第11話 鍵の持ち主
ご覧いただきありがとうございます。
書き溜めてたので2日連続の投稿です。
お楽しみください。
「次の駅で降りて、そこから10分歩いたとこのファミレスで集合しようだって。」
私は今、桜子と電車に揺られていた。桜子が電話した相手の言うのは、彼――山本くんというらしい。何故彼が愛花の手がかりと繋がるのかという聞くと、会えば分かるよ。それだけ私に伝えられた。勿論それ以上のことを問いただすことは容易いが、桜子はこういう時に嘘をつくような人ではない。少しでも可能性があるのなら桜子を信じよう、そう自分に言い聞かせた。電車を降りて少し歩き、ファミリーレストランに入る。ボックス席に案内され、ドリンクバーを注文した。飲み物を取って席に戻ると桜子はスマホをみてため息混じりに話す。
「山本くん、ちょっと遅れるって。」
ごめんね、と呟くと私はずっと思っていた疑問を桜子に聞くことにした。
「彼とはどういう関係なの?」
私の知る桜子は誰でも分け隔てなく接するタイプだが、交友関係が広いわけでも、色恋が多いわけでもなかった。そんな桜子から特定の異性の名前が出たことが、少しだけ意外だったのだ。
私の問いに桜子は視線をそらしてから、少し間を置いて口を開いた。
「……元彼の友達。専門の時にさ友達の紹介で元彼と知り合って付き合ったんだけど…そいつがさ、結構人脈広い人で私を含めた複数人で呑んだり、皆でBBQしたこともあったから、連絡先持ってたの。まぁ…元彼とは結局別れちゃったけどね。」
もう過去のことだよ、と言う桜子はコップに入ったドリンクを口にした。その表情は少し寂しそうで、私もそれ以上の詮索はしなかった。その時、店内に男性が1人入ってきた。深く被った帽子にマスクをしている為顔が良く見えないが、桜子に気がつくとこちらに近づいてくる。
「あ、山本くん!ごめんね急に呼び出しちゃって…」
桜子も近づいてくる彼に気が付き立ち上がると、彼はぱっと顔を上げて意気揚々と話し始めた。
「やぁ、桜ちゃん!久しぶりだね、全然大丈夫だよ。桜ちゃんの誘いならいつでも大歓迎…ところでこの子が例の?」
そう言うと山本くんは私の顔を覗き込んだ。それよりも私は彼の声を、どこかで聞いたことある気がしてならなかった。帽子の中の顔、マスク姿、この声――私が思い出すよりも前に山本くんが口を開く。
「こんにちは、僕は山本龍樹――りゅーきくんって言った方分かるかな?」
ゆっくりとマスクを外す山本くんの顔を見て、その既視感の正体に確信が持てた。
「ははっ、流石にもう分かるかな――初めまして、清川美花さん。こんな大女優とお会い出来るなんて僕ってば幸せだなぁ。」
呆気に取られている私をよそに、桜子が口を開く。
「流石に美花も分かった…よね。山本くん、彼は今人気の配信者だよ。――所謂、晒し系配信者ってやつ。」
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