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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
2章 下級貴族:アイリーシア家の過去 (18話~46話)
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脱出へ 王夫オーリスの決断

反乱が勃発。これから先は戦闘が続きます。

少々おかしく見えるところはご指摘いただければ参考にします。修正もしますゞ


娘のミントが緊急事態を告げると同時に、会場には氷の欠片が散乱する。

明らかに普通の状況ではないことを悟り国王は立ち上がって大声で指令を出した。


「兵士たちよ、すぐに警戒態勢を! 数名は向こうにいるエリスの様子をすぐに確認しなさい」

国王の声に呼応した兵士たちが数名動き出そうとした時、その声に対応するかのように総隊長ベルグドが立ち上がる。


「皆の者、長い間待たせたが今こそ動き出すときだ!」


総隊長の掛け声を皮切りに状況が一変する。

出席した幹部兵士の大半が武器をアイテムボックスから取り出し

パーティーに出席していた大臣を含む文官達を次々と攻撃していった。

攻撃をしていないものは防具を装備して反撃を防ぐ態勢を整えている。


大勢が状況を呑み込めず混乱しているうちに、パーティー会場の石の足場と緑の芝生がたちまち血の海に沈む。

最悪なのは今さっきまで味方だった兵士が、裏切り者と裏切っていない者に分かれていること

そして国王側はどの兵士が敵でどの兵士が味方なのかわからないことだった。


総隊長をはじめ裏切った者たちは協力して国王側の兵士たちを1人また1人と各個撃破していく。

だが国王側の兵士は隣にいる兵士が本当に味方なのか確証が持てず、まとまって対処できなかった。


国王側の兵士や文官らは半信半疑のまま互いに距離を開けながらも、謀反兵たちからじりじりと離れて国王側に集まり距離を開ける。


これでひとまず敵と味方に分かれたかと国王側の者たちは一息ついた。そして国王側にいた文官が手の近くに魔力を集中させ中級クラスの魔法<光一閃>を放つ。

だがそれは、放たれる瞬間に同じ国王側にいる味方のはずの兵士に向けられ、不意を突かれたその兵士は肩を横から貫かれ片手がほとんど動かせなくなった。


魔法を使った文官を兵士たちが「貴様も裏切り者か!」と叫びながら切りつけるが

その隙を見逃さず裏切った兵士たちが魔法で攻撃する。


国王側は先ほどの出来事で近くにいる味方側と思われる兵士さえも信じられず、味方との未だに連携が取れない。

防戦でまとまることもできず一方的に1人また1人と潰されていく殺戮劇が繰り返された。


混乱した叫びを聞きつけ、先ほどまで宴が行われていた中庭に近衛兵が10名ほどやってきた。

「エルミ様、何が起こっているのですか」

状況を確認しながら彼らは5名ずつに分かれて国王と王夫の護衛に付く。

クエスも武器を取り出して、裏切った者たちの攻撃を防ぎながら母である国王の下にたどり着いた。


「お母さま、これは何が起きているのですか?」

クエスは武器を持つ手が震えていて、先ほど挨拶していた時の凛とした態度は消え去っていた。


「落ち着きなさいクエス、今は自分の身を守ることだけ考えなさい」

エルミはとにかく娘を落ち着かせる。それと同時に詠唱が終わったのかエルミの上空にたくさんの光の矢が現れる。


「不届き者たちよ、去れ!<千の光矢>」


1000もの光属性を帯びた矢の形をした魔力弾がエルミの上空に現れ謀反兵に向かって飛んでいく。

謀反兵らは光のシールドを展開して攻撃を防ぐが、数名がシールドを貫通され負傷しその場で膝をついたり傷口を抑えたりしている。


兵士が反撃しようとする隙も無くエルミは再び<千の光矢>を放つ

反撃しようと早まった兵士と先ほど負傷した兵士は矢を何本も体に受けてしまい倒れる。中には即死した者もいた。



「ちっ、初段での制圧が大失敗じゃないか。国王も加減なく攻撃してくるし娘1人捕縛できないとはな」


反乱軍の先頭に立っていた総隊長ベルグドは、仲間の兵士2人が作った<光の強化盾>で飛んでくる光の矢を防いでもらっている間に

槍に光の魔力を込めその槍を投げようとした……が、それはエリスの<氷岩射出>により妨害された。


横から少々ごつごつした20㎝の大きい丸い氷が4つ総隊長の方に飛んできて

正面にシールドを張っていた兵士は横から直撃をくらい吹っ飛ぶ。


ベルグドも一発食らった拍子に槍を落とし氷が直撃したわき腹をかばいながらも、咄嗟に氷の飛んできた方向に手のひらから<光一閃>を放つがそこには誰もいない。

エリスは氷の塊を飛ばした直後、側の兵士の足を凍結させてエリスに対する敵兵の攻撃を未然に防ぎベルグドに向かって接近していた。


「どこ狙ってるの?」

エリスはボソッと呟きながら、ベルグドの側にいた吹っ飛ばなかった兵士の首に接近しながら作り出した<氷のナイフ>を突き刺した。

刺さった氷のナイフが傷口に吸い込まれるように小さくなっていき、そこから凍結が広がる。


「が、が……」

兵士の喉が凍り付き声を発することが出来ず悶えながら倒れた。


エリスはこのパーティーで白く動きやすいドレスを着ていたが、今やドレスの部分の半分が真っ赤に染まっている。

元々はエリスが好む真っ白の品のあるドレスも、ある意味この場にふさわしい様相に変わっていた。

両肩にあった飾りは取れてしまい、左肩は生地が破れ露出している。


護衛を2人もやられたベルグドは側にいるエリスを嬉しそうに睨む。

「エリスお嬢様、おてんばが過ぎますな……がそこがまた魅力的だ」


そういいながら槍を手放した手にいつの間にか握られていたとげのついた四角いハンマーをエリスめがけて振り下ろす。

その攻撃をエリス冷静に後ろに飛んでかわし、両手から<氷のブレス>を出しベルグドの動きを封じる。その隙にそのままけん制で<十の氷矢>を飛ばしながら国王たちに合流した。

