参してくれというのが本音だった。

不意さえつけば今回のクエスのやったことぐらい自分でもできると思い込んでいたからだ。

これは貴族の中でも最も偉い上級貴族に仕えている者の傲りでもあっただろう。


その発言を聞きクエスは冷静に相手の動きを確認しながらも徐々に怒りがわいてくる。

もちろん負けるつもりはハナからないが、最初は後々のためにいいところで手を抜いて相手に降参してもらおうと思っていた。


ここでトラブルを大きくするとその後もバカス等から下級貴族のアイリーシア家に嫌がらせされる可能性があるからだ。

だが、止めだ。止め止め。自分の実力をなめられる方が結果的に危機につながると判断した。


「そうでしたか、では殺す気で行かせてもらいます」

クエスは今一度落ち着いて相手を見据え、剣を構えた。


試合前、この相手なら時間をかければ確実に勝てるだろうと思っていたので、考えるべき問題はどこまで実力を見せるかだった。

光属性は全力を見せてもかまわないが、宙属性での戦闘はあまり知られていないものなので出来るだけ奥の手としてとっておきたい。


とはいえ、相手も間違いなく実力者のはずなので油断や慢心は厳禁。

まずは防御を固めながら相手の実力を見極め、どうしても必要ならば宙属性を使った戦いの一部を晒す。

クエスは心の中で方針を決定した。



「それでは試合開始!」

女王が音を拡大させる魔道具を使い、離れたリングの上も十分に聞こえるような声で試合開始を告げた。


ルキュルはさっさと試合を終わらせるべく、クエスが魔法の詠唱に集中し動かない様子を見て先手を取った。

少し雑にだが素早く<100の光矢>をけん制として発射。クエスは<光の盾>を素早く形成すると受け止めながらも型を作り続け様子を見る。


次にルキュルは<光の鞭>を両手から出しクエスの足を狙うもクエスは後方に飛んで回避。

回避されてもなおクエスの体をを捕えようと<光の鞭>を伸ばすが、クエスは横に回避して飛んできた鞭を剣で切断する。


その切断動作により自分から視線を外したのを隙とみて、ルキュルは右手の剣に<斬撃光>を使い斬撃を飛ばす。

クエスは発動の速さに少し驚くも、とっさに<光の強化盾>を発動し斬撃を受け止め、そのまま切りかかってきたルキュルの一撃を受け止めた。


接敵されたクエスは力で剣を押し込んでくるルキュルに反撃を試みようとするが、ルキュルの<光のハンマー>がクエスの右横側から叩きつけるように飛んでくる。

クエスは咄嗟に対光属性用の小さく丸い盾を取り出し、左手で持ったまま魔力を一瞬込めて右から飛んできた光のハンマーに投げる。

盾とその魔力に威力を殺されつつも、<光のハンマー>は盾ごとクエスの右腕を叩きつけ、クエスはそのまま吹っ飛ばされた。


その衝撃で左側に飛ばされる瞬間、クエスが押し合いになっていた剣を滑らせルキュルの右二の腕を狙うも、ほんの少しかすった程度で避けられた。

飛ばされたクエスは大したダメージもないかのように即立って、ルキュルの追撃を警戒する。



観覧席にいる貴族たちはじっと闘いの行方を見守る。


「いい感じに押しているなうちの副将は」


バカスは上機嫌で笑っているが他の貴族はクエスの善戦を見て感心していた。

かなりの腕前で通っているルキュルが圧倒するのではと思っていたものが多かったからだ。


「いい感じの試合ね。クエスはルキュルと互角かその上といったところかしら?」

女王はそう近くに座らせたメルルに対して問いかける。


「私には互角のように見えますが・・ミントはどう見ていますか?」

「そうですね、いつもの姉の戦い方とは少し違う気がします。様子見にしては手を出さな過ぎのような」


不思議そうな感じで戦いを見つめてるミントを見て女王は

「そう、それはまだお楽しみがあるということかしら?」

とだけ言ってリング状の戦いに視線を戻した。


いつも読んでくださりありがとうございます。

そろそろ2章も終わりが近づいてきました。早く3章に行って主人公を・・


ブックマークや感想、評価など戴けると大変うれしいので、余力のある方は何卒よろしくお願いいたします。


魔法紹介

<光の鞭>光:地面や体の背中・手首・足首などから伸び縮みする鞭を2本出す。相手を捕えたり、障害物等に絡ませ方向転換や自分を引っ張っての移動に使う。

<光のハンマー>光:自分の体を中心に横、縦に光の円柱状の塊を振る。手は使わない。接近戦専用。ハンマーに見えるかは人それぞれ。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
cont_access.php?citi_cont_id=977438531&s
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