第13話「フムス」
ん〜微妙な雰囲気になってしまった。
「あの〜よかったら皆さんのお名前など教えて頂けます?シェーネスさんとしか話してないので。」
シェーネスさん良い人ですよ。でも俺は女の子と話したい!
なんか女性陣みんなで俺を見てヒソヒソ話してるんですけど。
あれですね。
きっと可愛いって言っちゃったから照れてるんですね。
「そ、そうですね。エウディア様、ティスカ様、よろしいでしょうか?」
「ああ、では私から。私はエウディア・バルスター。アルバ殿のおかげで助かったよ。改めて礼を言わせてほしい。本当にありがとう。」
何このイケメン。惚れてまうやろ。
歳は二十歳ぐらいかな。身長は俺と同じぐらいだから175cmぐらい。
どこぞの戦闘種族のような金髪に、翠の瞳の剣士さん。
種族は見た感じ普通の人間なのかな。
シェーネスさんにエウディア様って呼ばれてるから、どっかのお偉いさんなのかな?
礼儀正しい人ですよ、女だったら惚れてるね。
でも俺は男だから大丈夫…うほっ
っとあぶない、あぶない。
「では次は私が。ティスカ・エルダートと申します。共和国に帰るまでお力添え頂ければ、報酬は必ずお支払い致しますので、何卒お願い申し上げます。」
俺が助ける事を決意した女性だよ。可愛いんだよ。
何歳なんだろ…おっと、女性の年齢は気にしちゃダメだね。
肩まで伸びたサラサラな金髪。クンクンしたい。
服の胸部をこれでもかっと押し上げている豊満な胸。モミモミしたい。
引き締まったウエスト。抱きつきたい。
見た感じお姫様なんだけど、ここまでの行軍でも文句の一つも言わずにしっかり歩いてたし、意外とたくましいのね。
ティスカさんも見た感じ人間だね。可愛いね。
「僕はニックスと申します。貴方の援護がなければ僕は橋で死んでいたでしょう…本当にありがとうございました。」
斧使いの青年だね。10代後半ぐらいかな。
彼も見た感じ人間だね。黒髪のスポーツ刈りで身長は俺より高いから180cmぐらいだろう。高校生のスポーツマンって感じ。
「私はメリーチェ。助けてもらった事は感謝しているわ。でも、か、彼氏がいるかなんて質問して馬鹿にしてるの?!この耳見たらわかるでしょ!」
ちょっと怒ってますね。
耳を見たらわかる、そうエルフ!
傭兵ギルドにいたロリエルフではなく、ナイスバディのエロフ。いや、エルフ。
ピチっとした服装からはスタイルの良さがよく分かります。
ヘソ出しルックにミニスカート。最高です。
すらっと伸びた脚でぜひ膝枕をして欲しいですね。
「耳ですか?ん〜可愛いエルフ耳ですね!撫でていいですか?」
「良いわけないでしょ!見てわかんないの?私はハーフエルフなのよ?忌み嫌われる事はあっても、異性から好意を持たれる事なんてあるわけないでしょ!」
「そうなんですか?私はメリーチェさんが可愛かったので、彼氏いたら嫌だな〜と思い聞いちゃいました。私が住んでいた所は人間のみだったので種族間の差分とかよく分からないんですが、私はハーフエルフだろうがゴブリンだろうがそんなの関係ないですから。」
そりゃ全ての種族と分かり合えるとは思ってないけど、個人で付き合うのは全然問題ないだろう。話せば分かり合える事もあるはずだし。
「そ、そうなの。あ、ありがと。でも私は…」
ちょっと赤くなって照れてるわ、この子。
面と向かって可愛いって言われた事ないのかな?
でもチラチラとシェーネスさんの方見てるのよね。
これは惚れてるね。でもハーフエルフだから言えないのね。
でもシェーネスさんケンタウロスなんだけど、大丈夫なのか?
まぁ愛は種族を超えるのだろう。
略奪愛は趣味じゃないから、無理な時は潔く身を引く!
そういえばケンタウロスって上半身人間だけど、下半身は馬だからどうやって愛し合うんだろ?
生まれる子供はケンタエルフ?エルタウロス?
よし、二人がカップルになった時に勉強させてもらいましょう。
大丈夫、俺は【遠視】のスキルあるからノゾ…っと、まずは二人をくっつけよう。
「急に言われても困りますよね。まずは戦友から始めましょう。」
そう言って手を伸ばすと、少し戸惑いながらも手を取って握手してくれた。スベスベしてる。
「私も、その、人間と獣人のハーフです。プレースです。」
ケモ耳っ子は重要ですよ。
ヴュステで見かけた獣人は皆さん顔も獣顔だったので、俺の求めるケモ耳は居ないのかと諦めかけていたんだが、神は俺を見捨てなかった!
人間の顔にケモ耳、鼻もケモ鼻、そして尻尾とパーフェクト!
あぁモフモフしたい。
「それで、アルバ殿が気にしていた恋仲の者が居るかどうかなんだが…」
シェーネスさんが申し訳なさそうに言い出した。
「エウディア様とティスカ様は婚約されていらっしゃるので…あと、プレースとニックスは隠していたみたいだが、バレバレだぞ。」
うん。分かってたさ。
でも期待したっていいじゃない。命を賭けたんだもの。
危ないところを助けてハーレムルートの入口を求めてたのにさ。
「ですよね〜メリーチェさんも頑張って下さいね!」
「なっ、うるさいバカ!」
もう冗談でしたって事で済ませたらいいのさ。
俺は泣かないよ。明日があるさ。
「では皆さん、しばらくの間、よろしくお願いします。」
ようやく共和国組もゴブリンさんの食事を食べ始め、一息つけた。
ゴブリンさんの名前どうしようかなぁ〜
ゴブリーン。無いか。
ゴブリーオ。無いな。
ゴブフリート。別にゴブから始まる必要なくね?
「ゴブリンさん、よかったらゴブリンさんの事聞いてもいいですか?名前考えるのに参考にしたいので。」
「(ん〜特に面白い話でもないですが…私はゴブリンの中でもアースゴブリンって一族なんです。アースゴブリンの肌は茶色なんですが、私は産まれた時から緑色だったので里を追い出されてしまいまして…まぁ殺されなかっただけマシですね。肌の色は緑ですが、土の精霊の加護はちゃんと貰えてましたので、土魔法を使ってこの家作って1人でのんびり暮らしてます。)」
ゴブリンの中にも色々あるのね。
「なるほど。では《フムス》って名前はどうでしょうか?土を意味する言葉なんですけど。」
「(フムス…フムスですか。良いですね。アルバさんのおかげでゴブリンさんから卒業できますよ。ありがとうございます。)」
そうゴブリンさん改めて、フムスさんが言ってくれたので大丈夫だろう。
彼とは良い友達になれそうだ。
その時、ステータス画面が現れ点滅しだした。
何かお知らせか?
新しいスキルを取得しました。
【魂の友】
友情を育んだ相手と魂で繋がった証。
互いの能力値上昇、スキル貸与可能。オ○モダチ(笑)
ちょっとまって!
何故○で隠してるの?!
そこに入るのは『ト』だよね?
それ以外はないよね?
ってか(笑)ってなんだよ!女神様だよな、これ。
「(か、身体が熱い…ナンダコレハ…グッ…ガァァァァァァ!)」
フムスさんが急に叫びだす。
眩い光がフムスさんを包み込み、何の反応も出来ずに皆見ているだけだった。
しばらくして光が消えるとそこに居たのは、日焼けしたイケメンサーファーに角が生えた人?が立っていた。




