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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
4章 コウ、師匠になる(112話~183話)
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マナの次のお仕事

ここまでのあらすじ


マナと一隊の4人は麻薬を作っているエリアへと侵入し、騒ぎが他へ広がる前に殲滅してその一帯を破壊しつくした。

その後戻った隊長のアルディオスとマナは報告書を作成し、上司へと報告に行く。


約束の18時の少し前、マナは書き慣れない報告書を何とか仕上げフラウーがいつもいる部屋の前でアルディオスを待っていた。

マナは報告書を紙2枚にまとめただけだったが、隊長のアルディオスは報告書を8枚もってやってきた。


それに気づき、自分が持っている2枚の報告書をちょっと見て複雑な表情をしつつ、マナは扉をノックする。

直ぐに扉が黄色に光り、マナとアルディオスは部屋へと入っていった。


ちなみに多くの報告書は普通データとしてまとめられるが、一隊や二隊の仕事内容は紙にまとめられて地下に収納されている。

これは何かあった時にすぐに処分しやすくするためであり、簡単に情報を盗めないようにするための措置だとマナは聞いていた。


2人が入ると、フラウーは執務用の机から移動して横のテーブルへと移動する。

それに合わせてマナとアルディオスもフラウーの正面のソファーに座った。


「今回も問題なく片付いたようね。まずは無事で何よりだわ」


「事前の調査が正確だったのでだいぶ助かりました」


「それでも人数がはっきりしなかったから、不安はあったんですけどね」


アルディオスが偵察隊を褒めたのに、マナはちょっと不満をぶつけてくる。

アルディオスは驚いてマナを注意しようとするが、フラウーはそれを見てアルディオスをなだめつつ笑った。


「確かにそうね。ある程度の実力はチェックしていたとはいえ、人数も大事だとは思うわ。

 でも、見つからずにそれをきっちり調べるのはかなり厳しいから、マナも理解してあげなさい」


その言葉に少し迷いつつも、マナは首を縦に振る。


「それで、報告書を見せてもらうわね」


そう言うとフラウーは、渡された計8枚の報告書を手早く確認していく。


報告書には倒したと思われる相手の数、討伐の流れ、結果居たと思われる人数やその配置、焼き尽くした畑のおおよその面積など様々な情報が記載されていた。


特に盗賊や傭兵と思われる魔法使いの所には、戦いの中で推し量った相手の魔法LVが表記してあった。


魔法使いの魔法LVは偵察ではなかなか分かりにくく、実際戦闘したものの方が正確に把握しやすい。

このLVの高さ、特に大将のLVにより盗賊たちの規模がどれくらいなのかある程度想定できるので、この情報は特に重要だった。



フラウーが報告書を読んでいる間、アルディオスは木の箱に雑に入れられた24個の魔石を机の上に置く。

魔法使いが死んだときに出来る魔石は戦利品としての価値もあるが、一番の価値は本人確認に使えるというところだ。


魔法使いのデータは、闇の国の活動者でもない限りほとんどが光の魔法協会に保存されている。

通常はそのデータを簡単には開示してくれないが、本人が死亡している場合はあっさりと照合してくれる。


そしてその死亡を証明するのが、魔法使いが死亡した場合にできる魔石となる。

(ちなみに魔獣も死亡した場合に魔石になるし、魔獣の体の一部を切り落としても一定時間後は魔力となり霧散するのでお肉にはならない)


