第3話 初戦闘
※投稿主はゲームで銃を使っているだけなので銃の種類はわかっても威力などの細かい部分はわかりません。
その点を踏まえた上で読んでもらえると幸いです。
ゴブリンと遭遇した。
だがレイはどちらかというと安心していた。
もちろん初めて命のやり取りをすることになるのだ。
緊張はしている。
だが、オークとかじゃないのでワルサーP99でも十分対応できそうだということが安心の要因である。
それにさっきドラゴン見たし・・・
ところでさっきも魔獣に狙われていたらしいけど、俺の見た目ってそんなに倒しやすそうだっただろうか・・・
いや思い出した。
今女だった俺。
バハムートさんいわく年齢は大体11歳ほど。
獣人族なので多少人族より身体能力は高いらしい。
だが10歳程度の女の子が武装もせず(実際はしているが)森の中に一人なら襲っても来るか・・・
早く街に行かないと何度も襲われそうだ・・・
ひとまずこの目の前のゴブリンを使って銃の試し撃ちと練習でもしましょうかね。
「ーーーーー!」
そんな事を考えながら睨み合いをしているうちに一体が痺れを切らし手に持つ棍棒を振り上げながら突進してきた。
銃を持った相手にまっすぐ突撃とは、馬鹿なやつだ。
この世界に銃はないんだから仕方ないけどね。
パン!
あ、やべ。
初弾は外れた。
さっき試し撃ちした以外にはゲーム内でしか使ったことがない武器だ。
まだ当てるには練習が必要だろう。
最初は10mほどあった距離が5mになっている。
だがこの銃にはまだ15発入っている。
自動拳銃だからトリガーを引くだけで弾は出る。
パン!
よし当たった!
ゴブリンの胸の辺りに当たり、そこから血が滴っている。
だが勢いを止めるには足りない。
1発じゃ無理か!
パン!パン!
1発は外れた。
でも2発目が頭に当たり棍棒を振り上げた状態で
倒れるゴブリン。
あと2体!
残りは・・・3発撃ったから12発!
そして気づいた。
最初にいた場所にゴブリンの姿が無かった。
だがそこは数多くのゲームをプレイした生粋のゲーマー。
焦らずこういうとき相手ならどう動くか?
レイは全力のバックステップで左右から襲ってきた棍棒を回避した。
レイの予想より頭が回るようだ。
1体が正面から突撃し、残りが遅れて左右から襲う。
なかなかいい連携をするゴブリンだ。
そしてレイの予想を超えたことがもう一つある。
それは自身の身体能力である。
以前のレイなら全力でバックステップしたところで1mも飛ばないだろう。
だが今は獣人だ。
5mも後方へ吹き飛び、予想外の身体能力に驚いたこともあり勢いを殺しきれず思いっきりすっ転んだ。
「いっ!」
思ったより痛いが今は戦闘の最中だ、さっさと起き上がらないと・・・
仰向けに寝た状態から足を振り上げ、足が下がるタイミングで上体を起こすことで少しでも早く起き上がろうとしたところで顔面に棍棒を貰い5m後方にあった木へ背中からぶつかる。
「うっ・・・」
正直すごく痛いがそこは我慢して倒れ込むのを必死に堪える。
倒れたらまた追撃が来るからだ。
先程顔面を殴り飛ばしたゴブリンとは別のゴブリンが頭を粉砕しようと棍棒を振りかぶっている。
レイはそれを屈むことで回避しゴブリンの腹に蹴りをお見舞いする。
思ったよりゴブリンが軽かったことと獣人族の脚力により吹っ飛ぶゴブリンへワルサーを撃ち込むことで追撃する。
パンパンパンパン!
連射することで確実に倒したかったがゴブリンの左肩へ1発以外は少しかすった程度だ。
残り8発。
そろそろ節約しないとまずいか?
すると今度は顔面を殴り飛ばした方のゴブリン・・・面倒くさいから死んでるやつがA、顔面殴り飛ばし野郎がBで残りがCね。
そのゴブリンBが吹き飛ぶ仲間に目もくれず棍棒を振りかぶっていた。
レイは振り下ろされる前にワルサーを頭に向かって連射する。
パンパンパンパン!
さらに4発使うことで確実に仕留める。
残り4発。
あと1体。
Bを倒している間にCが起き上がりこちらへ突進を開始していた。
レイはそいつへ銃口を向けるがゴブリンはそれを確認すると突進しつつジグザグしながらこちらへ向かってくる。
「こいつ!」
この数分でレイの武器の特性を見破り、対応してきたのだ。
こうも動き回られると射撃初心者のレイには狙いを定められない。
「当たれぇぇぇぇ!!!」
パンパンパン!
3発使うが当たらない。
残り1発。
これだけは確実に当てなければいけない。
振り下ろされる棍棒をほとんど勘で回避し、ワルサーのグリップで相手を横になぎ倒す。
(よし!あとは倒れるゴブリンの頭を撃つだけ!)
レイは勝ちを確信し、トリガーを引く。
カチッ
あ、まずい。
レイは思い出した。
試し撃ちに1発使っているということに。
つまり、レイは既にワルサーP99の装弾数16発を使い切っていた。
(まずい!)
今度は少し軽めにバックステップすることでゴブリンの回し蹴りを回避する。
ゴブリンはその遠心力を利用し素早く立ち上がるとまたジグザグに突進を開始した。
レイはそこへ向かってワルサーを投げ込む。
当たらないが、これでいい。
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ゴブリンは投げられる謎の武器を見送るとまっすぐ獲物に向かって突進する。
(武器を投げ捨てるとは血迷ったか?)
ゴブリンが獲物に視点を合わせると。
そこにはあの謎の武器を構える獣人族の女がいた。
ここでゴブリンの意識は途絶えた。
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「危なかった・・・」
息も絶え絶えにそうつぶやくレイ。
あの場でリロードを選ばずもう一回ワルサーを作り出すことで武器ごと弾を補充したのだ。
「てか、これができるならリロードする必要ないんじゃね」
だが、練習して素早くできるようにはしておいたほうがいいだろう。
「とりあえず、胴に当たっても即死はしない。
頭なら一発で倒せるみたいだな。」
そこでレイの視界がふらつき、立つこともままならなくなる。
(あ、ヤバ・・・)
レイはゴブリンBに殴られたとき、頭から血を流している。
さらに強く殴られたことで脳震盪も起きていた。
(意識を・・・保・・・た・・な・・・い・・・と・・・)
レイの意識はそこで途切れた。
タイトルに無双と書いてあるのに無双しないスタイルです。
まだレイちゃんは戦闘に不慣れみたいです。