3.お城へ
「お嬢様!何色のドレスに致しますか?」
「みんなにおまかせする!」
本日はデザイナーさんを呼んで、新しいドレスを作るために、生地や色を選んでいます。
さすがお嬢様、お店に向かうのではなく、来てもらうだね…………
「シャーロット様はとても可愛らしいですので、どんなドレスでも似合うと思いますわ!」
テンション高めに話すこの女性はお母様ご贔屓のデザイナーのソフィアさん、結構すごい人で先代の王妃様のドレスを作ったこともあるんだって!40代半ばくらいの見た目だけど、実際もっといってたりするのかな?
「シャーリーは黄色のドレスを持っていなかったし、黄色にしてみましょか」
「素晴らしいお考えです!奥様!」
なんか、大人が楽しそうにやっています。
私はドレスとか、流行とか知らないからおまかせした方がいいよねー。
「なら、私が今考えているこのドレスなんていかがでございましょう」
それは、黄色のドレスでスカートの部分が真っ白のチュール、スカートの下の方に春らしい色合いの花の刺繍が施してあり、後ろの大きな黄色のリボンがとても可愛かった。
「こ、これ!!これがいいです!お母様!」
珍しく興奮している私を見て、お母様はびっくりしながらも頭を撫でてくれた。
「シャーリー、とても気に入ったのね。ソフィア、これでデザインしてもらっていいかしら」
「えぇ!喜んでお受け致します。」
「とても可愛らしいドレスが出来上がりそうでいまからワクワクしますね!」
メアリは女の子の顔をしながら喜んでいる。可愛いものはいつでも女の子の見方だ。
1ヶ月後、お手紙といっしょにドレスを届けてくれたのは、ソフィアさんのお弟子さんだった。
『直接お届けに参れませんで申し訳ございません。大きな仕事がありまして、少しの間、国外の方に出ることになってしまいました。
シャーロット様の綺麗な瞳に合うように少しデザインを変えさせて頂きましたので、気に入っていただければ幸いです。』
黄色一色だったのが、黄色から少し赤へ変わるグラデーションになっており、色鮮やかな花の刺繍が赤い薔薇になっていた。
前のデザインよりも少しだけ大人っぽくなったドレスは、私にぴったりだった。
「ソフィアはいつでもいい仕事をしてくれるわね!」
「お嬢様の真っ赤な瞳がよく映える、素晴らしいドレスです!」
お母様もアンナも気に入ってくれたみたい!
私もすごく、このドレスが気に入ったよ!ソフィアさん、ありがとうございます!!
数日後
ソフィアさんにつくってもらったドレスを着て、アンナに髪を整えてもらっています。
「どんな髪型に致しましょか、やっぱり、お嬢様の綺麗な銀髪が映えるようにしたいですわね」
肩よりも長い私の髪を軽く巻いて、白い薔薇のついたカチューシャで髪を止めて、耳を出した。
「妖精のようですわね!シャーロット様!」
鏡に映った自分は、なんだか自分じゃないみたいで少し恥ずかしかった。
前世じゃ感じたことのないこの感覚、すごい不思議。
あぁそうそう、私がなぜこんなにめかしこんでいるかと言うと、今日はお城へ行って、王様へ挨拶をするからです。
アンナといっしょに馬車に乗ってお城へ向かう。
ガタガタと揺れる馬車から見える初めての外の景色はすごく新鮮で長い時間見入ってしまった。
1時間もかからないくらいでお城についた。
前世では、テレビやアニメの中でしか見たことがないようなヨーロッパのお城。
ただただ大きかった。
「シャーリー!!」
門の前で立ち尽くしている私に声をかけたのは、お父様だった。
仕事が忙しく、家まで迎えに来れないことを昨日の夜散々嘆いていたので、私に会いたくてしょうがなかったのでしょう、とても嬉しそうです。
「お父様、お城はとても大きいですね………」
「あぁ、そうだね。私はいつも来ているからよく分からなくなっているよ」
はっはっはっーっと笑うお父様はやっぱり凄いですね!こんなところに毎日お仕事できているだなんて!
ニコニコとしているお父様は私の手を取りお城の中へ入っていった。
そんなお父様を見たお城で働いている人達は全員険しい顔をしている…………ナゼ………?
「シュタインフェルト様が笑顔だぞ…………」
「俺…………初めてみました。」
そんなことを誰かが呟いたのが聞こえてきた。
お父様、お仕事の時どんななんですか………ちょっと今度見に来てみよう………
「さぁ、シャーリー、いまからこの国の王に挨拶をするからね、まぁそんな緊張しなくてもいいよ!」
えぇ、そんな軽く言わないでお父様ー!
お父様は、扉の前になっている兵士二人に目で合図するように扉を開けさせた。
「失礼致します、シュタインフェルト、王に我が娘の挨拶に参りました。」
「うむ、」
お、おぉ、王様ーーー、
金髪青目のまだ結構若い?お父様と変わらないんじゃないかな…………
でも、やっぱり、オーラが違う………
「シャーリー、挨拶を」
「初めてお目にかかります、シャーロット・シュタインフェルトと申します。」
オーラに圧倒されたのか、ちらっと見ただけでうまく顔が合わせられなかった。
なんか、緊張する……………
「これから国の民として、よろしく頼む」
「はい…………」
王様はすごく優しい目をしている。そんな立派な王様の隣でちょこんっと立っている男の子。
あの子が、レオン・オーフェルヴェルク…………