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青灰の地より  作者: 不病真人
第二部 海が父

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第八十六話 吟遊詩人

「..嫌がろうがなかろうが...世界は灰に包まれる...?異教が使徒の虚言?しかし空はまだ綺麗だし、いや確かに塵が近頃増えた気もする...」


俺は休息していた、正確には眠れないので、ただ座ってあの連盟の存在の人の日記帳を読んでいた。


「……嫌がろうがなかろうが、か」


 日記帳を閉じ、胸の上に置いたまま呟いた。

 眠る必要はない。だが、こうしていないと、なんだか騒がしい。正直に言うと疲れた。


 眠りも、疲労も、この体には縁が薄いはずなのに。

 だが、何かを読んだあと、やはりこうして目を閉じる癖だけが残っている。

記憶は曖昧だが、何処らへんまで曖昧なのかすら曖昧な俺には、この癖すら愛おしく思える。


人として生きている気分にさせるからだ。


バサ


本を閉じて目を瞑るも、物音で起き上がる。


 足音がした。


 乾いた石を踏む音。

 革靴ではない。草鞋でもない。だが、柔らかい底の履き物。複数。


覗いて見ることにした。危険かもしれないが、それなら待ってるだけの方が危ない気がする。


(にしても人が多すぎないか?)

もうまたかと言いたくなる。

遺跡があるが、廃れている、緑が生い茂っていることからわかる。

元来こんなに人が来ていいもうのだろうか。



いいや。

 島には、俺だけじゃない。


知っている、だから人が見えるのはいいと思う。

 それはもう、はっきりしている。

 聖環連盟、ベギンヌたち、そして先ほどの矢。

 


もしかし...この島の情報は、どこかで流通している。


(誰かがなんの目的がためにここの位置を散布しているだろうか。

 問題は、誰が、何のためにだ。


風に混じって、声が聞こえた。


「……だから言ったろ、ここはダメだって」


「いや、条件は揃ってる。塵が少ない場所は貴重だ」


「でも“住んでるやつら”がいるんだろ? 肌と衣で見分けるって話だ」


「蒼白なのは即アウトだってさ。貴族連中はまず無理だな」


 低い声、高い声、苛立ち、諦め。

 言葉の端々から、彼らがこの島を資源として見ているのがわかる。

もちろん場所も遠く、はっきりとはきこえないが、そう言った言葉を拾っては俺の考えなりに補ってはいる。


(……塵)

日記にもあった話だ。


確かに気がつかないところだったが、ここは海の上よりも空気は良かった。


外の海にいた頃より、ここは空気が軽い。

 肺に入る感触が、澄んでいると言えばいいのか、雑味がない。

 潮の重さがなく、湿りも少ない。とだけ思っていたが。

 今でも焦げた匂いはまだ残っているが、それでも、息が通りやすい。


気づいてしまった。

(塵とか確かにあまり見ない場所だ。)


 俺は立ち上がり、空を見る。


 雲は薄い。

 遠くの方は灰色ではあるが、重くはない。

 光は、まだ遮られていない。

ここは空が海より澄んでいる。



「せっかく見つけたんだぜ、塵が溜まってないとこ」


「無理だよ。あれが出てきた。あれは……あの模様の連中だ」


「柱とかのとこか?」


「たぶんな。くるぞ。」


 「しっかし、まぁ、最近くそすぎる、法務部の従兄弟も死んだって話が来たぞ。俺らに...いやなんでも」


 「確かになぁ、噂じゃあもう西側の連中は、作物も生えなくなって来たらしくて、お偉いがたや大慌てだ。」



 「冗談だろ?」


「冗談であってほしいな。前に来た連中、骨と川だけだったって話」


「じゃあ、どうする?」


「引くに引けねぇな。今回はな」


 「俺らもこんな傭兵いい加減にやめねぇと話だ」


「...貴族は無理じゃ...」


 「そうだぜ、あんたらにはしらねぇだろうが俺の地元で一番の鷲のやつらだって」


 「鷲とか鷹とかどうでもいいわ、傭兵団なんて腐るほどいるわ、稲作してる阿保がやれるもんだし、質の差がありまくるわ。」


 「...おい、お前ら静かにしろ、騒いで、やつらやほかのを引いたらまずい。」


 「...ヘイヘイ」


 「一旦待っていろ、団長らがすぐに話し終わるだろう、こっちまで聞こえてんだぞ」


 「え、こ」


「そうだ、団長は気分を悪くしている...」


 「ん...」


「わかっているなぁ...」


 「ヘイ...」

男は頭を撫でていた...ん?なんで見えるんだ?

