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第7話「初陣」

 ドゴォォォォン!という大音量の爆発音と揺れで目が覚める。

 まだ外は真っ暗だ。


 女神様に忠告された戦闘開始の合図だろうな。

 幸い左手にはさっき貰った弓がある。

 戦闘も地球にいたころの身体能力ではなくステータス分の補正があるし、システムのサポートもあるらしいので何とかなると思いたい。

 今はゼルバさんが【吸魂】スキルの対象のはずだから、その分の能力値補正とスキル貸与も有るから戦えるはずだ。


 『緊急依頼!ヴュステが何者かに攻撃を受けている。各員ギルドへ集合もしくは各自の判断で迎撃』


 ギルド員の証である指輪から通信が入る。

 中立国に攻撃してくるのは魔族か邪神とかだろっと思いながら急いで宿から外に出ると、フルアーマーに身を包んだゼルバさんのお父様が巨大な斧を担いで仁王立ちしていた。


 「おう!あんたも戦ってくれるのか!ビビってんならこの宿屋にいれば安全だぞ!」


 確かにビビってます。でも部屋に閉じこもってたらアライブの世界に来た意味がないもんな。


 「戦います!襲撃を受けているのはどこですか?!」


 「港の方で爆発があったが陽動かもしれん。ひとまずギルドへ行...」


 頭上から振り下ろされる一撃。

 それを斧で受け止めているゼルバさんのお父様。


 「あんたはギルドに行ってこい!こいつらなんぞ一人で十分だ!」


 「え?」


 全く反応出来なかった。

 上空から攻撃されたのだ。

 空には両手が翼、足には鋭い爪があるモンスターが旋回している。ハーピィだっけ?


 やばい。

 これはやばい。

 全く体がいうことをきかない。

 やっぱりいきなり戦うとか無理じゃね?モンスター怖すぎだしこりゃ死ぬわ。

 どこかまだゲーム感覚でいた自分が情けない。ちょっと漏らしてる。


 『初陣なんてそんなものだぞ、アルバ殿。ワシが憑いとるから大丈夫じゃ!』


 全裸ではなくフルアーマーに身を包んだゼルバさんが目の前に立つ。

 服着れるんじゃねーか!

 全裸は趣味か!いや、今はそんなのどうでもいいわ!


 『心の中でスキルを呼び起こせ!【蛮勇】じゃ!』


 「【蛮勇】?」


 あ、声に出しちゃった。


 その瞬間、目の前のモンスターに対して恐怖心は消えていた。

 向こう見ずの勇気か。

 ありがたいスキルだなっ!


 その後は自然と体が動いてくれた。

 矢筒から矢を取り出し、弓に矢をつがえる。

 のんびりと射法八節をやってる場合ではないので、ハーピィの1匹に対し引分け、会へと移り狙いを定める。

 2~3秒ほどで離れ、矢を放つ。


 「ギャャゥ!」


 あ、翼に当たった。ちょっと嬉しくなるね。

 でも致命傷じゃない。

 残心を置き去りにすぐに次の矢を取り出すと、


 「こいつで最後じゃぁぁー!」


 お父様の一撃で真っ二つにされていた。

 他のハーピィはすでに絶命しており、お父様は返り血を浴びてはいるが怪我は無いようだ。


 「腕は悪くないようじゃな!最初ちびってたみたいだが新人か?」


 バシバシと肩を叩いてきた。

 くっ!妹さんの比じゃない。肩がっ!砕けるっ!

 たった2発だがダメージが半端じゃないな。足元の石床割れてるし...

 なんとか耐えれたのはきっとゼルバさんの補正があるからだろう。

 ありがとう裸族。


 「はい。昨日傭兵登録したばかりでして。」


 「そうかそうか、ひとまずギルドへ行ってこい。ワシは宿屋と客を守る義務があるからの!」


 ここはお父様一人で余裕みたいだし、俺はギルドへ向かおう。


 「わかりました!さっきは危ないところを助けて頂きありがとうございました!」


 俺は傭兵ギルドのある街の中心部へ向かって走り出した。

 念のため矢はつがえたままで近接戦闘用の刃も出し、襲撃に備えてはいるが反応出来るのかは自信がない。

 夜でも街灯があるので見えない事はないが、この状況での戦闘は正直嫌だね。


 「...を中心に円陣を組め!突破するぞ!」


 「...て逃がすな!包囲を緩めるなよ!」


 ギルドに向かっていると金属のぶつかる音と叫び声が聞こえてきた。

 あっちでもモンスターの襲撃か?と思い急いで向かうと、人間同士で戦闘が起こっていた。


 帝国と共和国の兵士か?確か戦時中とは聞いていたが、中立の国で何やってんだと思いながら物陰から様子を窺う。ギルドは後回し。


 囲まれているのは6人の男女。その内1人を守るように展開している。あの紋章は【エーベネ共和国】だったかな。

 包囲しているのはヴュステの兵士だった。20人ぐらいいるんじゃないかね。


 ん~状況がいまいち理解できん。

 中立国内で共和国が何かやらかしたのかな?

 ヴュステから陸地へと向かう橋の上での戦闘。

 ひとまず国外へ逃亡しようとしてるのかな?

 俺はヴュステの傭兵だが兵士ではないので、参戦する必要はないだろう。

 このままギルドへ向かうべきなんだろうけど、


 包囲されてる共和国の女性カワイイのよね。

 


 ハーレムを志す者として見過ごすべきではないと、きっと女神様も思うはずだ!


 ちょいちょい援護射撃をしてやれば、力は共和国兵の方が上みたいだし人数差は何とかなるだろう。


 そう思い、下心満載で弓を構える。

射法八節:弓道の基本動作です。

1. 足踏み(あしぶみ)

2. 胴造り(どうづくり)

3. 弓構え(ゆがまえ)

4. 打起し(うちおこし)

5. 引分け(ひきわけ)

6.かい

7.離れ(はなれ)

8.残心(身)(ざんしん)

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