第19話「変態紳士は突然に」
騙されるな、俺。
憑代志願者が只のロリな訳無いだろう。
だか、見るよ!
脳内メモリー256MBぐらいしかないけど保存しとくよ!
俺は決してロリコンでは無いが、目の前に裸の女性が居るならば見るのがスジってもんだろ。
ん?スジ?見るよ?
くっ!俺の中のカルマがバンプしてしまう!
今こそ偉大なる先人達が遺した言葉を!
「YESロリータNOタッチ、YESロリータNOタッチ、YESロリータNOタッチ、YESロリータNOタッチ…」
あれ?
これは自分がロリコンだと言っているのでは?
「アルバさん?大丈夫ですか?」
フムスさんは落ち着いてるなぁ、ロリコンでは無いのね。
いや、俺も違うからね?!
落ち着いてない様に見せかけて、実はジョナサンがジョーンズなんだから!
・・・もうロリコンでいいか。
ロリコンの何が悪い!
「おじさんではないが、俺がアルバだ。隣のイケメンはフムスさん。料理上手で家庭的、強くて魔法も使える素敵なイケメンだ。お嬢さんの名前も教えてくれるかな?あと、女性は淫らに肌を露出させてはいけないよ。服はもってるかな?」
『血走った眼で見てるのに隠して欲しいの?じゃあ服着るね。私はアリシアだよ。アルバおじさん。』
うん。子供って素直だからね。
俺はおじさんなのか?
自分の年齢も思い出せないが、まだ二十歳ぐらいでいけるんじゃないだろうか?
ちょっと老け顔って事で、おじさんに見えてしまうのであって、さらに子供からすれば大人はみんなおじさんなんだ。
よし、俺は二十歳だ。
脳内会議中にアリシアちゃんは服を着たのだが・・・
「ふ、服はそれしか無いのかな?」
それは遠い昔の記憶の中に存在する、伝説の獣の着ぐるみだった。
でっていう、懐かしいな。
乗ってみたかったな。
・・・アリシアちゃんにじゃないよ。
どちらかと言えば、乗ってほし・・・
いや、違うからね。
『これが一番のお気に入りなの!ダメなの?』
そんな泣きそうな顔で見られてもおじさん困っちゃうわ。
「ダメじゃないよ!可愛くてアリシアちゃんに凄く似合ってるよ!ところで、アリシアちゃんは何かして欲しい事はあるかな?よかったら色々教えて欲しいんだけど。」
話した感じは普通の女の子だから、何か特別な事があって憑代志願したのかな〜
ってか今の状況を理解しているのだろうか…
『んーとね。私が住んでた村に行ってみたい!パパとママにもう一度会いたいの!』
「住んでた村の名前は覚えてる?」
『クルザス村だよ。私は魔獣に襲われて死んじゃったけど、パパとママは生きてるって女神様言ってたから!』
「・・・アリシアちゃん・・・わかったよ!アルバおじさんに任せなさい!」
小さな子の頼みは最優先で聞くのがロリコンってもんだろ!
シェーネスさん達が向かった村だし、ちょうどいいね。
外に出ると雨は上がっていたが、生憎の曇り空だった。
「アリシアちゃんはなんで女神様のお手伝いしようと思ったの?」
『んとね〜私って色々なモノに変身できるんだけどね、それを女神様が褒めてくれてたの!女神様にお願いして、家族みんなが天国に行けるように私がお手伝いする事にしたの!』
変身少女!
ぼんきゅっぼん!に変身してほしい・・・
いや、今のままでもそれはそれでいいんだが・・・
「アリシアちゃん凄いね!例えば何に変身できるの?」
『んとね〜鳥さんとか、ウサギさんとかかな。私より大っきいのは無理だよ。見てて。へ~ん、しんっ!』
そう言ってアリシアちゃんは変身して見せてくれた。
パッと見た感じ本物っぽいし、小さい子には楽しくてしょうがないのかな。
でも、ぼんきゅっぼん!は無理か・・・
変身できるのも自身より小さいモノって制限があるみたいね。
という事は・・・
アリシアちゃんを無事に転生させる事が出来れば、俺も変身能力を得られるって事じゃんよ!
