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過去のやらかしと野営飯  作者: 琉斗六
ワイバーンと野営飯ふたたび

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6/8

プロローグ

 ランスは、全く浮かない顔で騎竜を走らせていた。


「この調子なら、夕方までに次の町に到着しますね」

「ああ、そうだな」


 並走するユーリイの朗らかな問いかけに、ランスは沈んだ声音で返事をする。

 そんなランスを、ユーリイはニコニコしながら眺めていた。


──全く……、なんだってこんなことになったんだか……。


 ランスは深々とため息を吐いた。



§



 ランスことランスロットは、(よわい)四十を迎え、ストロベリーブロンドの髪に白いものが混ざり始めた昨今。

 無理が利かなくなったことを痛感しつつも、若手の冒険者に〝初心者の心得〟を指導する、三級冒険者として活動をしていた。


 同道しているユーリイことユーリイ・アッシュホロー・ヴァルクレストは、二十代前半。

 すらりと手足が長く、黒髪と青い瞳を持つ美丈夫の若者だ。

 一級冒険者であり、高位の魔獣を単独で撃破出来る剣の腕と魔法の才を兼ね備えた──いわば〝天才〟。


 ユーリイは初心者の時に、ランスの指導を受けた教え子の一人である。

 その時、ランスの野営技術に魅了され、自身が〝ランスを充分に養える〟ようになったところで、自らスカウトにやってきた。


 ランスにしてみれば、迷惑千万な話である。


 その強引なスカウトの結果、前回〝うっかり〟コカトリスの討伐が成功してしまい、ランスは辺境伯から〝コカトリスハンター〟の称号を賜ってしまった。


 欲しくもない称号を断る隙もなく押し付けられたこと。

 壁と呼ばれる三級から二級への進級が、望まない形で成されてしまったこと。

 二級になったことで、一級冒険者であるユーリイとパーティーを組むことに問題がなくなってしまったこと。


 それら全部が──。

 ランスが〝浮かない顔〟になっている理由なのだ。

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