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僕の武器  作者: みかげ
2/5

2ー1 入学式

桜吹雪の舞うなか、今は8:15。

あの公園であの子に会った後、迷子になって近くにいた小学生くらいの子に道を聞いたことは、

恥ずかしくて言えはしない、、


ようやく高校か。長く短いようで楽しかった中学校。

とりあえずスポーツ推薦とれて良かったよ。

その分、プレッシャーは大きすぎるけど、、

学費の免除はとてもありがたい。

親に無理言って入学させてもらった分、自分である程度は稼がないといけないから、、


スポーツ推薦で受かって一番心配なのがクラス。

推薦組のクラスに通うか、通常の普通クラスに通うかですごい迷ったからなあ。

結果、普通クラスにしたんだけど、、

親に話したら、

『勉強のレベルがお前とは違うし、

宿題とかテストとかも普通にあるんだぞ!そんなお前の頭でやっていけるのか!』

って怒鳴られちゃったんだよな。

推薦組は宿題ないし、レベルも低いからあれだけど、、

『ほぼ男子で共学のところに通ったのに青春できなければ、それは負けだしなあ。』

とか最終的に考えて決めたから、、


頑張ろう!自分!


「あ、おはよう水ちゃん!」

「おはよう、琴音!」

一番に挨拶してくれたのは、黒坂琴音。

幼稚園から小学、中学と一緒に過ごしてきた幼馴染みというやつだ。

昔からお姉さんアピールしてくるから、

その過程で呼んでた「水ちゃん」が僕に対する固定の呼び名なってくる。


琴音は頭もいいし、運動も平均的な男子よりはできるし、

コミュ力高いしで中学時代、学校のアイドル的存在でその中学は勿論、

部活とかでうちの中学に立ち寄った奴らもみんな虜にさせてしまうような

スーパー中学生だった。

告白も年100回はされて、バレンタインデーでは逆に大量に貰ってトラック一台とか生温いレベルだったらしい。


それなのに、何故か僕はこの欅葉高校を目指すと言ったらついてきた。

すごいもったいないことしてるから、理由を聞いてみたら、

『いやー、、水ちゃんを一人で行かせるの不安だし、

ついていってあげようかな』

って、言ってきた。


過保護すぎてこっちが悪いように思ってしまうから、

本当にやめてほしい。

ここまで来るってことは家族とかとはどうなったんだろう。

『幼なじみがそこ行くから自分も心配でついていきたい!!』

なんて言われた賛同する家族なんてそうそういないし、

自分だったら絶対反対するからな、、

どう言いくるめてきたんだろう?


まあ琴音のことだし、ちゃんとした理由があるかもしれないしね。


「もう、入学式だね。一緒のクラスになれたらいいね。」

「そうだね。琴音と一緒だと安心するし、、」

「・・・////」


なんか琴音の顔が赤い。緊張してんのかな?

同じ学校から来たのは僕と琴音だけだし、友達関係とかも心配なんだろう。

琴音だったらなんとかなりそうだけど、そんなところもあるんだな


「今日は入学式だけだし、

 学校行事恒例の校長先生のありがたい長いお話聞いたら終わりだから気楽だね」

「・・いつも思うけど、校長先生も気付かないのかな?

