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第22話「そうだね、プロテインだね!」

病院にて

ム「知らない天井だ…」

看「逃げないで下さいね」

ム「あ、はい…」


久しぶりに投稿出来ました。

素敵な筋肉はゼルバさんといい勝負だよ!ったく。


「助けて頂いて本当にありがとうございます。わたくしは《エリーゼ・エンジェル》と申します。御礼に私を貰ってくれませんか?」


いらねーよ!


「私はアルバ、彼はフムスです。有り難い事ですが、私には大事で危険な絶対にやらないといけない使命があります・・・貴方の様な素敵な(声と筋肉を持つ)女性?を危険な目に合わせるわけにはいきません。」


-----------


私の声が聞こえたということは、清い心の男性だわ。


一族の女性にのみ発現する能力「エンジェル・ボイス」。魔力を込めて発動し、全力で叫べば10キロほど離れた相手にも声を届けることができるが、相手によっては聞こえない事もある。

ハッキリした事はわかっていないが、今のところ犯罪者などの罪を抱えている者には聞こえないようだ。

一部の聖職者にも聞こえない事があり、陰で何かやっているのか、私の力が不安定なのか…


とにかく今は目の前の問題から片付けなきゃ!


それにしてもこの二人、かなりの腕みたいね。


レンジャイから聞いた話では、指揮官を遠距離から一撃で仕留める薄毛の弓使いに、広範囲の精霊魔法を使いこなすイケメン。


用心して幻視の指輪で筋肉オカマの姿を見せてるけど、アルバっていう薄毛には効果が無いのかしら?

私より背の高いオカマをイメージしてるから、普通だったら相手の視線も上を向くのだけれど、しっかりと本来の私の目線で話してくる。

確かに高位の魔導士には効果ないけれど、見た感じは冴えない男性なんだけどなぁ。


-----------


「恐れながらエリーゼ様、アルバ殿達のおかげで窮地を脱し、瀕死だったランピンクの治療までしてくれました。彼等には本来の御姿をお見せしても大丈夫かと。」


えっ…何?彼女変身してんの?


「そうですね。アルバ様は既に見破られているようですが…では、『プロテイン・オフ』!」


なんということでしょう!

その前にその解除の詠唱はどうなんでしょう⁉︎


筋肉オカマは麗しの令嬢に変わってしまったではありませんか。


ピチピチだったワンピースは胸部を緩やかに持ち上げ、美しい銀髪と麦わら帽子の何とも言えないコントラストは見るものを獣にさせる事でしょう。もうビンビンです。


それは遠い昔、あの暑い夏の日。

ヒマワリ畑をバックに彼女を見た時のあの淡い恋心を思い出させてくれます。そんな経験無いけどね!


ってか見破ってねーし!


ただ単に直視出来なかったから、ピクピクしてた大胸筋見てただけだし!


見破ってたら貰って下さいって時点で襲いかかってるし!


よし、今からでも大丈夫だ。問題ない。


ここは見破っていた定で話を進めて、上手い事『素敵!抱いて!』の方向に持っていきましょう。そうしましょう。


「アルバ様、改めて御礼を。本当にありがとうございました。」


「女性の助けを求める声には、全力で応えるのが私の信条ですので。ところで、最初に言われた御礼の『アルバさん、危ない!』アブェ⁉︎」


ちょ!フムスさん、何事よ!

変な声出ちゃったよ!


直後、黒くて大きいブツが墜ちてきたではありませんか⁈


どの位大きいかだって?


そりゃあれだよ。

5ゼルバ筋ぐらいだよ。


※1ゼルバ筋=2メートルぐらいにしよう。


えっ、単位が分からない?

俺も分からないわ‼︎


だってアレですよ。

ドラゴンですよ⁈


「美しい…」


ドラゴンを間近で見て、恐怖心もあったが、何よりその美しさに目を奪われ、自然と言葉が漏れた。


黒光りする鱗はなんとも言えない興奮を覚えるわ。


でもあれかな〜これって戦闘イベントかなぁ…


ええい、ママン!

『ままよ、ね。何よ、ママンって。』

あ、テンさん、お帰りなさいませ。


「何故こんな所にドラゴンが⁈エリーゼ様をお守りしろっ!」


レンジャイさん達は素早く展開し、ドラゴン相手にもビビってない…訳でもなく足はガクブルみたいだけどね。


『美しい?小さき者が我に対して、そのような反応を示すとは…毛は少ないようだが、見る目があるではないか!』


「毛はこれから生やすから大丈夫なんだよっ!」


『んっ?我の言葉を理解するとは…ただのハゲではないようだな。ならば手を貸せ。』


「ハゲって言ったな⁈ハゲって言った方がハゲなんだぞ!」


『何を訳の分からぬ事を言っておる。我に手を貸すなら、フサフサにしてやろうではないか。』


「美しきドラゴンよ。何なりとお申し付け下さい。」


そう、俺は紳士だ。

困っている者を見捨てたり出来ないのだ。

決して髪の毛の為ではないのだ。


『あ、私はドラゴンさんの着ぐるみが欲しいっ!』


アリシアちゃん!

何それ素敵っ!是非生着替えをっ!


俺とドラゴンのやり取りを、レンジャイさん達は驚きのあまり口をあんぐり開けて見ていたい。


フムスさんは今にも飛び掛かりそうだけど、やっぱりドラゴン相手には慎重になるのかな。


「ア、アルバ殿、ドラゴンと話せるのですか?なんと言っているジャイか⁈」


レンジャイさん、落ち着きなされ。

あ〜やっぱり普通は話せないのね。


はっ!これは、エリーゼちゃんの好感度アップのイベントではないのか⁈


ドラゴンと会話し、頼られる男なんてなかなかいないだろう。

髪と愛を得る事が出来るとは、なんと素敵なイベント!


「皆落ち着いて。この美しきドラゴンが言うには、私に助力を求めているとの事。この場は私に任せて、レンジャイさん達はすぐに避難して下さい。」


「し、しかしそれではアルバ殿がっ⁈」


「大丈夫ですよ。助力を求める相手を、すぐに殺すなんて事は無いでしょうから。

ただ、用が済んだ後どうなるかは分かりませんがね…エリーゼさん、生きてまたお会いできたら、その時に御礼の件改めて話しましょう。」


「わかりました、アルバ様…ご無事でっ!」


『我は別にお主らを食うつもりはないぞ?』


ドラゴンさんや、大事なイベントなんでもうちょっと待ってね。


君のためなら死ねる!って感じ出てますかね?


去り際のエリーゼちゃんの表情を見る限りきっと大丈夫だ。


『そろそろいいかの?』


あ、お待たせしました。

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