第1章 冷静友人
どうもライティスマンです。風邪引きました。
先日、学校行事で落語を見ました。
生では初めて聞きましたが、なかなか面白いですね(笑)
見ていて気付きましたが、落語と演劇はどこか似ています。
今後の演劇生活のためにも、落語を見るのは悪くないと思います
午前中の授業が終わり、昼休みになった。世の学生たちには、弁当派と食堂派があるものだが、俺は作るのが面倒だから食堂派だ。
食券を買い、食堂のおばちゃんに渡し、食事を受け取る。
今日はどの席で食べようかと辺りを見回したら・・・お、珍しい。
「よう、渡。今日は食堂で食べてるんだな」
俺は一人で静かにお昼を食べている男子学生に声をかけ、そいつの向かい側に座った。その学生の名前は龍野渡。俺と同じクラスで、中学1年生からの付き合いだ。
「タケシか。いや、王子様と呼んだほうがいいのか・・・」
「だあああああ!!その話はもうよせって!」
渡はクスクスと上品そうに笑う。渡は俺とは違い物静かな奴だ。大声で話したり、大笑いをしているところを見たことがない。
顔は男の俺から見てもなかなかイケメンで、肌が綺麗で整った顔をしている。おまけに成績は常に上位。髪型は短すぎず長すぎず、さらさらとしている髪の毛だ。
ここまでの説明でわかるとは思うが、かなりのモテ男ではある。実際、数人だがファンクラブもあるらしい。だが、唯一こいつに欠けているものがあるとすれば・・・あまり社交的ではないことだ。
休み時間は基本的に一人でいるか、俺と話すかのどちらか。他のクラスメイトがたまに話しかけるが、会話があまり続かないからすぐに話も終わる。そのせいで、大人数からモテるチャンスを逃していると俺は考えている。
「そのネタで他の奴らからだいぶからかわれてるんだからな!」
「それは仕方ないことだと思うな。授業中にあんな恥ずかしい寝言を大きな声で言う人なんて、そう多くはいないだろうし」
「・・・そんなに大きい声だったのか俺は・・・?」
「かなり。しかもあんなに幸せそうな寝顔で」
「マジかよ!?もう恥ずかしくて嫌になるな」
「今更じゃないかな。よくドジはするじゃないか」
「俺が?例えば?」
「移動教室で筆箱を忘れてきたり、椅子につまづいて転んだり」
「あー・・・それはそうだな・・・」
そうやって俺たちは話しながら昼ご飯を食べる。
どうして社交性のない渡と俺が仲よくしているのか。まあ別に深い理由があるわけじゃないが・・・その話はまた今度話そう。
「あ!緒方君、龍野君!」
食べ始めてから10分ほどだろうか。名前が呼ばれた方向を向くと、同じクラスの岡田さんがこちらに駆け寄ってくるのが見えた。
岡田さんは目が大きく、髪型はポニーテールだ。
「ねえねえ、花ちゃん食堂に来てない?」
「花ちゃん・・・?ああ、大塚さんのことか。いや、俺は見かけてないな。渡は?」
「周りを見渡したけど、大塚さんはいないみたいだ」
「そっか~」
岡田さんが残念そうな声を出した。ちなみに、「花ちゃん」というのは大塚花子さんのあだ名だ。2人はとても仲が良く、休み時間ではいつも一緒にいるのを見かける。
「大塚さんがどうかしたのか?」
「お昼ご飯一緒に食べようと思ってたんだけど、昼休みに入ってから全然見かけないのよ。ここに来る前にトイレも見たけどいなかったの。だから、食堂で食べてるのかなと思って」
「それでいたら一緒に食べようと?」
見ると、岡田さんの手にはお弁当がある。岡田さんの考えでは、大塚さんは食堂にいるということで決定していたらしい。
「今日は他のクラスの子たちと食べるとか?」
「それなら事前に言ってほしいなあ・・・・」
「今は教室にいるよ」
不意に渡の声が聞こえた。えっ、と俺と岡田さんが渡を見ると、当の本人は
澄ましたものだ。優雅にお茶を飲んている。
「どうして?私、5分前くらいまでは教室にいたのよ?」
岡田さんは当然の疑問を渡に問いかける。
そういえば、こいつには社交性がないかわりに、他のみんなよりも抜群に優れていたものがある......推理力だ。