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現代兵器で無双します!  作者: 狼噛 ウルフ
第二章 王都貴族学園編 1年生
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第29話 囚われの少女

誰だ急に自分の小説で脱出ゲーム始めやがったやつは。

 謎考えるのは難しいってわからなかったのか?

 それはそうとして投稿遅れてすみません、みなさん夏休み楽しんでますか?

 夏休みなんてねぇよって方はお盆休めましたか?

 僕は夏休み楽しんでます(積み上がる宿題から目を逸らしながら)

『たす・・・けて・・・』


「こっちから聞こえるね」


 俺達は今、助けを求める声に向かって歩いている。


 もしかしたら俺達と同じように脱出ゲームをしてる人がいるだけなんじゃね? と思わなくもないが、ストーリー的な物だった場合無視するよりも一度確認したほうがいいという結論に至った。


 そうして、俺達はその牢屋の前に辿り着いた。


『たす・・・けて・・・』


 そこには同じ言葉を繰り返す少女がいた。


『たす・・・けて・・・』


 壁に背を預け、顔を俯かせ、機械的に紡がれる声には生気が無い。


『たす・・・けて・・・』


 そんな少女の、今にも消え入りそうな声に返事する声が現れる。


「あなたは・・・」


『そこに誰か・・・』


「はい、あなたを助けに来ました」


 脱出ゲームとわかっていながら言っているのか、一時的に忘れているのかはわからないが、カナデの言葉は少女の期待したものだったらしい。

 静かに顔を上げ、消え入りそうな声で静かに言葉を紡ぐ。


『どうか・・・助けてください・・・

 私には・・・やるべきことがあるんです・・・』


「わかりました、もう少し待っていてください」


 そう言うとカナデは俺達に向き直る。


「と、言ったはいいものの・・・どうすればいいんだろう・・・」


「出てきたときに使った鍵はどう?」


「試してみようか」


 メリアの提案に返事をする。

 すると、少しの間少女達に静寂が訪れ、うち3人がケモ耳と尻尾のついた少女の方を見る。


「あれ? どうしたの?」


 しかし、その少女は視線の意味を理解することはできなかった。


「いや、鍵って最後に使ったの・・・レイだよね?」


「あ・・・」


 メリアの言葉に『あ、やべ』という顔をする。


「「「「・・・」」」」


「取りに行こうか・・・」


「・・・そうだね」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 鍵は変わらず牢屋に刺さっていた。

 その時の鍵を持って再びあの牢屋へとやってきた。


「どう? 開きそう?」


 メリアが横から顔を覗かせる。


「うーん・・・ダメそうだね。

 やっぱりここに対応した鍵を探すべきみたい」


「そっか・・・」


「それに・・・メモも見つけないといけないよね」


「鍵がありそうな場所といえば・・・」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「上への階段か」


 ひとまずは探索ということで歩きまわっていたのだが、そのうちカナデが階段を発見した。


「どうする?」


「鍵が上にある可能性もあるけど・・・」


「でも・・・大体の場所は・・・歩きまわった・・・」


「今のところ、看守室のような場所は見ていないよね」


 牢屋の鍵がある場所はどこか? と言う疑問に対してほぼ全会一致で看守室という結論に達したため探していたのだが、メリアの言うとおりとうとう見つからなかった。


「じゃあ、上に行くってことでいいかな?」


 カナデが率先して上へ行こうとする。

 しかし、


「ちょっと・・・待って・・・」


 ルナが階段の脇、その壁を触ったり、叩いたりしている。


「何してるの?」


「ここの壁・・・気になって・・・」


「そう?」


 そんなことを言っていると・・・


「あ!」


 壁に嵌っていた石の1つが奥へ引っ込んだ。

 するとその壁全体がすこし奥へ引っ込み、自動ドアのように音を立てながら横へスライドして開かれた。


「やっぱり・・・」


「うそ・・・」


「こんなところに隠し扉・・・?」


 ひとまず探索してみようということで中に入る。

 トラップ的なものでは無いらしく、入ったら扉が音を立てて閉まるということは無かった。


「ここって・・・」


「どうやら探していた部屋みたいだね」


 そこは看守室と思われる部屋だった。

 と言っても、たくさんのモニターが並んでいたりするわけでもないここが看守室だと思ったのはこの場所の特殊な壁によるものだ。


「あっちからは壁にしか見えなかったのに・・・」


