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異世界からのスカウト ~光と闇の狭間に立つ英雄~  作者: 城下雪美
1章 魔法使いになります! (1~17話)
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座学:属性を知ろう!①

まずは実践よりも基礎知識のお勉強。

知識よりも実践と言いますが、やはり基礎は大切です。

でもこういう回は読者はささっと流すくらいがちょうどいいのかもしれない。。。

ちなみに①としましたが次話は②ではありません。というか②の予定が立たない。


おいしそうな食事のにおいが部屋中に広がる。

そういえば昨日の昼以来何か食べたっけな?そう思いながら布団からのそのそと起きた。


起き上がりながら昨日を思い出すと、契約後力尽きて意識を失ったような気がする。

そう考えると師匠が布団に寝かせてくれたのだろう。本当にありがたい。


が、服装が変わっておりローブみたいな服に着替えされていたことに気付く。これは寝巻だろうか、ありがたいような…。

あっ、下着は………ちゃんと?変わっていない。これならセーフ、だよな?


「おっ、起きたわね。食事のにおいに釣られたかな?」

クエス師匠が笑いながら話しかけてきた。ううむ、起き抜けにいきなり笑顔を見せられると思わず可愛らしいと思ってしまう。

それに幸せな気分にもなる。ここでの生活は本当に楽しい。


「なんか嬉しそうにするのもいいけど、早く食べなさい。今日からいよいよ魔法の修行の開始よ」

「はい」


俺は期待をもって元気よく返事すると、椅子に座って何の動物かわからない肉の入ったスープとレタスのようなみずみずしい野菜をほおばった。

温かく食べ応えのあるスープと新鮮な野菜を食べ体に力が湧いてくる。

この時俺は気づかなかったが、この食事も魔法力強化の一環だった。



食べ終えた後クエス師匠がてきぱきとお皿を片付けていく。これが驚きの光景だった。

まぁ、片付けていくというか…木製のお皿が空を飛んで水の溜められた桶みたいなものの中に百発百中で入っていってるんだけど。

もちろんクエス師匠はお皿の方を見てもいない。


「べ、便利ですね」

「あー、そうね。今のコウには便利に見えるけどさっちゃんがやるともっと便利に見えるわよ」


もっと便利ってどんな風になるんだろう?と思いながら俺は最後の1枚のお皿が飛んでいくのを眺めていた。


「私はちょっと出かけるけど、少ししたらさっちゃんが来るわ。10分ほど待っていなさい」


クエス師匠はそういうと部屋を出て行った。仕方がないのでいつもいるこの大部屋で胡坐をかいて待つことにする。

何となく手持無沙汰で両手を見るともやもやと魔力が出ているのに気づく。自分でも不思議な感じだった。

「俺、魔法使いになったんだよな……」


試しに出ている魔力止めようとして両手に意識を集中すると放出が少し抑えられた気がした。

「おぉ、すげぇ」

逆に集中して放出するイメージをやると最初よりももっと濃くはっきりと魔力が出ていることがわかる。


出ているもやもやが魔力だとわかるのは師匠たちにもこういうのが周囲に出ているのがわかったし、

それを観察していると魔力を感知できてるね、と言われたからだ。


「うーん、これをどうやって火とか光とかに変えるんだろうか。あ、そうか火は使えないんだったか…」

独り言を言いながら出力を変えて遊ぶうち、出した魔力を霧散させずに留めて形を作ったりしようとしたがあまりうまくはいかない。


「これも修行になるのかなぁ」

そうぼやいているとボサツ師匠が俺のいる大部屋に入ってきた。


「コウ、まずは基礎的な属性を教えます。座学になりますがちゃんと覚えてください」

そういうとボサツ師匠はついて来なさいと手招きをして、この間の精霊契約の時とは別の扉から出て廊下を通り一番奥の部屋に入った。


扉を開けると本がいっぱいある部屋だった。図書室だろうか?

