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高校編‐耐え忍ぶ戦い-

中学を卒業し、私たちは別々の道を歩み始めました。

私は自宅から鈍行で片道30分ほどの高校に入学し、新たな高校生活が始まりました。


ですが、ここからの3年間は過酷なものでした。

突然の環境の変化に身体は悲鳴を上げ、トゥレット症候群の症状が悪化したのです。

中学の頃は、自分の持ち前の性格の明るさで何とか乗り切りましたが、今回は完全に心を塞いでしまい、もちろん友達も一人もできなかったです。


周りの同級生たちは、もちろん私の病気を笑いました。それはいいんですよ。もう笑われるのには慣れていたから。

辛かったのは症状を抑えることでした。そっちの方が体力も使うし精神も削りましたから。


私が通っていた高校は甲子園の常連校だったんですが、バスでの長距離移動がトゥレットの体には耐えきれないという理由で甲子園の応援には毎年行っていなかったですね。

昼休みも弁当は一人で食べていましたし、授業の合間は一人で窓の外の空をボーッと眺めて過ごしていました〈自分は窓際の席の方が症状が抑えやすいという理由で席替えの時は毎回担任に頼んで席を窓際にしてもらってました)。


そんな寂しい高校生活を送っていた私は、次第に将来の目標について考え始めました。


時は遡り中学時代、私のこのトゥレットの症状は、毎年冬に悪化するという謎のサイクルを繰り返していました。

中学一年の頃の冬、症状を制御できていなかった私は、音声チックや運動チックを抑えられず、クラスの仲間に迷惑をかけていました。そこで症状が悪化している間は一時的な対策として、職員室の近くの小部屋で一人寂しく年配の職員と一緒に勉強することになったんです。


孤独な冬を過ごしていた私の頭の中では、ふとある考えが浮かびました。


「大人になったら、病気や親の束縛に縛られず、自由に生きよう」


考えた結果、私にとっての「自由に生きる」とは、世界各国を旅することだと結論付けました。

そして時は戻り、再び孤独な高校生活を過ごしていた私は、かつて自分が夢見た「世界」に少しでも近づくべく、英語の学習を始めました。


それと同時に、将来の夢もその頃からコロコロと自分の中で変わり始めたんです。

絵を描くのが得意だったので、最初は漫画家を目指してたのですが、その後は貿易関係の仕事を目指しだして、大学も外国語学部がある大学を目指して受験に挑みました。


やがて時は過ぎ、過酷な高校生活三年間はあっという間に過ぎていきました。

この三年で私は何を得ることができたか考えてみたのですが、答えは出ませんでした。

結局英語はマスターできず、友達もできず、大していい思い出もなく、ただただ耐え忍ぶだけの三年間だったと思います。


それでもこの三年間を耐え抜くことができたのは、かつて私のことを支えてくれた仲間たちが、今も自分の知らないところで頑張っているんだと知っていたからです。

そして病気の束縛から抜け出して、いつか世界を見て回るんだという絶対的な思いがあるからです。


そして高校の卒業式の日、トゥレットは相変わらず酷く、私に別れの挨拶をしてくれる者は誰一人いませんでした。

しかし私は思いました。「高校なんて、ただの通過点だ」と。


高校三年間ではあまり進歩がありませんでしたが、この後の大学生活4年間は私の人生にとってターニングポイントの一つとなります。


とにかく私は、この耐え忍ぶ戦いを乗り切りました。それだけが、私にとっての真実です。


この経験が今後の人生でどう生かされるかは分かりませんが、きっとこの経験は、今後の人生において貴重な〝宝物〟になる。


私はそう信じています。



お読みいただきありがとうございました。

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