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日常の中の非日常探偵  作者: ライティスマン
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第2章 友人推理

最近寒いですね。布団があったかくて気持ちいいです。

「まず」


渡が丁寧な口調で説明を始めた。


「岡田さんと大塚さんはいつも一緒にお昼ご飯を食べていた。僕は今日は食堂だが、いつもは弁当だからそれを知っている」

「あー、そういえばそうだったね」

「そして今日、僕は4時間目が終わってすぐに食堂に向かった。その時に、大塚さんが教室を出るのを見たんだ。何も持ってなかったから、他のクラスで弁当を食べるわけではなく、現在ここにいないことから食堂にいるわけでもない」


俺は一応周りを見回したが、確かに大塚さんの姿は見当たらない。


「だとすれば考えられるのは、トイレか他の教室……又は職員室に用事があってそこに向かった。けど、岡田さんはトイレを確認したから残るのは職員室か他のクラス」


ふむふむ、と俺と岡田さんはうなづく。確かに考えてみればその通りだな。


「そして、僕たちの教室からこの食堂に来る時に職員室の近くを通るのが普通のルートだ。大塚さんを探しているなら、その時に見かけているはずだ。うちの学校は基本的に職員室は生徒出入り禁止になっているから、職員室内ではなく廊下にいたはずだから。つまり他のクラスに大塚さんはいた」

「ちょ、ちょっと待ってよ龍野君。他のクラスって言ってもそんなのたくさん……」


岡田さんは言葉を続けようとしたが、渡が落ち着けと言うように手を挙げる。


「今、昼休みが始まってから15分くらい経つ。職員室ならわからないが、他のクラスに用事で行って10分以上もそこに留まるとは考えにくい。だから今は僕たちの教室にいるはずだ」

「なぁ渡、大塚さんも岡田さんを探して歩き回ってるんじゃないのか?」

「だとしたらまず来るのは食堂だろう。岡田さんが戻る途中で出会うはずだ。もっとも、大塚さんの性格から考えて教室で岡田さんを待っているか一人で弁当を食べているかのどちらかだと思うが」


確かに大塚さんは岡田さんより控えめで大人しく、あまり行動派ではない。楽観的なところもあるから、岡田さんがいないなら今日は一人で食べてもいいか、と考えそうだ。


「なるほどー!さすが龍野君!じゃあ教室に行ってみるね!」


そうやって岡田さんは元気に食堂から出て行った。残った渡は食事の続きを、俺は一人残された気分を飲み込むようにお茶を飲む。


「よくわかったな」

「別に大したことじゃない。僕がさっき言ったのは落ち着いて考えたら全てわかることだ」


確かにそれはそうだ。だが、岡田さんが来てから1分も経たないうちにあそこまで考えられるものなのか。

その時、俺のポケットに入っていた携帯が振動した。画面を開くと……あ、岡田さんだ。


「教室に花ちゃんいたよ!龍野君ありがとう!今度何か御礼するね!」

「……どうしたタケシ、急に女の子みたいな話し方をして。目覚めたのか?」

「違うわバカ。岡田さんからのメール読んだだけだよ」


ああ、と渡がうなづく。


「どういたしまして、と返信してくれ」

「別にいいけど。お前メアド交換してないの?」

「しようと誘われたけど断ったんだ。基本的に交換はしてないかな」

「勿体無い。時間割変更の連絡とか聞けるからいいと思うんだけどなぁ」

「それくらいちゃんと自分で調べる」


……こういうところが社会性がないことを強調してるよなぁ。連絡事項じゃなくても、普通の会話でメールすればいいのに。それにさっき岡田さんと話してる時もニコリともしてなかった。


「お前って勿体ないよなあ・・・」

「は?」

「いや、何でもないよ。それよりさっさと食べちまおうぜ。次体育だろ?」

「そうだな。今日からグラウンドだっけ?」


そうして俺たちは昼飯を食べ、教室に向かった。

この時、まさか事件が起こるとは夢にも思わなかった。

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