正規の兵士ではなく冒険者的な存在である傭兵といえども、傭兵ギルドで仕事を受けるためには魔力パターンなどの登録は必須であり

傭兵ギルドはそのデータを魔法協会へと送るので、よほどの裏仕事に所属していない限り死亡後の魔石一つでどの傭兵団に所属しているとかの情報も割り出せる。


このような状況から、あえて苦労して傭兵を生きたまま連れて帰るメリットは少ないので、魔法使いは現地で処分して魔石として持ち帰ることが多い。


そしてそこから所属していた傭兵団を割り出し、その傭兵団にペナルティーを課したり傭兵団を討伐対象とすることで

貴族たちは処罰し治安を維持している。


ちなみに確認後の魔石は、犯罪に与していない場合兵士なら遺族へ魔石そのままか、魔石の売却額を支給することがほとんどだ。



「これで全部?」


報告書を読み終わったフラウーが魔石に気づき尋ねてくる。


「はい、少なくとも各人が倒したと思うものはすべて回収済みです」

「マナも?」


「えっ、えーっと・・ざっくりと工場全部燃やしたので自信はないけど・・たぶん」

「そう」


ふふっとフラウーは笑うと魔石の入った箱を受け取りアイテムボックスへと収納した。


「これは魔法協会に問い合わせておくわ。傭兵が混じっていたのならこの魔石から所属の傭兵団がわかるでしょう。その対処はこっちでやっておくわね」


「お願いします」

アルディオスが頭を下げたのを見てマナも頭を下げる。


「しかしこの報告書を見ると今回はかなり手早く済ませたのね、何か懸案事項でもあったの?」


「はい。偵察資料で見た感じと現地に傭兵と思しき存在が多数あったことから、これが完全な単独組織とは思えなかったので援軍が来る前に叩こうと少し急ぎました」


えっ!?そうだったのと驚いた表情でマナはアルディオスを見る。


「では他にも同じような生産地があるというの?」

「可能性はあります。ただ工場1階の規模から言って横の製造協力という可能性は薄そうでしたが」


「捕虜からも販売の手口は少し聞き出せたみたいだけど、侵入経路はわからずじまいね」

「申し訳ありません。貴重な転移門の回数を1回使っておきながら・・」


「それはいいわ。常に結果が得られるなんて都合のいい話はないのだから」


フラウーも少し落胆していたが、とりあえずアルディオスをなだめる。

その後、戦いの映像とともに麻薬製造エリアの全体図や工場内部の様子を確認し1時間ほどで報告は終わりとなった。



アルディオスとマナが席を立つとフラウーが慌てて声をかける。


「マナ、ちょっと残ってもらえない?話があるのよ」

「はぁ・・わかりました」


アルディオスはフラウーに一瞬目を合わせるが、別に叱るわけじゃないというフラウーの表情を察して出て行った。

残されたマナは促され、先ほど座っていたソファーに再び座る。


「えっと、今回は私・・失敗してないと思ってるんだけど」

先にマナが恐る恐る主張するとフラウーは笑って返す。


「違うわよ、今回のマナの活躍は素晴らしかったわ。別に注意するために残したのじゃないから心配しないで」


「えっ、それじゃなんで・・」

「ちょっとマナにお願いしたい仕事が出来たのよ。まずはこれを見て」


そう言うとフラウーは3枚の資料をマナの前に並べる。

1枚目は建物の外観の写真、2枚目は対象の人物の写真と情報、3枚目は仕事の内容だった。


この資料はマナが麻薬撲滅の仕事を受ける前日にとある人物からもたらされた情報が元となったものだった。



◆◇◆◇◆◇◆◇



数日前の事だった。


その日フラウーはとある人物との約束があり、いつもの執務室で相手が来るのを待っていた。

約束の時間ちょうどになると、扉をノックする音が聞こえる。


「フラウー様、予約されていたお客様がお見えです。よろしいでしょうか?」

「ええ、構わないわ」


フラウーが大声で返答すると、直ぐに扉が開かれ1人の金髪で小柄な女性が部屋に入ってくる。

その女性はメルティアールル家の継承第1位、中級貴族の王族であり三光でもあるボサツ・メルティアールルだった。


「お忙しい中お時間をいただき有難うございます」