そこにこちらと向こうで2人ずつ、計4人が座っても十分自習できそうな大きな机があり、そこに1つだけおいていた椅子に座るよう指示された。


「では・・の前にまずはここの部屋ですが、ここは色々な魔法に関する本を置いている本の倉庫です。暇な時はいつでもここで自主的に学んで構いません」

ボサツ師匠は優しく笑って、両手を広げながら説明を続ける。


「優しい内容から難しいものまでいろいろありますので、読みやすい本を見つけた時はその机に置いたままにしていいです」

俺はボサツ師匠がいろいろと教えてくれる度に首を縦に小さく振った。


これは小学生のころからの俺の癖だった。

大勢の中でハイ!と言うのは目立ちたがりっぽくて性に合わず、でもわかっていることは示したい性分でよく無言で首を縦に振っていた。



「それでは、まず基礎知識の属性の話から始めますね。今コウは何の属性を使えるか覚えていますか?」

「はい、風、水、光、氷の4つです」


昨日契約したばかりなので忘れるわけがない。とりあえずスラスラと列挙したが、使えるという実感は全くない。

まだ先ほどちょっと独自でいじってみたが、風や水って感じは何もなかった。


「では、それは少し置いておき、基本の5属性と呼ばれてる属性を紹介しますね」

そういうとボサツ師匠が左手を前に出す。よく見てみると手のひらの上に魔力で丸い球を作っていた。

「見えますか?」その質問に「はい、魔力でできた球っぽいものがあると思います」

ボサツは嬉しそうに笑った。


「うーん、才能がある子はやはりいいですね~。これを見えるようになるまで根気よく教えるのは結構手間なんです」


ちょっと悦に浸っているようにも見えるが、触れないでおこう。

そして師匠は言いながら足元に魔方陣を出す。と同時に師匠の手にあった魔力が別ものに変わる。


「で、これが光の魔力です、違い分かりましたか?」

「はい、はっきりと・・それ俺もできるんでしょうか?」


あの魔法陣ぽいのを出せばいいのか!と思ったものの、そもそもそんなものどうやって出すのか見当もつかない。

五芒星が円の中にあって、その縁は数㎝光っていて、その周りになんか文字みたいなマークが区切られて浮かんでいて……複雑すぎる!

これは覚えられる気がしない。と思考がぐるぐると回り無理っと思ってしまった。


「ええ、できます。基本的なことですからすぐとは言えませんが出来るはずです。コウには才能があるのですから大丈夫!」

「えっ、いや、さすがにその形をすぐに覚えるのは、ちょっと厳しいと思うんですが」

と早速降参をしようとすると


「ああ、そうですね、やり方を話していませんでした。ですがコウならやり方を教えなくてもできそうな気がしたんですが……」

目の前の女性、ボサツ師匠が無茶を言っている。


いつも丁寧に話してくれる雰囲気の師匠だが、時々無茶ぶりしてこちらを試している気がしなくもない。

ボサツ師匠ってSじゃ、ないよね?

まぁ、今は気にしても仕方ないんだけど。


「さすがに、無理ですよ。やると言っても見当が付きませんし」

情けない俺の声に師匠はふふっと笑っていた。


「からかうのはここまでにして、そうですね、昨日の契約のことは覚えています?」

「あ、はい。しっかりと覚えているつもりです」


初体験というだけじゃなく新鮮な体験でもあったので印象は強い。

それに、気分的なことかもしれないが魔素体になってから体が良く動くだけじゃなく、記憶もよくなった気がする。

昨日の儀式の些細な配置を今でも明確に思い出せるし。


「それならその時コウの体に入っていった魔力を思い出して、それを捉える感じを出してみてください」


うーん、精霊と契約したということは、同時にそれを感じられるということなのだろうか?

とりあえず最初に契約した風の精霊を思い出してみる。


あの時の穏やかな風の雰囲気を、あの精霊の感覚を、目を閉じて探す……探す、奥の、体の奥そこまで。

なんだか中に大きな力を感じ、それに触れるように近づいていく。


自分の周囲に今までとは違う雰囲気が沸き立ち、微弱だが穏やかな風に包まれてる気分になる。

「えっ、ええ、これが?」


気付くと自分の足元には先ほどの師匠の足元にあったのと似た魔方陣がある。

ただ、円の外のマークは5つで師匠の20個以上あったのとは大違いだったが。


今の自分の周りにある魔力・・これが風の属性の魔力なのだろうか?