これは夢が拡散する波動となってしまうね。
自分で言ったけど意味わかんないや。まぁ楽しみなのよ!
そんな訳で早いとこクルザス村へ行かなきゃね!
「貴様ら!何者だ!?」
あ、ヤベ!
ヴュステの兵士じゃんよ!
囲まれてるよ!
えーと、全部で5人ですか。
戦いたく無いね〜ってか、今の俺たちなら戦う必要ないよね。
「え?只のおっさん傭兵とイケメンですけど何か?」
そう言って傭兵の指輪を見せてやる。
こんな時こそ平常心だね。
可愛い兵士だったらドキドキしちゃってボロが出るかもしれないが、ただの男なんかに興味は無いわ!
ホントだよ!?
「ふむ、ランクの低い雑魚か。契約紋も出てないし、フリーで間違いないな。お前達、共和国兵を見なかったか?」
雑魚だと!
フムスさんに掛かればお前らなんてあっという間にボコボコだからな!
無益な殺生をしたくないから黙っておいてやるぜ!
ってか契約紋って何よ?そんなシステム聞いてないんですけど!
共和国か帝国のどちらに雇われたか判別出来ちゃう紋が出るとかヤバいじゃんよ。
「共和国兵ですか?特に見てませんが、何かあったんですか?」
「知らんなら用は無い!雑魚では役に立たないだろうが、死にたくなければ大人しく帝国側に付くんだな!」
「・・・へぃ、了解でやんす・・・」
適当に返事をしておこう。
北へ去っていく後姿を眺めながら、お前らなんて男爵に掘られちまえって呪いをかけておくのは忘れない。
そういえばフムスさんさっきから黙ったままだね。
そう思い振り返るとアリシアちゃんときゃっきゃうふふしてたよ。
いや、別にいいんだよ。
可愛い幼女とイケメン、絵になるじゃん。
そこに俺は居ないけどさ・・・
「あ、アルバさん話し終わりました?そういえば一緒にウチに来た人達追われてるんでしたね。あの兵士達消しておきます?」
「いやいやいや、大丈夫です!気にせずに行きましょう!」
消しておきます?って怖いわ!でもカッコいいわ!
「そうですか?アルバさんの障害になるモノは排除しますから言って下さいね。」
いや、そんな笑顔で言わないで。惚れるわ。
「そうそう、さっきアリシアちゃんから変身する能力貰ったんですよ!見て下さいっ!へ~ん、しんっ!」
何という事でしょう。
フムスさんは微妙な顔のおっさんへと変わってしまいました。
俺じゃねーか!
ってか俺いらない子?!どんだけだよ、オ○モダチ効果!
もうフムスさんが吸魂師でいいんじゃね?!
「どうです?すごいでしょ!アルバさんにも変身出来るんですよ!」
いや、すごいんだけどね。
俺がもう一人いても嬉しくはないよね。
「す、すごいですね~アリシアちゃんの能力もすぐに使いこなせるなんて、さすがフムスさんですね。」
もうフムスさんが主人公って感じだよね~別にいいんだけどね~
ちょっ!フムスさんやめて!俺のジュニア見ないで!
御立派様とか言って頬を染めないで!
『アルバおじちゃんも変身してみたの?はいっ、プレゼント!』
いぃぃぃよぉっしゃー!
なんて良い子なの!抱きしめてあげたいわ!
いや、NOタッチだよ。危ない危ない。
むふっ、むふふふふ。
誰に変身しようかなぁ~やっぱり可愛い子がいいよね!
「よしっ!へ~ん、しんっ!」
・・・ぴくぴく動くバスト!
・・・シックスパックなウエスト!
・・・男を誘うヒップ!
・・・股間の魔王!
なんで?!全身タイツなんかピチッとして気持ちいいけどなんで?!
話に聞いたゴブリン男爵装備じゃん!
「アルバさん・・・えっと、その・・・ゴブリン男爵になりたかったんですか?」
「いえ、違うんですよ?これはですね、念のために男爵の気持ちを知り、警戒しておく必要があるのではないかという私の深層心理が無駄に働いた結果といいますか・・・アリシアちゃん、戻り方教えて!」
『アルバおじちゃん!男前になったね!』