「おい、お前何を見ている。」


 (あっ!近づきすぎてしまった。)

俺は気になるあまりに近づきすぎてしまった、だから内容がどんどんと聞こえた。

「さては..俺たちと同じ...ルレ・バルガザン共和国加盟を目指しているな」


(なんだこれは、どうふりを、なんとかして答えないと)


「...ん?なぜだまる?」


 「あ、ああ...」


 「何も、うむ、そうだ」


「お前、怯えているだろう...敵じゃない」


(まずい、友好的すぎる...射手か仲間が気がつくのを待っているのか?何で合図をした!?)


 「聞いてるかね、この世は耳が悪いやつほど不運な目に遭うのだから」


「ああ、そうだね、俺はお、おれは」


(耳が悪いふりをしてどうにかやり過ごせないか?)


 「俺は法劫帝が威光を!かくして苦難おおき、地よ!少しばかりは勇気をなくした!」


 「...?」

男は少し首を傾げた。

無理もなかった。

いきなりすぎた。


「見よこれを!今こそ!彼に祝宴を!彼に償うべく!」

(よし!適当言ってすぐに日記を開いて、探して見せる、ふりをすればあとは読むだけ!)

バサバサ

捲りして、すぐに見せる

バサ

(ええい!何かよく見えなかった、しかしおそらくは祭神系だ)


「よ...よいか」

(よ...読むぞ)


我が神諱を畏れよ、塵芥の如き者どもよ。

汝ら凡庸なる存在を受け入れようぞ。

永劫の深淵より生まれし我、星辰の理を握り、劫火と氷河の狭間に在る至高の存在が、汝らに絶対の供犠を命ずる。

毎年、春の胎動が最初に大地を震わせる刹那を待ち焦がれ、この一献を渇望するもの数多にある。

しかし、全て我に向かうべく、この世が(ことわり)