丁寧にあいさつするボサツ。

フラウーは軽くあいさつに答えると、自分の向こう側の椅子に座るよう促した。


「私にとって、ボサツは大事な支持者でもあるわ。そんなに気にしないで。それで急な用とは?」


「はい、フラウー様が保護していらっしゃるマナさんことです」


想定外の内容に一瞬体を強張らせてフラウーはボサツを見つめるが、ボサツは悪意などないですよ、と笑顔を向ける。

口外していないはずのマナの事をどこで知りえたのかと驚きつつも、フラウーは息を吐いて落ち着くとボサツを真っ直ぐ見返した。


「よく知っていたわね」


「女王として推す方のことはちゃんと調べておくべきと言うのがわが家のやり方ですので、お気を悪くしたのなら謝罪いたします」


「いいわよ。私とネイ・ルードラゴスの仲がよかったのは私たちの派閥内でもそれなりに有名だったから」

少し寂しそうにマナの母親のことを話すフラウーを見てボサツは軽く頭を下げた。


「それで?まさか知ってますアピールの為だけに来たのではないのでしょう?」

「はい」


ボサツが少し笑うと、フラウも合わせる様に少し笑った。

ボサツは警戒されていることを承知で、踏み込んで話し出す。


「マナさんはここ数年、色々とお仕事をされていると聞いています」


「ええ、そうね。じっとしておけない性分のようでね。悲しい話、何かさせておいた方がトラブルが減るのよ」


「でも仕事の内容としてはフラウー様も快くは思ってないのでは、と私は考えております」


少しだけ何と返答するか迷ったフラウーだったが、ボサツが思った以上に情報を得ているのでここは素直に答える事にした。


「ええ、個人的にはあまりやらせたくない仕事ね。でも私が次期女王になるのに最低限の功績は必要なのよ。

 その上動きたくてうずうずしている駒があるのなら使わざるを得ないわ」


「そうですね。そこでご相談と言う事で本日は伺いました。彼女を、マナを私たちに預けてはくださいませんか?」


そう言われてフラウーが思ったのは、何の意味がある?と言う事だけだった。


マナは亡国の貴族の直系の者。下手に存在が知られると家の再興の道具として使われ、いらぬ火種を生み出しかねないので、フラウーはマナをあまり表には出していなかった。

いくらそこそこ優秀とは言え、そんないわくつきのマナをボサツがわざわざ引き取りにくる理由がフラウーには思いつかない。


それに三光の元にいるとなれば、嫌がおうにもかなりの脚光を浴びるはずだ。

それ位理解できるはずのボサツがそばにおきたいという理由がフラウーには見当がつかなかった。


さらに言うとボサツはあまりトラブルを好むタイプではないので、この申し出自体がかなり不自然だとフラウーは感じた。


「確かに私の元に置いて今のような仕事をさせておくよりは、マナは幸せになれるかもしれないわ。でも、なぜ?」


「言い方が正確ではありませんでした。正確には私の弟子であるコウの元に弟子としておきませんかという提案です」


「コウ?ボサツの弟子にそんな名前・・あぁ、あのクエスの弟子でもあるあの」

「えぇ、あの、です」


ボサツは少し困惑した表情でフラウに答える。

フラウもコウのことは少し耳に入れていた。


いかんせん、師匠がトラブルメーカーで有名なクエスだ。

フラウーは最初話題になったころはさほど興味を示していなかったのだが、周囲から噂話がなかなか消えないので最低限の情報は抑えていた。


しかし、1年ほど前にクエスとボサツの弟子になったばかりのよくわからない男に、親友から託されたも同じのマナを預けるのはさすがのフラウ―も抵抗がある。


「そのコウっていうあなたの弟子は、そんなに実力があるの?マナは実戦をこなしているし、なかなかの腕なのよ」


「確かにマナさんは実力があると思いますが、コウもかなりの腕です。得意属性は風と水でマナさんに対して有利に取れますし

 何よりもあのボルティス様が先日コウの戦いを見て実力を認めたほどですから」


「へぇ、あの堅物のボルティス様がね」


ボルティスの堅物っぷりは有名なので、彼が実力を認めたと言うのはかなり堅い保障になる。

また、弟子と言う環境はマナにとっても悪くないとフラウーは思い始めた。