 この部屋の通路に面する壁、のはずなのだが、そこに壁は無く、階段下の通路を監視することができる作りだった。


「光系の魔法かな・・・空間の可能性もあるか」


 おそらく、脱走しようとする者が現れたとき、必ずこの階段を通ることになるのだろう。

 その横に看守室を置き、脱走を未然に防ぐ作りなのだ。


「すり抜ける・・・攻撃も可能か」


 ためしに通路に向かって小石を投げてみると通路側からなら存在したはずの質量を無視し、通路まで小石が飛んでいく。


「この鍵しかないね」


 壁には看守が寝るためなのだろうベットと、鍵をかけておくためだと思われるフックがいくつも刺さっていた。

 しかし、いくつもあるはずの鍵の殆どは掛かっておらず、1つだけが残されていた。


「これを持ってさっきの子のところに行こうか」


 そう言いながらメリアは鍵を持ち出そうとする。


「特に何も起こらないか・・・」


「え? どういうこと?」


「いや、鍵を取った瞬間に看守が急に現れて・・・とか思ってただけだよ。」


「え!?」


 俺がそう言うとメリアは突然辺りの警戒を始める。


「特に何も起こらないみたいだし、鍵を持っていこうよ」


「う、うん・・・ねぇ待ってつまり私のこと囮にしてn「さ、早くいこうよ」」


「・・・」


 メリアがとても何か言いたいような顔をしていたが、俺が外に出ると諦めたかのように1度ため息を吐きながら外に出る。


 ちなみにカナデとルナもレイと同じように警戒していたので、メリアのことを同じように囮にした側であるのを、メリアは知らない。


 ちなみに二人はクスクスと笑っていた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


『たす・・・けて・・・』


「鍵を取ってきました!」


 そう言いながらメリアは鍵を刺し、回す。

 ガチャリ、という子気味の良い音を聞くとメリアは扉を開け放つ。


『ありがとう・・・』


 覇気のない声でこの牢屋にいた少女がお礼を言う。


 その体は少し痩せ細っているようだが、まだ致命的な程では無さそうだ。


 と言っても、医学的知識に長けているわけでもないので素人目にはそう見えるだけだが。


 見た目は大体俺達と同じくらい、つまり中学生程度。

 綺麗な銀髪の髪を肩の下くらいまで伸ばしている。

 全体的に乱れているのは牢屋にいたのだから仕方がないだろう。


 若干ゴシック調だが比較的動きやすそうな服も、牢屋にいた影響か砂埃が多くついている。


 しかし、彼女を惹きつけるのは綺麗な銀髪でも、特徴的な衣装でも無かった。


 とても綺麗な、紅い目をしていた。


 透き通るような紅い目に見えるが、一方でドロドロの血のような紅にも感じる、不思議な目をしていた。


『助けていただきありがとうございます。

 あなた達は早くこの城から逃げて下さい。』


「あなたはどうするのですか?」


『私は・・・やることがありますから』


 メリアに向き直り、そう答える少女。


「そんな体で無茶だ!」


 少女の体を心配するのはカナデだ。


『ありがとうございます。

 でも、大丈夫ですから。

 私じゃなきゃ・・・いけないんです』


 その紅い目には強い意志を伴っており、カナデは少したじろぐ。


「でも…」


 困ったような顔で俺たちを見るカナデ。

 極論を言えばこの子はこの脱出ゲームのために用意されたNPCだろう。

 「死」という概念が極論存在しないためどう扱おうがプレイヤー次第だ。

 カナデとしては助けたいのだろう。

 しかし、脱出ゲームである以上彼女に協力することが正解の道とは限らない。

 自分たちでこの城を出るための行動をしていた方が効率的だろう。

 でも…


 俺はメリアを見るとメリアは1つ小さく頷く。

 そして反対側、ルナを見るとルナは静かに瞼を閉じる。

 そして最後にカナデに向けて笑顔を見せると、囚われていた少女に向き直る。


「あなたが何をしたいのか聞いてないからわからないし、無理に聞くつもりもないですが…よければ手伝わせてもらえませんか?」


 効率? NPC? それがどうした?

 助けたい奴がいるなら助ければいいだろ?


『そんなわけにはいきません! ここは危険なんです! だから…早く逃げ…』


「危険は承知の上ですよ」


 俺は強い意志を伴った瞳で彼女を見る。


『……わかりました。正直に言えば、一人で果たせるかわかりません。お願いできますか?』


「もちろん。いいよねみんなも」


「うん」


「ありがとう…レイ」


「……いいよ」


「じゃあそういうことで。名前聞いてなかったよね?」


『私は…エル…エルって言います』


 脱出ゲームは…まだ続く。

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