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現代兵器で無双します!  作者: 狼噛 ウルフ
第二章 王都貴族学園編 1年生
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第20話 魔の手

「もう少し奥地に行って、あいつらよりも大物を取りますわよ!」


 そんなことを言ってから数十分後。

 今私達は何をしているかと言いますと。


「【スピードブースト】! ですわ!」


 簡単に言うと走っていますわ。

 獣人なんかに負けたくないからと必死に勉強した魔法を掛けつつ、同じく負けたくないからと必死に練習した足で今まで見たことないくらいに走っていますわ。


「フィルリア様が悪いんですよ!

奥地へ行こうなんていうから!」


「うるさいですわよ!

それに、あなただって賛成してましたわよ!」


 しかし、何故こうも必死になって走っているかと言いますと、奥地に入って数分後に現れた魔物のせいですわ。

 名をフォレストウルフ。

 普通は5〜10体程度の数で活動する狼系の魔物ですわ。

 その魔物をレベルのために狩ろうとしたのですが、私とした事が気がつくと囲まれてしまったのですわ。

 しかし魔法を使って道を切り開き、なんとか囲いからは脱出したのですが・・・


「何故こんなにいるのよ!」


「知らないわよ!」


 フォレストウルフたちは少なくとも50体以上の群れで私達を狩ろうとしていますわ。

 なので食べられないように必死に走っているわけですわ。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 あれから何分が経ったのか・・・

 フィルリアたちはなんとか生き延びようとキャンプを目指して走っていた・・・

 大量の狼を連れて・・・


 そしてレイたちは・・・


「あいつら・・・一体どこにいるんだ?」


「奥地の方へ行ったということならもう・・・」


「できれば、そうなっていないことを祈ろう・・・」


「・・・何か・・・聞こえる?」


「ルナ、どうした?」


「いっそのことあっちからこっちに向かって走ってきてくれたら楽なんだけどね・・・」


「メリア、流石にそんなこと・・・」


 そう言いかけたとき、何かがこちらに向かって走ってくるのが見えた。


「あれって・・・フィルリアですよね?」


「無事だったみたいだな。みんなで戻ろう!」


「いや、無事にしては・・・」


 やけに必死だな・・・?


 それはもう今まで見たことないくらいに必死なお嬢様が見えました。


「何かから逃げてる?」


「そんな感じだね」


 そう話しているうちに本人が近づいてきたので話を聞いてみようと思う。


「なぁフィルr・・・」


 ガン無視で走っていきやがった・・・


「!・・・走って!」


「ルナ? どうし・・・そういうことか!」


「また狼か・・・」


 レイたちも狼に気づき、フィルリアに続いて走ることになった・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


「フィルリア待って!」


「止まったらあれに捕まって餌になりますわよ!」


「このままキャンプに逃げるのは他の生徒たちが危険だから! 私達であれを倒すんだよ!」


「無理ですわよ!」

「無理よ!」

「無理です!」


「せめて手伝って!」


「レイ! ワープは?」


「ごめん!魔力不足でしばらく使えない!」


「じゃあ、レイは銃で敵を倒していって! メリアは魔法で足止めをして! ルナは足止めを抜けた敵を倒していって! ルーク先生とボクで近づいてきたやつはやるよ!」


「「「了解!」」」


「あぁ! 俺の前でお前たちを死なせたりはしない! 無理はするな!」


 今日レイは狩りの時はともかく、その後の見回りでサイコキネシスを大量に同時使用し、魔力不足になったクラスメイトに魔力を分け、大人数でワープしたことによりワープに使う魔力が足りなくなっていた。


 つまり「MPが足りない!」状態である。


 魔力切れで倒れていないのは活動に必要な分は残っているためである。


(思ったよりワープに使う魔力って多いんだよな・・・テレポートじゃ離脱できる距離まで飛べないし・・・)


「【アイシクル・レイン】!」


 パン! パン! パン! パン!


 レイは銃で、メリアは魔法で、カナデは剣で、ルナは剣と魔法で、ルークは大剣で、それぞれの武器で少しづつ狼を減らしていく・・・


「やっぱり異常に多い! けど・・・」


 先程クラスメイトを守りながらのときよりは確実に減っているのがわかる。


 レイは魔力を消費するわけにはいかず、サイコキネシスを始めとした魔法を縛った状態ではあるが、その分ルナやメリアが敵を殲滅していった。


 カナデとルークは左右に別れ、近づいてきた狼からフィルリアたちを守る。


 そうして確実に狼たちは減っていった・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 それから30分後、全体の6割ほどを倒したあたりで狼たちは帰っていった。


「ふぅ・・・」


「お疲れ・・・」


「よくやったな」


 そんな言葉をルーク先生からもらう。


「やっぱり・・・変」


「ここってこんなに魔物が多いんですか?」


「いや、そんなことは無い。

レベルもここまで高くはないはずなんだが・・・」


「やっぱり、異常だったんだね」


「ひとまず野外実習は中止だな、もう暗くなる。急いで帰らなければならないだろう・・・せめてアストラ大森林は出なければ・・・」


 そんな話をしているときだった。


「あの・・・」


「どうした?」


 話しかけてきた相手がフィルリアだったので少し無愛想に返す。


「今回は、その・・・ありがとうですわ・・・」


「え?」


「な、何度も言いませんわ! 獣人のくせにこれくらいも聞き取れなかったのですね!」


 そう言ってキャンプに向かって1足先に歩いて行くフィルリア。


 お礼を言われるとは思っていなかったのでメリアやカナデたちと一緒に意外だという顔をする。


「・・・フィルリアにも・・・お礼を言う機能・・・ついてたんだ・・・」


「ルナ・・・流石にそれは・・・」


「あいつにもお礼を言う機能ってあったんだ・・・」


「本当意外・・・」


「えぇ・・・」


 レイたちのあまりの物言いに流石に困惑が隠せないカナデだった・・・


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


 そして、今レイたち・・・というより、生徒たちは学校に戻ってきていた。


 なんとか全員無事の状態でアストラ大森林を出て、そこで野営をし、次の日に帰ってきたのである。


「今回は、野外実習どころじゃなかったね・・・」


「あんなにフォレストウルフがいるなんてこと、普通じゃない」


「・・・今回のは・・・先生も異常って・・・言ってた・・・」


「一体、何があったのかな・・・」


 レイたちは頭を回転させ考えるが、これと言った案は出てこない・・・

 ・・・レイ以外は。


(これがもし、魔王の影響だとしたら? この前の異様なゴブリンキングのこともあるし、無関係とは考えづらいな・・・)


 しかし、確証がないためそれも憶測に過ぎない。


 次の日はもともと授業の日だったのだが、今日と合わせて臨時で休日設けられることになった。


 休日は結局みんなとハンターやるか稽古なんだけどね。


 そうして、レイたちは日々を平和に過ごしていく・・・


 魔王軍の魔の手は少しづつ、しかし確実に伸びていく・・・

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