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第2話「運命の始まりは幻の左」

 「求婚師?結婚詐欺師の正統派みたいな職業でしょうか?」


 女神様は傷付いていない左手でアイアンクローをしてきたが、今度はナイフで刺したりしませんよ。同じ間違いは犯さない男ですから。


 落ち着いて考えてみたら、目の前には美しい女神様がいらっしゃるのですよ。頭を鷲掴みされているが視界は良好。じっくり観察すべきでしょう!

 全身を包み込むオーラのようなものを感じられますね〜

 なんとなくですが。

 腰まである長い金髪には、自然と目がいってしまいますね〜

 あれっ?白髪が?苦労しているのかな…

 服装は白を基調としたワンピースがこれまた似合ってますよ〜

 ん?あのシミはケチャップでしょうか。ワインを飲むイメージではないので、ケチャップですね。

胸は慎ましい感じでちょっと、ほんのちょっと残念ですけどね!


 「吸・魂・師です!魂を吸いとる意味での吸魂!あと胸見て残念そうな顔するな!」


 あの〜俺の身体、宙に浮いてるんですけど…頭と首痛いんですけど…


 宙ぶらりんのまま女神様の説明が続いて、

 〈吸魂師〉とはアライブの憑代志願者が死亡した際、その魂を導く為の職業。俺が死なせてしまった30人の志願者の中には家族、恋人がいた。魂と対話し残された者たちへのアフターケアを行い、転生へと導くのがこの職業の仕事内容らしい。


 「これは強制ではありません。〈吸魂師〉の職業に就くということは、地球からのゲームプレイヤーとしてではなく、実際に【アライブ】の地へ降り立ち働いてもらう事になります。地球に戻ることもできません。そして、危険も多く、万が一アライブで死んだ場合は本当に《死》にますよ。」


 自分から何かします!と言っておいてなんだが、正直なところ死ぬ覚悟なんて全くない。だが、無念の内に亡くなった人がいるという事実がある以上、俺も何かを犠牲にするべきだと思った。

 どうせ独り身の俺は地球で死のうが、アライブで死のうが問題ないだろう。

 あっ、仕事が…社長ゴメンナサイ。あなたのヅラの事は誰にも言いません。

 そして異世界への憧れと、もしかするとハーレム的な展開も可能性があるのでは?!という下心ももちろんあった。だって男の子だもん。


 「俺に吸魂師の仕事させて下さい!死ぬ覚悟はありません。でもハーレムエンドを迎えるまで何が何でも生き残る覚悟はあります!」


 はぁ…というため息が聞こえ、身体が自由になり女神様から【アライブ】の世界について色々と説明を受けることになった。


 まず言語に関しては、ゲームシステムと同じで自動で翻訳されるので問題ない。

 初期装備や食料などもゲーム同様支給してくれるそうなので、しばらくの間は問題ないだろう。

 アライブにはメインの職業とは別に副職があり、そこは自由に選択できるので今回は〈弓師〉を選択した。元弓道部員だからゲームとかでも弓使いたくなるのよね。

 副職選べるからメインの職業関係ないってことは無く、熟練度の上限が違うのだ。

 俺の場合はメインの〈吸魂師〉は上限100だが、副職の〈弓師〉は50が限界。

 副職は50が上限でイベントで副職は増やしていけるが、全職合わせて150までらしい。

 チートで俺最強期待しましたが、ダメでした…


 「では最後に私からの餞別です。」


 そう言って、素早く繰り出される左ストレートを顔面に受けて、俺は意識を失った。


 「ナイフの件はこれでチャラにしてあげます」

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