魔導工学
五千両もの、大戦車軍団を短期間で造り上げる事に成功した理由は、超大国ゲルマニアの経済力。
そして、魔法と科学を融合した『魔導工学』である。
魔導工学をゲルマニア帝国は、二百年以上前から研究してきた。
地球で言う所の内燃機関は、13世紀の地球で既にロケットエンジンを中国、モンゴル、アラブ諸国が使用していた。
内燃機関は熱エネルギーを機械エネルギーに変換する事であり、原理自体は単純である。
それをゲルマニア帝国は、魔導と融合させた。
石油を用いず、魔力によって機械を作動させるのだ。
石油よりも、安価にエネルギーを大量生産できる為、ある意味、利便性と汎用性は地球の内燃機関よりも優れているかもしれない。
ブレーデリンは、ゲルマニア帝国の組織力と魔導工学を用いて、大量の魔導師と、組織力で、機械化師団を創造した。
ゲルマニア帝国機械化師団は、今や、ゲルマニア帝国の力の象徴であり、皇帝ヴィルヘルムの宝であった。
「この機械化師団さえあれば、世界征服など造作も無い」
皇帝ヴィルヘルムは爬虫類じみた顔に狂気の色を湛えた。
このままアルヴヘイム妖精国を征服し、ヴァリス王国、ガリア竜王国、サルディニア法皇国を侵略し、全て征服してくれる。
「陛下、ご命令を」
士官の一人が、皇帝ヴィルヘルムに言う。
「捕虜となったエルフを全てゲルマニア帝国本国に移送せよ。進軍の邪魔となる」
「はっ」
士官が敬礼する。
機械化師団は神速の進撃にある。
皇帝ヴィルヘルムはそれを理解していた。
「編成が整い次第、アルヴヘイム妖精国の王都にむけて進軍を開始する。それまで存分に英気を養え」
ゲルマニア帝国兵たちは歓喜した。
二十八歳の皇帝が、「英気を養え」と言った時、それは、酒を飲み、女を犯して楽しめ、という意味である。
ゲルマニア帝国兵たちは、酒を飲み、狂乱しながら、エルフの美女たちに襲いかかった。
平原のあちこちから、エルフの美女たちの悲鳴が響きわたった。