ベルグドは2m角の大きなシールドを張ってブレスを防いだようだ。



「エリスお姉ちゃーん」

合流したエリスにミントが泣きながら抱き着く。


「大丈夫よ、肩を少し切ったけどほとんど怪我していないから。ここに来るまでに6人ほどやったけど正直きつい状況」

エリスは淡々と答える。


クエスはまだ震えていたが少し落ち着いてきている。母エルミはエリスの無事を確認して少し安心した。


エルミは子供たちが人質に取られていない状況を見てこのままなら反乱軍が不利な状況になると判断する。

目の前にいる数十名の反乱兵だけなら他と総隊長のベルグドがいようとも、自分たちだけで削っていき対応できると思ったからだ。


「最初はうまくいったようですけど、もうあきらめた方がいいのでは、ベルグド総隊長。いや今はただの反乱者の一員ですね」


エルミは剣を向けたがそれに対して今や元総隊長であり反乱軍のリーダー、ベルグドは腹を抱えて笑た。


「以前からおめでたい発想する女王様だと思っていたが、この状況でも変わらないとは。あっはははは!」


その笑い声と同時に近衛兵の数名が動き出す。

謀反兵と対峙した右側、王夫と近衛兵5名の方では

近衛兵2名が腰の剣を抜き光のオーラをまとわせながら王夫を背中から切り付ける。


王夫は慌てて避けようとするも背中と腰に浅く傷を受ける。

残った近衛兵3名はその光景に一瞬体が固まり動きが遅れるも、裏切り者の2名に対して剣を突き立てた。

攻撃に魔力を集中させていたせいか裏切り者達は防御が薄く、剣が心臓まで達しそのまま薙ぎ払われ血しぶきを飛ばしながら崩れ落ちる。


一方、国王と娘たちの左側の謀反兵たちはベルグドの笑い声と同時に3人の近衛兵が動こうとした。

だが動こうとするも、足が地面に凍ったまま地面に張り付いていて重心がずれバランスを崩す。


魔力を剣に集中し攻撃の型に入っていた兵士1人に、エリスは氷のナイフを首に突き刺す。首から凍結し声を出せぬままその近衛兵は倒れた。

殺気を感じたエルミはバランスを崩した残りの近衛兵1名を横一閃に切断する。


残された1人は慌ててバランスを整え、再度攻撃しようとするものの、不意に横から飛んできた5㎝程の氷の塊に気づき慌てて防御。

その隙をエルミに縦一閃に切断されて絶命した。

エリスはその状況を確認したのち、のど付近が凍って倒れている兵士の首を表情を変えないまま剣で切断した。切断面は凍っているのか血しぶきは出なかった。



「くっ、つくづく面倒な方々だ。そのまま死んでくれればよかったものを」


ベルグドの顔からさっきまで見せていた余裕の笑みが消え、苛立ちで歪む。

しかし国王側も余裕とは程遠い状況だ。何とか奇襲は躱せたものの王夫は負傷し残った近衛兵も動揺。

何よりも会場の外を警備していた近衛兵に多数の裏切り者がいたことから

王城内に逃げ込んでも味方だけとは限らないのが最悪だった。


「オーリス、一旦城内に引くわよ。兵士も近衛兵も続きなさい」


自分たちを挟み撃ちに出来る好機を逃すここに来ない近衛兵は多分味方だろうという希望的な推測の元、共に城内に逃げること選択する国王エルミ。

