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宰相セシリア

 翌日の朝。 


 王城の執務室。


 エルヴィンは、懐刀とも言える宰相と仕事をしていた。


 宰相の名はセシリアという。


 年齢は36歳。

 だが、外見は12歳ほどに見える。

 魔族である彼女はエルフと同じく、不老長命で外見年齢が若いのだ。


 ポニーテールの青い髪。

 翡翠色の瞳。

 人形のように美しい顔。


身長は低いが、手足は長く均整が取れており、バレリーナか新体操の選手のように美しい肉体を

している。


 小学生のバレリーナのようだ。

 青い髪は魔族の特徴であり、この世界では人間族から忌避される事が多い。


 種族平等主義を国是とするヴァリス王国だからこそ、セシリアは36歳の若さで宰相として国家の重鎮でいられるのだ。


 だが、他国では亜人差別の対象となり、魔族は社会的地位が低い場合が多い。

 宰相セシリアは、幼少期からエルヴィンの家庭教師であり、学問の師の一人だった。


 エルヴィンは幼い頃から、セシリアの優秀な知性を高く評価し、いずれ自分の宰相にすると決めていた。

 エルヴィンが国王に即位すると真っ先にしたのはセシリアを宰相にする事だった。


「邪竜リヴァイアサンの討伐、ご苦労様でございます」


 宰相セシリアは無表情で頭を下げた。

 無表情は宰相セシリアの特徴で、黙っていると本当に人形のように見える。


「たいした苦労ではなかった。ねぎらいは無用だ。褒める必要もない」


エルヴィンは椅子にもたれて言う。


「いえ、どれだけ称賛されても足りぬ程の偉業でございます。邪竜リヴァイアサンを討伐した事で、陛下の威望と権勢は高まりました。それにあの莫大な金銀財宝があれば当面、財政面で苦労する事はございません。陛下の野望を叶える為に有効に活用致しましょう、とセシリアは提言します」


 宰相セシリアが、無表情のまま答える。


「では、早速、俺の野望を実現する為に動くか」

「はい。準備は整ってございます、遠慮はご無用かと……」


 宰相セシリアは、青髪を手で撫でつける。


「そうか……」


 エルヴィンは沈黙し、椅子の肘掛けに肘をおいた。

 やがて、黒髪紫瞳の少年王は口を開いた。


「では、世界征服を実行するとしよう」

「御意」


 宰相セシリアが、無表情のまま頭を下げた。


「そうは言っても、千里の道も一歩からだ。まずは我が王国の国力増強から始めないとな」

「はい。何事も、地道が近道でございます」

 


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