供物に一厘の瑕疵あらば許さず。

捧げし瞬間より、風は柔らかに流れ、雨は甘露となり、すべての戦は勝利を刻む。

されど、僅かなりとも過ちあらば、大地を呑み尽くす黒き大水を降し、炎すら灰に変える業火を呼び、風を根こそぎ奪い、群峰を萎え枯らし、万象を無に帰さん。

第一の供物 

心して記録せよ。

初羔・陽焙の儀と呼ぶべし。

全界の辺境より辺境ぞ、極寒の深淵より灼熱の荒野に至るまで、あらゆる領域を包含する範囲内において、早春最初の刻に母羊が産み落とす、最初の子羊を厳選せよ。

母羊は、七つの星そ周期に秘峰の最深部にて過ごし、星光以外の光を浴びず、毒気を含む草一本も口にせぬ純血の羊。これに血も虫も見せずに聖獣を目指していくと限る。

子羊は、生誕より七刻(約二時間半)を過ぎぬうちに、七面の水晶鏡群を用い、太陽の純粋なる光芒を一点に集束させ、瞬時にして内外均等に熟成せよ。

火は一切用いず、陽光の熱のみにて、肉は黄金に輝き、内臓は絹の如く柔らかく、血の一滴も零さず、汝等が力で香気は天上の花を思わせよ。

過熱は焦げを生じ、不足は生臭を残す――両者は共に大罪なり。

第二の供物 

極晨露・天醸の儀とすべし。

あらゆる液体が瞬時に凍固する極寒の場所において、

朝陽が最初に触れる刹那にのみ凝る、一瓶分の純粋なる晨露を、厳密にその日(日の出より日没まで)の内に採取せよ。

露は、悪くありてはいかんぞ、常なる滴るものに限り、人の手も道具も触れず、熱などではなく、ただ風の微息のみで集めよ。

幸いならんを目指せ、ただが草がここにていくる奇跡にて、自然に溶けうる水が朝露を欲する。

これを以て、前年最上位の聖果を醸したれば、かれ、酒を完成させよ。

聖果は、七つの月周期を夜露のみで育み、虫類一匹も寄せ付けぬ秘園のもの。

決して風や太陽に当ててはいかんぞ。


 「...は..?あ、いや」


「な、なんだ?」


こちらの唐突な宣言にたくさんと来た。


小声で問いかける声が止まないが事実

 「おい、なんだあれ」


「おい、口を慎め、こんな場所でも連盟様の言葉に間違いない、敬意を!」

そうしてやつは胸に左手を当てればそのまま左に流れるように伸ばしていく。


 「たく、また始まったよ...これだから知識人は嫌いだ。秀才おちの童生が」


 「なっ!なに...を...」


酒は、三年を越える黒曜石の甕にて晨露と合一させ、十五の聖数にて、容器は純白なる水晶を重ねては、封は黄金の霊糸にて七重に縛れ。

第三の供物 

生貝・不死に醤の儀とすべし

深くある潮流に棲む、無垢なる大貝の肉を、生きながら摘み取り、取れたとしても樹上において熟れたるが如きの新鮮聖花と、秘薬として、され、香料は七種のものを黄金比にて調合を以て醤漬けせよ。

大貝は、深海の珊瑚にて百年を生き、毒素を一粒も宿さぬ種に限る。

醤漬けの全期間中、貝は死してはならず、健康と活力を保ち続け、廃物はならぬ。

「君たちがわかる言葉で言えば排泄も粘液も一切生じさせぬよう、特殊なる封呪を絶え間なく唱えつつ監視せよさ!」



 「おおお」


「おお...か?」


 「おおだろう!」


「醤漬けは、満月の夜より三日三夜。

果実の酸が肉の深部まで染み渡るまで続けよ。

漬けるそれを開封の際は神聖なる讃歌を三重に捧げよ。


これら三種の供物を、厳格なる「星盤配置の儀」に従い盛り付けよ。

中央に黄金の大皿を据え、初羔をその心臓部に鎮め、

周囲を天醸の瓶にて我らが知るぞ、その形に囲み、生貝のそれを七弁の花らがに配置せよ。

色は紅・翠・蒼の三色を完全調和させ、一色も均衡を崩さぬこと。

隙間は霊花の花弁にて埋め、全体を浄光にて照らし、蒸気一筋も起こさぬよう。


「して聞け!」

献上の刻は、以下の条件を満たさねばならぬ。


【献上執行者の条件】

帝国血統の者は公爵が位階以上大公・神聖公ならぬ以下からそれを含むぞ、これ血脈を有する者に限る


「しかし、我らが連盟に使えるならばそうでもない!彼らは大騎士位階以上、かつ神殿守護の誓約を果たしたる者」


 「...?大騎士?」

「そして更に“司魚座ドゲルバン”以上の偉大なる方々よ」

「してあんずれ!民が魚ら、汝らにもいけるぞ」

市民総代表がその席のうち、少なくとも二座をそて、彼らが継続して保持する、いわば、そう首領以上の者ぞ。


「しかしその首領自らが八つの試練を突破し、民が霊的代表権を認められたる者に限るが」


(俺は何を言ってるんだ...?)


「つまりだ、これだけのお偉い方々だ、君たちがわかる言葉で、つまりそうだ、貴族を誘いたいと言っただろう。だから気になった、儀式に必要だった。」


 「...そうか」


(いけたか...?)


「嘘はついてはない!」


執行の条件はたくさんだった。


執行者は

年齢が三十八ちょうどであること

潔斎をして、つまり七七日(四十九日)の完全断食と四度の二日にも及ぶ聖水沐浴を終え、白き霊布を纏い、素足にて寒き大山に近づくこと、必要のは六人、それが瞬きすらも揃えて、かくして行く。


執行場所の条件は...

