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過去のやらかしと野営飯  作者: 琉斗六
幼馴染と暴走と野営飯

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12/21

プロローグ

 ランスとユーリイは、ワイバーン討伐の終了を報告して、帰国の()についた。


「街道を騎竜で走るだけの旅は、楽で良いが。宿を利用していると、ランスの飯が食えぬのが、ちと残念よの」

「ちょっと、あなたいつまでくっついてくるつもりですか。ワイバーンの件が片付いたんだから、自分の家に帰ってください」

「うはは! ユーリイ。つれないのう。私は頼りになる魔法使いなるぞ?」

「僕のパーティーは僕とランスのデュオユニットです。魔法使いは必要ありません」


 騎竜の足取りは軽く、天候も穏やか。

 耳に聞こえるユーリイとダリウスの〝軽妙な会話〟もいっそ楽しい。


「なんだかんだ、仲いいよな」

「ちょっ! ランス、なに変なこと言ってるんですっ?!」

「ふははははっ! さすがランスは年の功、これで私も晴れてパーティーメンバーであるな」

「でも、テントは別ですし。宿の部屋も別ですからね」


 ユーリイは子供のように頬を膨らませる。

 その様子に笑顔をこぼしていたランスは、不意に言いしれぬ悪寒を背筋に感じて騎竜の足を()めた。


「……なんだ?」


 止まったランスに気付き、ダリウスとユーリイも立ち止まる。


「おお、ランス。この瘴気を走る騎竜の上で気付くとは……。やはり貴殿はただ者ではないな」

「なんなんです?」


 ユーリイもまた一級冒険者として、場に立ち込める〝嫌な空気〟は感じとっている。

 が、ランスと同じく、その不穏な空気の正体を掴みかねているようだ。


「少々、厄介だぞ。これは……ダンジョンが暴走(スタンピード)する予兆であろう」


 言うが早いか、ダリウスは騎竜の腹に蹴りを入れた。

 スタンピードの一言に、ランスもハッとなって騎竜を走らせる。

 二人に続いて、ユーリイもあとを追った。


「スタンピードって、なんですか?!」


 一級とはいえ、ユーリイはまだ年若い。

 さらに言うと、昇級を狙う冒険者は、討伐クエストに重きを置く傾向がある。

 ダンジョンの経験は、さほどないのだろう。


「魔獣がダンジョンから溢れ出す……それがスタンピードだ! ダリウス、経験あるか?!」


 矢のように駆ける騎竜の上から、ランスは叫んだ。

 叫ばねば、声が届かない。


「ある! アルジャンティス領内のダンジョンにスタンピードが起こり、呼び戻されたのでな」


──ああ、だからすぐに説明出来たのか……。


 ランスは腹の中で、感心していた。


 ダンジョンのスタンピードの理由は、解明されていない。

 そもそも、ダンジョンがなぜ発生するのかの理由も、未だ分かっていない。


 冒険者として、稼ぎを重要視する者は、ダンジョンへ通う。

 ランスもまた、若い頃はダンジョンへ通い、そしてスタンピードに巻き込まれたこともある。

 ゆえに、それがどれほど厄介で恐ろしいものか知っていた。


「それで、どうするんですか?」

「ギルドに報告する! 指示があるまで、冒険者は待機になるだろう!」


 三人は、騎竜を()かし続けた。

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