執事の主人とその証明
警報の音を聞きつけてユウと舞が庭に出ると、そこにはすでに命が出て来ており戦闘体制をとっている。門の前には一人の男が立っている。命はユウ達が来たことに気付くとそちらに駆け寄り状況を説明する。
「洗濯物を干していたらあの男が唐突に敷地内に落ちてきて、多分、教会っていうところのメンバーなんだと思いますが、どうしますか?」
言い終わると門をなんだと思っているのか、と愚痴を溢す。そんな愚痴を聞き流しつつユウは考える。相手の能力がわからない以上、あまり能力を晒したくはないな。なんて思っていると男が話し出す。
「ユウだったか?テメーの能力は知ってから今俺に晒しても何の問題も無いぜ。あっ、あとな俺が教会のものかってんならそれはイエスだメイドの嬢ちゃん」
口調は非常に軽薄だが、まるでこっちの思考が読まれているような内容の台詞にユウが少し感嘆する。そのユウの様子を見て舞が口を開く。
「私があの男を倒すわ。それで私の強さを証明して見せる。だから、ここは私にやらせて頂戴。ね、いいでしょ?」
上目遣いでユウに懇願する舞。その姿に流石のユウも折れたのか了承する。舞が敵の方を向くとユウが
「危険だと判断したら即座に割って入りますからね」
と注告する。舞は静かに頷くとユウが部屋から出てくる際に自分に渡した手甲をつけ、大きく息を吸って男に向かい走り出した。