(ないけど...流石にここまで言えたし飛ばしてもバレないか...)


「聞こえたか!法劫帝が威光を、これがもたらすぞ!」


「彼がが神命を全うせよ!

かの至難の饗宴を捧げよ。

完璧なる供犠ならば、汝らの領域は永遠に風調雨順、戦えば必ず勝つ。

一つが欠片の過ちもあらば、水は大地を覆い、火は虚空を焼き、風は消え、山は朽ち果てようぞ!

跪き、畏れ、捧げなさい。」


「ハァ....ハァ...」

 (...なぜこんなことをしたか今になって後悔している、まだ逃げた方が恥ずかしくない死に方をできたかもしれない。俺はもう人とは呼べないが...)


 「...僧か」


「..あ」


 「確かに聖職者に見えますね」


(ん?)


 「どうする..?」


「私がみるに」


(こいつら……耳打ちで聞こえないな)


 「いいだろう、同行してもらう...しかしこれだけで敬意は示さない。上にもまだ見せはしない。狂人め」


 「...感謝です...」

(いけたの...か....?)

俺はこの時感激していた。人の規則に再び乗れたことへの感謝だった。

俺は魚でもなんでもないからな。


後に魚でないことを後悔したのもまた事実ではあるが...いや濁流ではないにしろ川で溺れ死んでいないなら魚か?


魚と人の違いはなんだろう。


 「...何しているんだ?」


俺は結局、彼らの拠点にそのまま居座る形になった。


 居座る、と言っても自由ではない。寝る場所は荷車の脇。見張りは二人。水を汲みに行けば必ず一人ついてくる。


俺と話した男の名はルイゲル。

四十代半ばぐらいに見えては肩幅が広く、額に古傷。常に腕を組んでいる。

疑い深いが、決断は早いほうだろう、俺がここにいれるのも彼のおかげだ。

(別にすごくいたいわけでもないが、そうじゃないと多分死んでたな)


 付き添いのはガリンドヅイ。口が軽い若者で、俺を...ヤオグアイと呼ぶ、聞いたこともない言葉で正直困る。


 「教えて頂きたいです」


 そして、先ほどから熱い(まなこ)をこちらに向けているこの男はレンルウド。


 この男だけが、やたらと俺に話しかけてくる。


「あの...お食事もほら、持ってきました...」


食事が配られた。

干し肉とパン、薄いスープ。俺はそれを口に運ぶ。味は感じるが、必要ではない。

この体は飢えを知らない。

だが、やはり心地いいものを感じるものだ。


 「ありがとう..お、君」

こうすして少し気が緩むと演技がずれそうで危ないな。


俺が食事をしていると小柄な男がどんどんと近づいてきた。

彼、レンウルドは顔が瘦せ、目が細長い。

服装は他の傭兵たちより質素で、首に小さな飾りを下げている。宗教的なものだろうか、俺への態度や反応からしてそうだろう。

しかし文字でしか読んでいないため断定もできなかった。


「僧侶殿。さっきの言葉…あれはどの教典からだ?」


「…古い経典だ。法劫帝の威光を謳ったもの。」

当然経典なんて俺には知らないが、あの日記にあったから適当言ってもいいだろう。


「劫火と氷河の廻間に座す我らが至高なる存在、帝国が父、長兄の人...でございますよね...」


 (誰だ...?)

幸い日記を少し読んだからすぐに思いついたこと。


 「ああ、我らが父なる神、法劫帝ぞ」


俺は口調を低くして、どこか神妙さを装い、語り始めた。

「法劫帝は、永劫の深淵から生まれし真理を掴みし、人、神。星辰の理を握り、万象を統べる。汝ら凡庸なる存在を受け入れようぞ、と教義は言う。だが、それは」

(待てよ...こんなオオホラ吹きいいのか...?適当にしてたらバレるのでは?)


