第18話「旅立ちはロリータと共に」
おはようございます、アルバです。
女神様にはお会いできませんでした。
女神様はきっと忙しかったんだと思います。
俺と話すのが面倒だからもう放っておこうなど思ってらっしゃるはずありません。
・・・大丈夫だよね?
目の前ではクマナベさんとフムスさんが話しております。
・・・あれ?何でクマナベさん俺以外と話せるの?
「おはようございま~す。」
『お~起きたか、アルバ。』
「おはようございます、アルバさん。調子はどうですか?軽く何か食べますか?」
「もう大丈夫です。寝床ありがとうございました。フムスさんのご飯美味しいですからね。いただきます!」
いや~フムスさんマジイケメンだわ。
朝食も美味かったわぁ。いい奥さんになるね。
「ところで、お二人は何で話せるんですか?」
『あ~お前が寝ている間暇だったんでな。話しかけてみたら話せたぞ。』
「そうなんですよ。急に話しかけられて驚きましたけど、料理の話で盛り上がっちゃいましたよ。」
なんでだろ~なんでだろ~
あ、オ○モダチ効果かな。
「あ、あとこれも頂いちゃったんですよ!【開けクマ】!」
やぁクマ顔の門、昨日ぶり。
「すごいですよね!これがあれば大量の荷物を持ち運べますし、泉があるので水にも困らない。しかも中に入ってしまえば安全!クマナベさん本当にありがとうございます!」
そう言いながら、手を突っ込んだり体ごと出入りしたりしているフムスさん。
笑顔が素敵だわぁ。
クマ顔の門はおえっ、おえっと涙目ですが気にしたら負けです。ってか中に入れるのね。
「仕分けするために簡単な棚を作ってみたので、よかったら使って下さい。あと中に保管してあった物はこの巻物に書き留めてますので、時間がある時にでも確認して下さいね。」
なんという女子力の高さ!フムスさんが女性だったらアモーレしてたね!
『重要そうな事はフムスに伝えてある。お前は馬鹿で頭悪・・・、いやアホそ・・・、じゃなくて、物忘れが激しそうだからな!』
うれしいわぁ~その気使い超うれしいわぁ。
「アルバさん・・・それで、その、私も一緒に行ってもいいでしょうか?強くなったので戦闘でも色々お役にたてると思いますし、せっかく友達になれたので一緒に居たいと言いますか、寂しいと言いますか・・・」
くっ、イケメンがモジモジしながら上目づかいで見てくる時の破壊力は計り知れないっ!
「もちろんですよ!私からもお願いします。一緒に行きましょう!」
「ありがとう・・・ございます。これからよろしくお願いします。」
はっ!自然と右手を出してしまったが、フムスさんとの握手はヤバッ!
「あっ、ちょっ、フムスさん握るの強すぎますって!緩めてっ!アッ、アッ、アーッ!」
ええ、2回目ですよ。
また治してもらいますけどね。あれ意外と痛いんですからね。
ポーション使えって?
最初に怪我した時使ったけど、あれ飲んでも傷口にかけても、めちゃめちゃ痛いんだからね。
飲んだら体内から焼けるような痛みがあるし、傷口にかけたらじゅわぁぁ~ってむしろ酷くなりそうな感じなんだかんね!
まぁ治るんだけど。
もう癖になる痛みだからね!それが少し気持ちよく・・・
いや、そうじゃないんだよ。
「アルバさん、ごめんなさい・・・」
2回目のアメージングを終えて心安らぐゆとりの時間。
「いえいえ、でも力の使い方に慣れるまでは気をつけないといけませんね。」
3回目は勘弁してほしいので。
「それでフムスさん、この家とか荷物はどうされるんですか?クマ門に入れておきます?」
「必要な物はアルバさんが寝ている間に入れておいたので、残りの荷物は置いていきます。入口は塞いでおくので、魔物達に荒らされる事もないでしょうから。」
すこし寂しそうな表情だ。
長年過ごした家を出るとなると、寂しいものがあるよね。
『よーし、お前ら。旅立つ前にクマ門からいくつか取り出して準備するぞ~』
クマナベさんから言われて準備に取り掛かる。
『まずアルバ。お前はゼルバの斧と弓どっちも使うのか?』
「そうですね。使いこなせるか分かりませんが、色々な武器で戦っていくつもりです。メインは弓で考えていますけど。」
斧でも戦えない事はないんだよ。
ゼルバさんの戦闘知識もあるから戦えるんだけど、小心者の俺としてはまだ接近戦は抵抗がある。
それとゼルバさんから引き継いだ能力値なんだが、どうやら俺の筋肉がひょろい為、ゼルバさんのステータスから引き継げたのは10%程度なのよ。
『それならこのポーチを装備して、武器を登録しておけ。』
そういって指示されたのが、この【アーモリー・ポーチ】だ。
見た目は4つのポケットが付いている小さなポーチなんだが、異世界おなじみのマジックバック的な物で、1ポケットにつき1種類の武器を登録し収納ておくことが出来る。
収納だけならクマ門の中に入れておいてもいいんだけど、戦闘中に出し入れなんて無理だろうって事で、【アーモリー・ポーチ】の出番なのですよ。
使い方はいたって簡単。登録したキーワードを言うだけ。
『弓』と『斧』で登録しておいて、最初は弓で戦いながら敵に接近されたら『斧』と言えば使っていた弓が収納されて斧が出てくる。なんとも素晴らしい仕組みなのだ。
『フムスは武器何使ってるんだ?』
「私はただの木の棒ですよ。ほとんど魔法で狩りしてましたから。」
『今までは木の棒でも十分だったろうが、クマ門の中にある棒をどれか選んで慣れておけ。今までの生活と違ってこれからは戦闘の機会も多くなるだろうし、近接戦闘も出来ないと生き残れんぞ。自分に合う武器が見つかれば、それに合わせて魔法と鍛えていけばいいだろう。』
「わかりました。」
フムスさんも選んだ武器をポーチに無事登録。
その後もクマナベさんからアドバイスを貰いながら準備を進めていき、無事に完了した。ようやくシェーネスさん達を追って出発できる。
『俺からはこんなもんだな。俺は戦闘職では無いが多少は能力も上がるだろうよ。ちなみに職業は【鍋軍曹】だ。料理や薬学の知識はあったから何かしら役に立つだろう。俺の転生が遅くなれば後の奴らにも影響が出るし。よし、アルバよ、転生させてくれや。』
毛深いので分かりにくいが、俺を見るクマナベさんは満足気だった。
「「色々教えて下さってありがとうございました。」」
フムスさんと二人でクマナベさんに頭を下げる。
俺はこれでまた生きていくための力を得られる。
感謝して、これからもしっかり生きよう。そしてハーレム作ろう。
『おうよ!お前らも仲良くな!それじゃ、またな!』
「・・・はいっ!またお会いしましょう!【転生】!」
淡い光と共に消えていくクマナベさん。
「逝ってしまいましたね。本当に、良いクマさんでしたね。」
「そうですね。クマナベさん、あなたの思いは俺がしっかり受け継ぎます!
そして次の人はどうか全裸の女性でありますように!カモーン!【吸魂】!」
うん。希望通りだ。
全裸で女性です。でもツルペタです。
特に恥ずかしがることもなく堂々としています。ツルペタだし。
『おじちゃんがアルバって人?隣のお兄さんカッコいいね!』
おじちゃんって俺だよな・・・