目の前にいる師匠はなんだかすごくうれしそうな表情をしている。偶然出来ただけですよ、偶然。

そんなにうれしそうな表情をされると、複雑な気分になります。


「うーん、素晴らしいですね!これが出来るまでは数日かかると思っていましたが、これなら即くーちゃんに引き渡せます」

「あ、いや、たまたまですよ。無我夢中でやっただけで…」

「一度出来てしまえば次からはつっかえることはないはずです。自信持ってください」


自信かぁ。今までは凹むことばかり経験していたが、どうやらここでは違うらしい。

とはいえ直ぐには気持が切り替えられないなぁ。



「少しずつ魔力を各属性に変えていく練習をしつつ座学をやろうと思っていましたが、不要な配慮でしたね。まずは属性の基礎をしっかりと学んでいきましょう。

 話がだいぶ逸れてしまいましたが、まず基本の5属性と言うのは光・火・水・風・土になります」


おぉ、ゲームでもよく聞く属性だ。

だけどそれが基本となると氷は基本に入っていないのか……まぁゲームや小説によっては氷は水に入ってたりするするからなぁ。


「ではそれぞれの特徴を教えていきますね。大事なのでしっかり覚えてください」

というと、師匠は属性の特徴を次々と述べていく。



光: イメージカラー:薄黄色

攻撃・防御・回復・補助すべての方面にそこそこ強くバランスのいい属性。

基本5属性の中で他の4属性に対して防御面で有利が取れる。

攻撃では土と水に対して弱い。火と風に少し強い。


「他の属性より優れていて全方面にバランスがいい属性です。それが光属性の一番の特徴です」

「光の属性が優れているから、光の国が強国となったんですか?」

とりあえず聞いただけでは最強の属性に聞こえる。確かに光の属性は色んな作品やゲームでも上位に位置付けられていることが多い。


「うーん、そこは私もよくわかっていませんね。私が物心ついたときは既に光と闇の2強の世界でしたので」

「そうなんですか」

今考えてもしょうがない事なのでとりあえず次の話に集中する。



火: イメージカラー:赤色

ほぼ攻撃に特化した属性。補助魔法も少しある。

攻撃面は基本5属性に対しては風にのみ強い。他では氷に強い。


「火属性はイメージ通りだと思いますが攻撃特化の属性になります。光の連合でも使える人が多いです。実際2番目に多い属性だったはずです」

俺の知識でも火と言えば攻撃魔法だ。大体は持っている知識通りの特徴だった。



水: イメージカラー:水色

回復・防御に寄った属性だが一応攻撃もあり補助もある。

攻撃面は火・土に強い。


「水は回復効率が良いので戦場では大切な属性になります。また攻撃面もこぶし大の水玉をぶつけたり、水の噴射で貫通する攻撃系も結構強いです」

水玉とは水風船を投げつけるイメージだろうか。重量あるし痛いのかもなぁ、と雑な想像をする。


「ここは光を優先とする国家ですが、水はそこそこ優遇されているのですよ」

「やはり回復要因として必要だからですか?」

「ええ、それもありますが、単純に水を作り出せるので数名いると色々と役立ちます。補足ですが、光が第一属性の魔法使いに対してでも光属性より水属性の方が回復の効率はいい傾向があります」