マナは才能はあったものの、優秀な師をつけることも出来ない状況だったのでマナの戦い方は実地によってのみ鍛えられていた。

それはそれで悪くはないのだが、基礎的な部分が抜けている事もあり、色々と足りてない部分が報告書でも見え隠れしている。


最近は少し周囲から学ぶようになったとは言え、フラウーとしてはマナに基礎を学ぶ機会を与えたいとは思っていたのだ。


フラウーが少し考え込む。

少なくとも今の暗殺者のような環境に置いておくのは、今は亡き親友のネイが喜ぶ結果とは思えない。


ただ男の弟子にするのには少し抵抗があるのと、ボサツが何の目的で提案してきたのかが見えず、フラウーは迷っていた。

更に言えばそんな目立つ師匠を持つ注目の弟子が師匠になるのなら、マナも必然的に目立ちトラブルになる懸念もある。


ここでフラウーが目的を聞けばボサツはすらすらと話すだろうが、それが本心とは限らないとフラウーは考えていた。

様々なことを考えた後、フラウーはボサツに尋ねる。


「ねぇ、どうしてうちのマナを弟子に選んだのかしら?」

「理由は2つです。1つは次の女王を決める際に下手に中立派の感情を刺激しない為です」


それを言われて女王は自分がその可能性を忘れていたことに気が付く。

マナの元の家は滅ぶ前は中立派に属していた。


彼女の存在が明らかになれば、中立派としては家の再興の為にマナを家を御旗として使いたいはずだ。

そうなればマナは男をあてがわれ、子をとりあえず作り、家の再興のための礎にされる可能性が高い。


そしてそれを隠していた事がわかれば、フラウーは中立派からの支持を失いかねない。

そうなれば期待していた融和派からも失望され、女王への道は閉ざされる。それだけは避けねばならない道だった。


「そうね、私としては上手く隠せていると思っていたのだけど・・ボサツが知っているならそうとは言えないわね」


「もう1つはコウに刺激を与えたいのと上手く扱えるか師としての才能を見ておきたいのです」


「なるほど、一応双方に利があると言うわけね」

「はい、そのつもりです」


フラウーは話を利いてそれは案外悪くないと思った。

後は目立つ点だけが気になるところだ。


「しかし、コウの師は貴方たちでしょ?いかんせん目立ちすぎるわ」


「その点も対応できています。今回コウは特殊属性の扱いと、アイリーシア家とメルティアールル家の技術融合を秘匿事項として道場で指導する形をとる予定です。

 ですから他を排除した形でルーデンリアの貴族街に住み、師として指導するためマナさんのことはあまり外に漏れないと思います」


「へぇ、考えたものね。確かコウは貴族街に住むとは聞いていたけど・・それなら誰が弟子か名前くらいしかわからないと言うわけね」


「はい。クエスが考えましたがいい案だと思っています」


話を聞いていくうちにフラウーにとっても、マナにとっても悪くない話だと思えてきた。

何よりも暗殺まがいの仕事をさせずに済むし、基礎的な部分を鍛えられる。


ボサツが言うように、マナをこのまま傍に置いておけば、次の女王を決める際に懸念事項になりかねないのも事実だ。

総合的に考えて、ボサツが持ってきた話はかなりいい話だとフラウーは判断した。


「わかったわ。それで、マナを預けるなら何か書類にサインでもすればいいのかしら?」


「いえ、ちょっと状況が複雑なのです。まずこの件をクエスは知りません。なのでちょっと工夫が必要です」


そう言うとボサツは資料を取り出し、スケジュールやタイミング、コウがルーデンリアに住み始める時期を教え、どうやった方がいいかを説明した。

それをフラウーは熱心に聞いていた。


「わかったわ。それなら仕事としてマナに命令しておくわ。しかし、クエスは怒らないかしら?」


「そこは私がフォローします。それに既成事実を作ってしまえば、クエスとて手出しはしにくいはずです。

 そもそも私が弟子を選定する役目を負っていますし、フラウー様の関係者なら後から愚痴をこぼす事ぐらいしかクエスにも出来無いと思います」


「なかなかえぐい事を考えるわね。まぁ、ここはとりあえず貴方の案に乗るわ。但し、彼の情報はマナを通してもらうわよ」