 自分も長い話されると飽きるとか思わないのかな、マジで意味わからないよね」


案外、琴音は口が悪い。特に人の悪口を言うときは。

女の子の友達と話す時はあんましないらしいけど、

僕と話すときは本性?が現れてたまに「女子って怖っ」って思うときもある。


こんな感じで学校前辺りをゆらゆら歩いていると遂に校門についた。

しっかりとこれでもかというぐらい手を入れ込んでいる入学式という文字の立て掛けの看板。

私立なのである程度自由で生徒中心というものがあるのだろう。


「おはようございます。」

「、おはようございます。」

校門前には先生が立っていたのでちゃんと挨拶はしておく。

はじめはイメージが大事だからね。

「おはよう!今日は入学式だけだけど、この学校を楽しんでいってね」

言葉遣いからもわかる、年は40代前半ぐらいの優しそうな男の先生だ。


ここの欅葉高校は一般的な高校より広いように感じる。

特に地元のと比べたら、、

まず6階建てぐらいの大きい各教室を入れた本棟。

そこから繋がっている特別教室などがあるような棟。

そして何といっても広いグラウンドと体育館。

グラウンドはサッカーコート一面分は悠々入っていて人工芝。

両脇には観客が入るようなスペースまでもある。

体育館は2階建てで1階はバスケットゴールがあったりと、一般的な構造で、

2階は柔道場や体操用の道具、設備がそろっている。

テニスコート4面揃えた屋外施設もあり、スポーツするためだけといっても過言ではない学校だ。


玄関でまず受付を済ませ、簡単な案内を受ける。

それによると、

まず、自分の教室を確認し、そこで荷物を整理し先生が来るまで待機。

そのあとは体育館の1階(集会場)に入場し、話を受けて解散という感じらしい。

時間は11:00までとなっているが、それより早く終わるそうだ。


僕の教室、つまり1年生の階は5階で階段でのぼるとなると足腰が鍛えられそうな距離だ。

(部活の冬練習とか絶対ここ走らされそうだな。)

しかし、ちゃんとエレベーターが4基ぐらいしっかり設置されてあり、とても快適だ。

今日は琴音と一緒なのでエレベーターに乗っていくことにする。


現在8:20。

エレベーター周辺に恐らく今年の入学生であろう人がたくさんいる。


(こんな中行きたくないなー)

などと思っていると

「はー、 やだなー 」

琴音が少し嫌味をこぼしていた。


「じゃあ、階段走ってく?」

「ふぇっ?!」

琴音自身としては、独り言だったらしい。


「え、後10分ぐらいしかないよ。

知らない人いっぱいいるから、時間前行動もきちんとしないとだし」

「じゃあ、この中待ってぎゅうぎゅうの中行くの?」

「・・・・ いくよ!速く!間に合わないよ!」

「はいはい、、急ご。」


『なんで新入生が初日からこんな走ってるんだ?』

そう思われても仕方ないぐらい、一段飛ばししながら全力疾走で上へ上へと向かう。


「やばい、、普通に、、疲れ、、た」

一年生の5階までたどり着いてまず第一声がこれだ。

春休みはほとんど、予習で高校の内容を先取りしまくったせいで、

家での時間が増えて、体力が極端に減ってしまっていた。

(日々の練習はやっぱ重要だな。まさに塵も積もれば山となるだな)


れっきとした元中学サッカー部男子でもこのありさまなので、

琴音も疲れてるのかな?

とおもったけど、

「そんな息ついてるひまあったら、早くいこ。

間に合わなくなっちゃうよ!」

すぐに僕を急かしてきた。

心配しないとだったのは、自分の方だったようだ。


「ちょっ、、と待っ」

ーバシッ

「ちょっと待って」と言おうとしたら、

手首を掴まれて引きずられてそうになった。


それは流石に人に見られると琴音は何も思わないだろうが、

僕が女子より弱いという、か弱いイメージがつくのは嫌なので、

「大丈夫、だか、ら」

慌てて手を引いた。


「まあ、急ぐよ!」

べつに人がたくさんいる教室は目の前なので、

そこまで急ぐ必要はないのだが、、


軽く走ったら(廊下走っちゃだめだろうけど、、)

クラス分けが表示されたおおきな紙が貼ってあった。

ぱっと見たところ5組(+推薦組クラス)のようである


で、自分の名前を探そうとした時、

「え、嘘、、」

隣の琴音が絶望したような声で呟いた。

ただそんなことも少し受け流して自分の名前を探す

「あ、あった。」

(僕は一組か、、

あ、琴音とは別クラスか。)

黒坂琴音という文字は2組の欄に入っていた。

なるべく一緒が良かったが、先生に言ってもかわることはないので、

仕方なく受け止める

琴音はあえて言うなら この世の終わり!みたいな表情を浮かべていた。

「琴音、どうしたの?」

「・・・・・」

質問してみたが、一点をじっと見つめてるだけで答えは返ってこなかった。

その視線の先には 加藤水蓮 という僕の名前があった。


「そんな僕と一緒が良かったの?」

ずっと見つめ続けていたので聞いてみた。

(自分で聞くのも恥ずかしいけど、、)


「・・いや?別にそんなわけじゃないから!」

なんかツンデレのテンプレみたいな台詞を言い残して、

2組のほうに入

「あ、そっちは推薦クラス。2組は逆のほうだよ。

大丈夫?落ち着いてね。焦ることないから。」

なんか自分の失態に恥ずかしくなったのか顔が赤くなったけど、

僕の話を素直に聞いてすぐUターンして2組に入っていった。


(なんか琴音が焦るの珍しいな。)

普段とは少し違う琴音をみて、首をかしげていたが、

もう時間だと気付き急いで席を探し座っておいた。


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