ここで謀反兵たちを殲滅してもいいが、時間をかけすぎて城内からやってくる援軍が謀反兵側だった場合、挟まれることが確実となり大事な娘たちを守り切れない可能性がある。

それだけは避けたねばならなかった。


オーリスとエルミが中距離の魔法を飛ばし正面の謀反兵をけん制。

エリスは魔力回復薬を飲みながら時々漏れ飛んできた魔法を防いでいる。


前面の裏切っていない兵士と近衛兵は装備している盾や魔法で防御に徹して出口付近まで下がる。

相手は30名強こっちは近衛兵と兵士で15名と差があるものの、協力して防御に徹すれば簡単にはやられないはずだったが

総隊長のベルグドが放つ魔法が高火力な為か、未だに味方同士だと信じれずに連携が取れないからか、彼に狙われた兵士たちが1人また1人と倒れていった。


「オーリス、娘たちを頼みます。あのベルグドは私がここで片付けます」

国王エルミは状況を好転させるために夫の顔を見て娘たちを託すことを決意をするがオーリスは厳しい顔を向ける。


「エルミ、この状況では他に珍客がいるかもしれない。娘たちにはきみが付け。万が一を考えるべきだ」

彼は可能性の高い方をと、妻である国王エルミに娘たちを託した。


エルミの方が王夫オーリスよりもよっぽど腕が立つ。これ以上の想定外の敵がいた場合では自分では厳しいと判断した結果だった。


「なーに、そうそう負けはしないさ。城内が問題ないようだったら援軍の兵士をこっちに送ってもらえればいいからな」

覚悟を決めたオーリスはもうエルミや娘たちの方を見ない。ベルグドと彼が率いる裏切り者たちだけに集中していた。



この不確かな状況と夫の覚悟を理解したエルミは娘たちと兵士数名を連れて城内に逃げ込む。

怪我をしている夫とは今生の別れとなる可能性もあるが、いまは娘たちを守り安全な場所まで逃げ切らないといけない。

「クエス、エリス、ミント、希望の泉へ行きますよ」


エルミたちが場内に入ったことを確認したオーリスは、近衛兵2名兵士2名と共に防御偏重の後退から突撃へと転進した。

少しでも時間を稼ぐより、愛する妻と娘たちを追撃する敵を一人でも多く減らす、その決意を胸に抱いて。



今回も読んでくださった皆様ありがとうございます。

感想・評価・誤字を含めてご指摘、ありましたら遠慮なくお願いします。


魔法紹介

<光一閃>光:いわゆるレーザー。当てやすさが売り。威力は低め

<千の光矢>共通魔法・光:1000の矢を同時に放つ。基本的に個別狙い不可。

<氷岩射出>氷:1個の氷の塊を空中に作り飛ばす。大きさは魔力で調整可能。脆い氷は作れない。

<氷のブレス>氷:別に口からじゃなくて空間から吹き付ける。くらうと視界が遮られるのも特徴。

魔法に必要なLVも仮設定であるのですが、まだ仮の状態なので未記入にしています。


修正履歴

19/01/22 【文中】兵士がのどが→兵士の喉が

19/02/01 改行追加

19/05/10 後書きの属性がなかったのを表記

20/07/17 表現を一部修正

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