回復の効率もあるのか。覚えることがずいぶん多そうで俺は少し頭を悩ませた。



風: イメージカラー:薄緑色

攻撃・防御・補助どれもそこそこの属性。回復も存在する。

攻撃面は土に強い。


「風は少し目立たない属性ですね。周辺の索敵にも役立つ属性なのに評価されてないと言っても過言ではないかも、ですね」


俺、第一属性なんですが・・だけど索敵か。確かに使い方によっては役に立ちそうだとちょっと心の中で喜んだ。

目立つような派手な強さも嫌いじゃないが、いぶし銀の活躍をする存在ってのもなかなか格好いいと思う。



土: イメージカラー:茶色

防御が特に強いが、攻撃・補助もこなせる。回復は範囲系のみ存在する。

攻撃面は火に強い。


「土は光の攻撃に対して防御効率が良いので光の連合内ではあまり快く思われていない属性ですね」

「なるほど、そうなんですね」


と納得しつつも防御だけでしょ?ならいいじゃんと思ってしまうが口には出さない。

光に権力が集中しているからそうなるのだろうなぁ、と解釈しておいた。



「基本5属性の簡単な紹介はこんなものです。正確には攻撃側・防御側で色々と変化するものなので詳細は本を見て学んでください」

「ありがとうございます。色々と有利不利あるんですね。大体は自分が持ってた知識と一致してましたが」


ゲームや異世界小説を読んでいる俺には確認にしかならなかったな、と心の中でちょっと強がってみた。


「今回のは光を中心とした基本5属性ですが、光のところを闇に入れ替えると闇の国側の基本5属性になるので覚えておいてくださいね」

「なるほど。でもそれって基本6属性にした方がわかりやすくないですか?」


俺の素朴な疑問に師匠はちょっと顔をしかめて俺を見る。


「光と闇は長年対立していますから、ここでは問題ありませんが他所でそれを言うとトラブルの元になります」


師匠の指摘に俺ははっとした。

光と闇が長きに渡って対立していることに対して様々な感情があることを俺は全く認識できていなかった。


かなりやばい発言だったのかもしれないと思い、師匠には頭を下げて謝罪した。

師匠には次からは気を付けましょう!と明るく言われたのでとりあえずホッとした。



「基本属性以外にも属性はあるんですよね?俺は氷持っていますし」

「ええ、そうですね。基本属性に入っている属性は使用者が多い、関連施設が多いという点で基本という扱いになっているだけですから

 基本属性は他の属性より強いとかそういう差はありませんので安心してください」


関連施設・・研究施設とかかな?そういえば俺がやった精霊との契約をする施設もあるのだろうか?

気になったので聞いてみることにする。


「関連施設ってどのようなものがあるんですか?」

師匠は、俺の質問に少し面倒な表情を見せた。


「ん~、まあ色々とあるのですが……関連施設は精霊との契約や精霊に祈りを捧げる神殿。あぁ神殿はその属性の魔石販売やインフラのサポートもやっています。

 あと魔法研究施設。これは魔法の効率化や新しい魔法の作成もやっています。が、最近は腐敗しきっていてダメですね、ほとんど何も生み出さない不要な存在になっています。

 そして主に管理業務をやっている魔法協会。光属性協会とかです。ここも権力とお金ばかりを追い求めて・・まぁ、魔導書の販売もやってはいますが」


うーん、聞けば聞くほどあの優しそうな師匠からも辛らつな言葉が出るほどの腐敗のオンパレード。

まぁ日本でも汚職とか色々ニュースやネットでやってたし変わらないと言えば変わらないんだが。


魔法というすごい便利な技術革新どころじゃないものが存在し、それが当たり前の世界に来ているというのに……結局どこも代わり映えしないものなのか。

この異世界に来てまだ3日目というのに、もうこの世界に少し落胆した。


「まぁ、全てが全て腐敗しきっているわけではないですから」


明らかに落胆している俺を見て、ちょっと言いすぎたかなと心配そうな表情で俺を見る師匠。

心配しないでください、師匠。魔法が存在する素晴らしい世界という夢から早めに覚めただけ良かったと思っています。


「まぁ、気を取り直してコウが使える氷の属性を紹介しますね。氷は光の連合で第1属性としている貴族の家はありません

 第2属性としている一家は中級に一つありますが、凄腕はまず見ない属性ですよ」


どうやらかなりレアな属性扱いで俺は驚いた。

ゲームや小説では水属性に分類されていたり、攻撃としてもそこそこ強い属性だと思っていたのに。


氷: イメージカラー:青色

かなり攻撃寄りの属性、防御も少し存在する。

攻撃は水や土に強い



その後雷の属性概要を教わり、強弱関係も説明された。

「ちなみに氷と雷を入れた力関係は、火→氷→水→火(火は氷に強く、氷は水に強く、水は火に強い)

 風→土→雷→風と3つの属性でループする3すくみ関係になっていますから覚えておいてください」


その後、さらに光属性に対して強い「聖の属性」を説明されて午前中の座学は終了した。


説明の間に時々、「風の魔力を出してみてください」「光はどうですか?」と自分の魔力を契約した4つの属性に変える練習をさせられたが

どうも水の属性に変えることだけは上手くいかなかった。


師匠は「氷と契約したことが一因かもしれません」と言っていたが

同時に「そう悩むことではなくしばらくすれば出来るようになります、気にしすぎは良くないです」とも言われたので後でまた頑張ってみるかと軽く考えた。

なんせ俺には才能が有るらしいから。

らしい、なんだけどね。比較する他者がいないので全然実感は湧かないけど。


設定の話や日常回はどうしても中だるみしてしまうんですよね。

それこそ腕の見せ所でしょ、ということなのですよね。

わかってはいるのですが、そんな実力がないのが悔しい。うむむ・・重い課題だ。


設定だけ別に箇条書きの方がましだったか。


修正履歴

19/01/30 改行追加・前書き修正

19/04/22 光属性の優位性を「やや」に変更。

19/06/30 誤字、表現を少し修正

20/07/14 主に表現を修正

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