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第8話 譲れない想い

投稿期間が空いてしまって申し訳ないです。

ぜひお読みいただければ幸いです。

そう心に誓った私は、とある人に1本の電話をかけた。業務時間外にも関わらず、電話の相手は案外早く出てくれた。

「はいもしもし三郷です。」

そう電話の相手は――三郷だった。

私が電話をする様子を北澤さんは見守っている。

「美花さんから電話なんて珍しいですねー。どうかしたんですか?」

私は覚悟を決めて三郷に話した。

「こんな時間にごめんね、あの――しばらく明日から休ませてほしい。」

そう言う自分の声が微かに震えているのが分かる。そんな私を安心させるように、北澤さんが私の肩にそっと手を置いた。

「…え?いやいやいや!え美花さんどうしたんですか?どこか体悪いんですか?」

三郷は電話口でも慌てている様子が目に浮かぶ。私は彼女を落ち着けるように、冷静にゆっくりと話を切り出した。

「私は大丈夫だよ、だから落ち着いて。…この前話した妹の件覚えてる?」

「えっ、えぇ行方不明なんですよね?それがどうかしたんですか?」

「…妹まだ見つかってなくて…探しに行きたい、時間が欲しいの。もちろんスケジュール的に無理を言ってることは分かってるけど…」

私は三郷の言葉を待った。急なスケジュール変更は信頼関係と今後の活動にも影響する。責められることを言われても仕方がない、私は覚悟を決めた。

「…いや、美花さん。スケジュールどうするんですか!そもそも今週だって地方の番組とか雑誌のインタビューとか予定ギチギチに入ってるの知ってますよね!?…妹さん心配なの分かりますけど、美花さんが探しに行って、これだけ行方不明なのに見つかるんですか?」

やはり――予想通りだ。私が愛花を探しに行ったところで、愛花が見つかる保証はないんだ。そう言われてしまっても仕方がない。

するとここで、北澤さんが私の携帯を取り上げて、一方的に話を切り出した。

「もしもーし、どうも北澤です。僕も話聞きましたよ、いやあ、妹さん心配ですよね。家族の一大事ですからね。身内の人の心労は計り知れませんよ。…御社はそんな家族想いの従業員に休みすら取らせられないような、緊急時に収録を優先させるような事務所…ですか。ま、別にとやかく言うつもりはありませんけどね。ただし…俺の事務所が女性俳優も活躍してるということもお忘れなく。では――」

そう言う北澤さんの目にはさっきまでのような優しい表情はなかった。ただただ、淡々と吐き捨てるように電話を切った。すると北澤さんはさっきまでとは一変、申し訳なさそうな顔で携帯を渡してきた。

「ごめんごめん!話に入るつもり無かったんだけどね、聞いていて少し腹たっちゃって。俺の事務所は特別大きいわけではないけど…緊急時は休めるよう手配してくれるのにさ、もちろん収録とかあってもね。そーゆーのはお互い様の精神だからさ。だから真っ向から無理ですよみたいな態度が理解出来なくてね…」

そういう北澤さんはとても優しかった。多分この人は本当に私を想ってくれているんだろう。じんわりと胸の奥が暖かくなるのを感じた。

「ありがとうございます…助かりました。」

そういって頭を下げた。気にしないで、と北澤さんが言いかけたその時に私の携帯の通知音がなる。画面を見ると三郷からのメッセージだった。そこには1週間なら休んでいい旨と捜索に関して発展があれば報告して欲しい旨が書かれていた。つまり1週間――愛花を探す期間を与えられたということ。スマホを握る手が思わず強くなった。その様子を見てた北澤さんがスマホを覗き込むと安心したように話かける。

「良かったじゃん!これで心置きなく探しにいけるね。」

そうですねと返事をする。北澤さんも事務所も、ここまで色んな人が私のために動いてくれている。――なんとしても愛花を見つけたい。真相を確かめたい。私はそう心に固く誓った。その後北澤さんと連絡先を交換し、何かあれば連絡することを約束した。北澤さんは私一人での捜索を心配し、一緒に着いてきてくれようとしたが、人気俳優と共演をした女優の急な空席に、どんな噂が立つかは明確だったため丁重にお断りをした。

駅のホームで別れてから帰路に着く。


愛花を探すための、7日間が、幕を開ける。


ここまでお読みいただきありがとうございました。

いかがでしょうか?

静かに何かが動き出してる、どんな7日間になるか、お楽しみください。ご感想等お待ちしております。

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