「そこは問題ありません。コウは将来的にはフラウー様の扱う大事な魔法使いになる予定ですから」

「なるほど、そこも目的のひとつね」


その後簡単な打ち合わせが続き、フラウー側で資料を作ってこの計画を進める事となった。

そしてコウの弟子になるように、フラウーはマナを動かすことになる。



◆◇◆◇◆◇◆◇



マナはフラウーが並べた3枚の資料を手に取って、それぞれを何度か読み返しながらうなづいていた。


「どう?ちょっと今までとは毛色の違う仕事になるけどやってもらえないかしら?」


「フラウー様の指示ならもちろんやりますけど・・私この人の弟子になって大丈夫ですか?しかもこれ、期限なしなんですけど・・」


師弟関係といっても正直言って様々だ。

ただ道場で一緒に暮らす師弟関係、特に住み込みということになると師弟関係が非常に濃くなりがちであり、様々な弊害が起きる場合もある。


単に師弟関係といっても様々で、コウとクエスたちのような家族的関係もあるが、絶対的な上下関係を強要する場合や、男女となると肉体関係の問題が起こる場合もある。


さらに今回は貴族間では一般的な期限の設定もない。

マナとしてはいつ戻ってこられるのかもわからない、無期限の潜入工作員になれと言われているのに等しかった。


マナは暗殺、裏工作の仕事をしてきたこともあり、先ほどの例でいう後者のような良くない師弟関係を度々見てきたので

今回の仕事内容にある『正式な師弟関係になり、共に生活して実力や思考の詳細な情報を得る』という部分を簡単には受け入れきれなかった。


そのマナの不安を少しでも解消しようと、フラウーは説得する。


「割と人がいいと聞いているのでマナが考えているようなことにはならないと思うわよ。コウの師は一光と三光だから悪辣な男ではないと思うわ。

 そんなとんでもない男だったら、一光も三光も立場上そんな弟子の存在は隠し通すか師弟関係を破棄するにきまってるでしょ」


「まぁ・・確かに、そうですよね」


ちなみにフラウーはクエスやボサツとの関係をマナに話していない。


出来るだけ貴族のごたごたに巻き込ませないようにと配慮した結果だったが、この時ばかりは話し手おいた方がいいかなとも思った。

だが、結果的には自分の狙いをマナに悟らせないためにも話さないことにした。


「それで、この弟子になる(くだり)・・なんか面倒なんですけど、なんでこんな流れに」


「色々とあってね。内部から情報はもらったんだけどその人は直接の協力は出来ないのよ」

「はぁ・・」


「そういう状況でもきっちりと仕事をこなすのがあなたの役目よ。マナ、頑張りなさい」

「分かりました。情報を伝える手段はこの中で使える方法を適宜取りたいと思います」


マナも弟子入りしてコウの情報を取ってくるこの仕事に納得したようで、やる気に満ちた表情でフラウーを見る。


「期間は決まってないので長くなる仕事になるわよ。そして、あくまであなたは弟子、いいわね」

「はい。では今から準備を整えて当日に備えます」


そう言うとマナは立ち上がり、フラウーに今までの感謝を込めてなのか深く礼をすると扉を開けて退出した。

フラウーは仕事に戻ろうと執務用の椅子に座ると軽くため息をつく。


「これでよかったのよね。あの子が今後、本当の弟子になりたいかどうかであの子の人生が変わることになる、か」


フラウーは引き出しを開くと、白い枠の写真立てのような物を机の端に置きスイッチを入れる。

そこのはフラウーとマナの母であるネイが2人で仲良く映った映像が映し出される。


「貴方が喜ぶような結果になることを・・祈るしかないわ」

そうつぶやいてフラウーはそのまま仕事をつづけた。


少し遅くなりましたが、今話も何とか修正できup出来ました。

いつも読んでいただきありがとうございます。


これでマナの軽い深掘り話はおしまいです。

次回は金曜日に更新予定です。もう8月になるのか・・暑い。


変更履歴

19/09/08 『先ほどの例でいう』という言葉を追加

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