いてもいなくても同じ
「♪お前なんかどっちにしろ、居てもいなくても同じ、そんなこといえるあなたはヒットラーにでもなれるだろ。」
「♪痛みは始めのうちだけ、慣れてしまえば大丈夫、そんなこと言える世界なら僕は蹴りを入れてやるよ。」
この歌はブルーハーツ。中学生の時に良く聞いていた。
良く意味が分かっていなかったんだろう。自分の存在意義が否定される。こんなこと本気で言われたことがないから。ましてや自覚したことなどない。
ただ、これほどつらいことがあるだろうか。
社会からの疎外感と自分の存在が無になってしまう恐怖感が頭をロックする。
心臓の波打つ音が聞こえる。我慢のしようもなく、その度に涙が溢れ出し、止まらない。
社会とも人ともある程度うまくやってきたと思っていた。
今はむしろ避けてきたんだと考える。
自分を貫き通すことで、起こるであろう軋轢は、流れに任せてきたのだろう。
それが自分のやり方とか個性だなんて、都合よく考えてきた。
辛すぎる。
もう夜も遅いけど、外に出た。部屋にこもってなど要られなかった。
コンビニでビールを3本買った。夜空を見上げたりもした。
今の状況はとても曲にしてなんて歌えない。ヒロトに蹴りを入れてもらっても、何も変わらない。
乗り越えなければいけないことは分かっている。
自分で乗り越えなければいけないことは分かっている。
この痛みと同居してなんていられない。
だけどすがりつく人はいない。
すがりつきたいはずのあなたから言われた一言だから。
心臓の異常な波打ちは収まった。痛みもさほど感じなくなってきた。
けど、ただこうして時が過ぎるのを、待てるわけもない。
戻ろう、自分の居た場所に。居てもいなくても同じなんだろ。
すがりつくのは自由だろ。
同じ事を繰り返すのはやめようと思っているんだ。
気付いていない振りをして足はコンビニに向かう。
何事もなかったようにまたビールを3本買った。偶然コンビニがそこにあったんだ。
これでいい。こんな自分に合っている。
冷たいビールは何よりも誰よりも温かく自分を包んでくれるんだから。
いつかヒロトが世の中に蹴りを入れてくれるさ。