表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
現代兵器で無双します!  作者: 狼噛 ウルフ
第二章 王都貴族学園編 1年生
40/44

第38話 終戦

 レイ達がサキュバスに勝利した数分前。

 カナデ達の戦闘もまた苛烈を極めていた。


「はぁっ!」


「っ!!!」


 一閃、弾かれる、一突き、避けられた。


「そんなに攻められるとゾクゾクしちゃう!」


 雷を纏うルナによる高速機動からの一撃と、ルナの支援をする形で的確に隙を突いてくるカナデ。

 しかしサキュバスはその全てを反射神経と身体能力をもって正面から受け止め続ける。


「さあ、次は何を見せてくれるのかしら?」


 言いながら肘から先が肥大化した爪で振るわれる一撃を二人でなんとか受ける。

 二人同時に爪を弾き、一度距離を取る。


「はぁ…はぁ…どうすれば…」


「はぁ…はぁ…」


 そろそろ、ルナの魔力も限界に近い。

 ボクも体力の消耗が激しいし、致命傷でなくともあちこち傷だらけだ。


 ともかく、早く打開策を見つけなければ…


「あら? もう終わりかしら? じゃあ今度はお姉さんの番ね!」


 サキュバスの猛攻を二人でなんとか凌ぐ。

 隙を突いてサキュバスの体制を崩し、それを確認したルナが一撃を狙う。

 しかしあと一歩のところで防がれる。

 そして、そのまま薙ぎ払うように腕を振るわれたことで受け止めきれなかった二人が簡単に吹き飛ばされた。

 カナデがどうにか体制を立て直して受け身を取るが、少なくない衝撃が体を暴れまわり、内側から破壊する。


 「ガッ…ゲホッゲホッ…」


 血を吐き出しながらなんとか次に備える。

 目線を上げた先に見えたのはルナに向けて爪を振るう直前のサキュバスだった。


「ルナ!!!」


 なんとか反応して受けようとするが、間に合わない。

 そう判断したルナは少しでも軌道を逸らすことでなんとか致命傷を避けた。


 吹き飛ばされながら鮮血を撒き散らし飛ばされる。

 追撃に入ったサキュバスとの間にカナデがなんとか割り込むが、一瞬で薙ぎ払われた。

 二人は地面に剣を突き立て、衝撃を殺して着地する。


 できて間もない生傷が痛むがそれでも倒れるわけにはいかない。

 体力も、魔力も限界、しかしここで倒れてしまったら相棒が、自分が次に目覚めたときにどうなっているかなど簡単に想像がつく。

 故に倒れられない。

 どちらが倒れても致命的故に。


 なにか、なにかきっかけが欲しい…


 カナデがそう思ったときだった。

 カナデの願いが届いたのか、はたまたただの偶然か。

―――――閃光。

 辺り一帯を白い光が埋め尽くしす。

 破壊の波動が地面を、学園を抉り、一瞬で瓦礫へと変えていく。


 ここしかないと思った。


 白い光に覆われる寸前までの記憶を頼りに駆け出す。

 瓦礫がカナデの体を切り刻むが無視して走る。


 視界が晴れる。眼前にはサキュバスが警戒した様子で立っており、カナデに気づいたサキュバスは攻撃を仕掛けてくる。

 タイミング的に避けられないと悟った。

 でも、やるしかない!


「はああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」


 叫びながら、無我夢中で剣を振るう。

 サキュバスの爪がカナデの脇腹を抉る。

 決して少なくない血が舞うが、カナデの剣もサキュバスの腹に届いた。

 カナデの剣がサキュバスの胴を貫きく。


「ぐっ…カハッ!」


 片や衝撃に吹き飛ばされ、片や血を吐き。

 カナデは飛ばされながら叫ぶ。


「ルナ!!!」


 相棒の名を。


「らぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!」


 ルナもまた閃光と共に駆け出していた。

 二振りの剣を振るう。

 完璧なタイミングで繰り出されたその攻撃は、サキュバスを切り裂いた。


「ガッ!」


 くぐもった声と共に血を吐き出しながら壁に衝突する。

 切り裂かれた脇腹を抑え、剣を杖代わりにしてなんとか立ち上がる。


 目線を上げると、サキュバスが力なく倒れていくのと、それに続くように相棒が倒れていくのが見えた。


「ルナ!」


 ゆっくりとした、重い足取りでルナの元へ辿り着く。


「ルナ! ルナ!」


 ルナは名を呼ばれると静かに目を開けた。


「・・・終わった…?」


 そう言われ、サキュバスを調べる。

 どうやら絶命しているようだ。


「あぁ、終わったみたいだよ」


「ん……ッ!」


 ルナは痛む体を我慢しながらゆっくり立ち上がった。


「さっきの光はいったい…」


「……魔力の感じからして……多分…メリア…」


「そうか…ひとまず状況の確認をしないと…ッ!」


 脇腹だけじゃない、体のあちこちが痛む。

 おそらく骨も数本折れているだろう。

 ルナも同じようだ。


「……休ま……ないと…」


「そう…だね…」


 ルナの提案を呑みたいところではあるが、レイ達のことも心配なのでひとまずは状況確認を優先する。

 幸い、なんとか動けるが、無理をすれば悪化するかもしれない。


 しばらく歩けば、二人が倒れているのを見つけた。


「レイ! メリア! 大丈夫か!?」


 返事は、小さな寝息で返された。


「寝てる…?」


「・・・みたい…だね…」


 二人も浅くはない傷をいくつもつけている、すぐにでも治療したいが……

 それは、カナデ達自身もであった。

 とても二人を運ぶことはできない。


「・・・静かになった…?」


「え…?」


 注意して聞いてみればあたりから響いていた喧騒が殆どしていない。

 あれだけいたサキュバスも姿が見えないことに気づく。


「先生や騎士団が…撃退したのか…?」


「やあ、お互い無事みたいだね」


「アレン陛下…」


 声のする方を見るとそこにはアレン陛下が立っていた。

 魔王軍幹部…ナイトメア『リリア=カシュマール』とやりあっていたのもあって無傷とはいかないが、それでもボク達よりも傷は少なさそうだ。


「どう…なりましたか…」


「サキュバス達は撤退。

 詳しい人数は調査中だが、少なくない人数の女性、女子がサキュバスに変えられ、討伐、あるいは撤退しただろう。

 やってきたサキュバスやサキュバスにされた者たちによって街の破壊活動や殺傷が行われ、街の機能は完全に停止している」


「リリアの、狙いは…?」


「……王城の倉庫から、魔道具がいくつか消失していた。

 恐らくその魔道具の回収が目的だったのだと思う」


 具体的な内容は伝えられないけどねと付け加え、アレン陛下は言葉を続ける。


「二人は…無事みたいだね。すぐに医者に診せよう。君たちも診てもらうといい」


 そうしてアレン陛下と別れ、騎士団に連れられてテントの方へ歩いていった……

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