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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
2章 下級貴族:アイリーシア家の過去 (18話~46話)
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姉妹の復讐劇4

※今回は残酷な描写があります※

ご指摘を頂いたので、行間を開けつつ読みやすくしてみましたがどうでしょうか?


<あらすじ>

家の仇を討つため目標の者たちがいる場内に進入したクエス。

生き残った長女としての役目として、ひとり殺戮劇の舞台に上がる。




クエスは兵士が来ていた装備を着けて、門から庭を一気に駆け抜け城内に侵入した。


事前に調べていた情報だとターゲットの第1王子・第2王女の2人はこの時間毎日訓練所で汗を流しているらしい。

夜中に訓練所へは誰も近づかないのか、衛兵にすら出会わず通路を進み目的の場所へと足を進める。


「ミントの魔法が少し遅い……何かあったみたいね」


予定ではもう発動しているはずのミントの魔法が未だに感じられない。

何か緊急事態が起こったのではと不安になりクエスは一瞬引き返そうと思ったが、事前にミントと相談した時のことを思い出す。


「お互いに何かあったとしてもまずは自分のやるべきことを遂行する。自分が危険な時は互いにわかるようにして迷わず逃げる…だったわね」


まだミントから目立った連絡はないが逃げ出したような雰囲気はない。となれば、ここは迷わず進むしかない。


周囲に注意しながら数分進み、目的の個人用の訓練部屋の扉の前まで来た。

中からは剣を交える音、魔法が使われている音、そして話し声も聞こえる。


「さて、きっちり刈り取らせていただく」

クエスは気分を改めると、すっと暗い目をしてただただ目標を殺すことだけを考えて扉を開けた。


個人訓練所は換気のためあちこち小さい窓が開いているがほとんどは対魔法障壁の張られた壁で囲まれている。

こういう場所は腕のいい魔法使いが他人に対策されないよう、あまり外に知られたくない練習をするための場所だ。


クエスが扉を開けたとき左側に第1王子アキトが剣の動きを何度も確認するように同じ動作を繰り返しており

扉の正面の壁際にその動きを確認するかのように、第2王女のメルニが立ちながら見つめていた。


「なんだ?」

格好から見て一般の兵士が急に扉を開けたと思い、第1王子アキトは不快な表情になる。


「そこの兵士、ここは今の時間立ち入り禁止だ!名を名乗って即刻立ち去れ。罰は後で下しておくからな、わかったか」


第2王女メルニも睨みつけながら兵士の格好をしたクエスに、第1王子がキレてお前を襲う前に帰れと顎で指示をしてきた。


「申し訳ありません、実は」クエスは報告を装い頭を下げる。

その対応に二人の国王からの何か急ぎの報告でもあるのかと気を緩めた。


それを見たクエスは急に突進し、2m程先にいたアキトに対して剣を突き刺す。

気を抜いていたとはいえアキトはなんとか反応し必死に体をずらす。

心臓はずらしたものの、右胸にクエスの剣を受けて驚き苦しむアキト。


クエスはさらにアキトに突き刺した剣を、やや後ろにバク宙するように飛び上がりながら胸から肩まで切り上げ、1回転して1m程離れた場所に着地した。


クエスは切り上げる途中にはすでに魔法詠唱に入っていた。

メルニは右胸から右肩まで切り裂かれ血を吹き出す兄の姿に驚き動揺する。


間髪を容れずクエスは細く絞った<収束砲>を放つ。


慌てたアキトは左手で<光の強化盾>を展開し受け止めようとするも盾は貫かれて腹部に直撃。

貫通は防いだもののその威力で壁まで飛ばされて気絶する。

アキトは上半身裸だったため、腹部の皮膚深くまで収束砲で削られて出血しながら崩れ落ちた。


「貴様何者だ!」

メルニは怒りに任せて訓練用の剣を投げつけると、続けて<光の槍>を放つ。


クエスは無言で<斬撃光>を使って斬撃を飛ばすと剣を避け、光の槍を自分の剣でずらすようにかわし間を詰める。

メルニは本装備の剣を虚空から取り出し飛んできた斬撃を受け止めて

近づいてくるクエスに対して<百の光矢>を放つ。


「無駄なけん制を」

クエスはそうつぶやくと体の周りの魔力障壁を強めてそのまま詠唱し矢に対して突っ込む。

メルニの放った光矢はクエスの来てる鎧や肌に届く前にクエスの魔力障壁を貫けず砕け塵になっていった。


「なっ」


メルニは驚く。メルニの光属性のLVは32

いくら光矢が大した威力でないとはいえ、L42~43の属性LVは持っていないとそうそうはじかれるものではない。

