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《馬蹄村の菜の花》 《春の空き山》
馬蹄村の菜の花
もうすぐ終わりそうなのに、見に来る人はほとんどいない
古びた塀の下に積もる散り花、山桃の花びらが厚く重なる
風はまだそれらを吹き飛ばしていない
十数本の古い樁の木の間を抜ける小道
ただ浮き土が広がるだけ、土の中には何もない
塀にかけられた竹の籃
夕陽の光が完全に消えた塀のそばで
これは何だ、これは何だ
これは静けさ
指一本で突き刺せるほどの静けさ
春の空き山
私は春の空き山が必要だ
季節の花が咲き誇り、飢えた雨を満たす
新たに生まれた苔が広がり
足元の禿げた山肌を覆う
林間を爽やかな春風が流れ
冬眠の蝶を目覚めさせる
時間は風に吹かれてしわが寄る
古い雪は新しい雨のために道を譲る
雲は再び帰る道を見つける
松の涛が鳥の声を飲み込み、春への賛美歌を歌う
私は春の空き山が必要だ
あちこちに広がる草を受け入れる
乾いた私の瞳に
雨がたまり、やがて
目のくぼみは 2 つの満潮の湖になる