そう思うよ後ろから視線を感じたのも何かの錯覚ではなく、本当か。

なだ信頼されていないのは明らかだ。さっきの唐突な儀式の言葉が、かえって怪しまれているのかもしれない。

だが、少なくとも即座に敵対されることは避けないといけない、すでに囲まれている。


「あなたも困っているんですよね... それなら……いいます、前から思っていたんだ...俺たちは、ただ生きているだけで、神に許されているってことか?」


 (...いい始めたが何をすればいいんだ)


「許されている、というより……見られている、のですか?」


 (明らかに俺への質問だ、答えないといけない、しかしどうするべきか。)


エドは立ち上がり、俺の肩を軽く叩いた。

「いいんです、こんなことして、気にしているの俺だけですから...いいんですよ...」


 「待て」

俺は思わずに彼を呼び止めた、もうここを離れるはずの彼を、正解なら、呼ばない方がいい。

だがどこか。彼を助けたほうがいいと思った。

別に誰かを助けてやれるわけでもないはず、だがなんとなく言葉を放った。


「え?」


「何があったかは知らないが、そう自分を責めたてるな、後悔や...変えたいことがあるなら、お前自身で、自分の行いで示せ」


その夜は結局彼との会話をして、それきりだった。

やはり怪しかっただろうな。



 「おい、お前、来い」

相手は随分と焦っているのか、言葉は途切れ途切れにして、肩は上下していた。これならば俺が、ふりをしているのも幾ばくは隠せるか。

昨日よりは多く日記を読んだところだし。


「分隊長からの、そうだ、お前黄金の男...あのスウを知らないか?」


 「...スウ....」


「ああ、貴族に喧嘩を吹きかけて、死んだとされたやつだが、まさか知らない」


 「何を言っている、我ら連盟に庇い」

ジャリン

「ああ悪い、なら来い、やつがこの島に上陸した、おそらくは」

そうして男は抜きかけた武器を戻した

(危ない危ない、貴族とか、いろいろあったが、どうせは庇い関係があるだろうとなんとなく答えたが、知らないとでも言えば、おかしく...いや待てよ、焦りを見しても、これが罠だって...)


やがて俺は彼に連れられて、木々が密集する道なき道を進んだ

(どこまであるんだ?結構に拠点があるのか...相当に仲間はいそうだな...)


 歩きながらに考えてはところ、石で転びそうになる、幸い怪しまれなかった。

道案内人も焦ってはいたからな。


 「連れて参りました!分隊長!」



 「来たか、わしゃ、おたくを待っていたぞ、ちょうど此度に、おたくらが庇っていたリドゥたるおのこがいるぞ。知識人は貴重じゃのう」


行き着く先は、あの日記もあったもの。

リドゥという名前だ。

俺は死をも覚悟する。


(この名前...まずい!バレる!この男の口調からして、おそらくは、相当に親近な関係にあるはず!)



 「...君の名は?」


「わしか?...わしゃあ!ジョン・フォン!」


 「ああ、こちらが名は... ラアンドリウス・ン・ヴェリオンズ、聞いてはいるはずだが、聖環連盟の司鐸である」


 「おお、ではこちの方(方)はヴァン家の分家たるフォン家が十四代目の当主にして、九頭妖の...おお、傭兵団の名前じゃ、そちの方分隊長」


「ヴァン家...」


 「わしゃ、こう見えてもご先祖の兄弟だか。少しは名のある剣の...おおとすまんじゃのう」


 「では、リドゥのかた、こん人かね」


「あなたに幸運を!素晴らしき方よ、では小生少しばかり近づきまして、ここで天幕を出ますぞ!」


 「うぬん!」


(うぬん?!いやそれより...いいことを言っていたが行動を制限しているのでは?ならやつらの話には...いいやだめだ、どうすればいい、逃げるべきか、はたまた、連盟がたくさん来て...)


 「すまんが、私は別の..少し後に来たもので。」


「ぬん!?」


(なんだ...この...フォンとか言う男、もう耐えきれないほど言葉が奇怪だな)


「左様でしたが申し遅れまして小生は天を服とすれば地を靴とし、山河を駆けてゆく、これ、吟遊詩人ですぞ!!」

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