42以上となると、国を直接治める中級貴族の中でも国王・兵士のtop・最も優秀な子供のうち1人いるくらいだ。


クエスは左上から切りつけようとするがメルニはその一撃を剣で受け止める。

だがその衝撃までは受け止めきれず、そのまますぐ後ろの壁に叩きつけられた。


クエスはその位置から、受け止めるメルニの力を受け流そうとそのまま右側に横滑りする。

メルニは左側に動くクエスを目で追い次の一撃を防ごうと体を左側に向けようとしたとき、右側にある魔法に気付いた。


クエスが先ほど切りつける前に突っ込んできた、その進路の後ろに数発の光の槍が見えたのだ。

突撃時に自分の背中に現れるよう詠唱し、発射タイミングをずらしていたのだろう。

クエスが避けたと同時にそれらが勢いよく自分に向かってきたのだ。


くそっ、と思いながら右手に持った剣で飛んでくる5発の<光の槍>を何とかはじくメルニ。

だが少しはじき損ねたのか前に出していた右足のふとももをかする。

鈍い痛みを感じメルニは反射的に<痛覚鈍化>を唱えるが、その隙は彼女を死へと導くのに十分なものだった。


「ぐほっ」

メルニは突然の痛みと吐血に驚き正面を見た。

クエスの右手に持つ剣が自分の胸に突き刺さっていることに気づく。


「お疲れ様」


すこし微笑んだかのように見えるクエスの表情。

だが、それも一瞬で冷たい表情に変わる。


「死ね」


メルニはクエスの剣から光の魔力を流し込まれて体中のメルニの魔力がクエスの魔力と相殺される。

補助効果の<痛覚鈍化>の効果も一部無くなり激痛が走る。

メルニの体内の魔力を基にした硬さ(防御力)がみるみると落ちていく。


「っざせるかー!」

先ほどまで壁まで飛ばされ座り込んで気絶していたように動かなかったアキトは、いつの間にかクエスの左側で何とか立ち上がっており

右手に魔力を集め<収束砲>を放とうと構える。


咄嗟にクエスはメルニに刺している剣に<斬撃光>で光を帯びさせて切れ味を増すと

メルニの胸を大きく左回転して切り裂きながら右の壁沿いにいるアキトの額に剣を投げつける。


放たれたアキトの<収束砲>を倒れるようにかわすクエス。

アキトは剣が額に刺さり突き刺さり絶命した。


倒れこみながら瀕死のメルニと距離を取りつつ、立ち上がりながら<2重の切輪>をメルニの首に付ける。

魔力を流し込まれ出血もひどくやや朦朧としているメルニは

首にXの形状になっている光の魔法の輪が付けられていることに気付き死を悟った。


「ぐふぉ、なんでぇ、ばたしだちを…あんだは…」

胸からの出血は何とか抑えているものの吐血を繰り返しながらメルニはクエスに尋ねる。


この兵士が誰なのかを知っても今更どうしようもないが

せめて自分が殺される理由を知りたかったのだ。


「仇よ」クエスは表情を変えずにそう答える。

メルニは何のことかさっぱりわからない。生まれて20年、メルニ自身、恨みを持たれる形で誰かを殺したことはなかった。


何のこと変わらないと言わんばかりの表情をするメルニを見てクエスは優しく話しかける。

不幸とは突然訪れるものなのだ。私も体験したのよと言わんばかりに、可哀想にとクエスは寂しげな表情になる。


「いいのよ、何も知らなくて。じゃあね」


そう言うとメルニの首にある2つの輪が小さく締まりだし首を切り落とした。


クエスは剣を回収すると剣の血を振り落として腰に戻す。鎧に付いた血も<光の清浄>を使ってきれいにする。

その時かすかにミントの魔力を感じた。


「ん、<聴覚阻害>が来たかな?何かトラブルでもあったんだろうけど、問題はないみたいね」

少し安心したクエスは血が床や壁に飛び散った凄惨な個人訓練所を後にして次のターゲットを探し動き出した。


少し短いですが切り所がなかったのでこの辺で。

改行による見易さの改善は徐々に全話にわたって行う予定です。いいご指摘を頂けて感謝です。

今回も読んでくれた皆様、ありがとうございます。


魔法紹介

<2重の切輪>光:Xの形になった2つの円状の物で相手を縛り付けるのが一般的な使い方。今回はメルニの魔力が大幅に落ちていた為、切断するに至った。


修正履歴

20/07/19 タイトル変更・表現を一部修正・誤字修正

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― 新着の感想 ―
[一言] 要はくだらない復讐劇に巻き込まれた可哀想な人の話ね
2019/11/15 05:31 退会済み
管理
感想一覧
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