第1話 異世界の森にて
こんにちは、ウルフです。
今はモチベがあるのでどんどん書いていこうと思います。
「ここ、どこだ?」
レイは見覚えのない森の中にいた。
なんでここにいるのか、動きだしたばかりの脳では思い出せない。
「たしか・・・」
そうして少しづつ思い出してきた。
たしか道路に犬が飛び出して、その犬を助けようとして・・・
「そっか死んだのか、俺」
あの速度で走っていた車に轢かれたのだ。
普通に考えて死んだのだろうが・・・
だとしたら今の俺はなんなんだ?
1:現在瀕死の状態で幻覚を見ている。
2:車に跳ね飛ばされどこか知らない森に着地した。
いやんなわけあるか。
そんなことあったら普通死ぬわ。
1はまだ考えられる。
人は瀕死になったときは現実によく似た幻覚を見ると聞いたことがある。
だが2。
お前だけは絶対にない。
「あとあるとしたら・・・」
3:異世界転生した
レイはそれなりにオタクだったのでその手のラノベもいくつか読んでいた。
流石に現実に起こるとは思っていなかったがこの状況ではその可能性も無いとは言い切れない・・・と思う。
ただこんな森の中にいても意味はない。
1の場合なら時間が経てば死ぬか病院で起きるかだと思うが、3の場合ならさっさと行動を起こしたほうがいいだろう。
「そうだ、ケガとか・・・」
ここまで数分経ったが痛みなどはないんだから多分大丈夫だとは思うが・・・
自分の体を触ったり目視で確認しているとき、あることに気づいた。
まず1つ、服は気を失う前に着ていたものだった。
サイズの合わないジーンズにシャツ、上着に半袖の黒パーカーだった。
そしてもう1つ、自分の胸元、そのあたりが膨らんでいた。
「は!? は!? はああああああああ!!??」
エッナニコレ!?
てかよく聞いたら声たっか!
まだまだ成長中なのかそこまで大きくは無いのだが、男にしては膨らんでいる胸…
手を添えて少しだけ揉んでみる。
モミモミ…
ちょっと気持ちいい…いやなんでもない、忘れよう。
「…本物かはわかんねえな」
いや、下見たら多分一目瞭然なのだが、確認するのが怖い。
この胸と声で既にアレも無いんだろうなあと察してはいるんだが…
すると、視界に白い毛が写る。
触れてみると髪の毛だ。
前より明らかに長く、サラサラとした綺麗な髪。
後ろに手を回せば背中の中ほどまで伸びているようだ。
そして、上に手を回せば何かモフモフした突起にぶつかった。
「え?」
モミモミ…モフモフ…
あ、触り心地めっちゃいい。
じゃない! なんだこれ!?
エッ? マジデナニコレ?
しかし客観的に自分の姿を確認できない以上触る以外にできることはなく…
そうだ水とかあれば鏡代わりに…
そう思って辺りを見回すと、丁度後ろを見た時に白いモフモフが視界いっぱいに広がる。
髪の毛ではない。
サラサラではなくモフモフした毛だ。
触れると感覚がある。
モフモフ…
頭上についていたものより心地良い。
撫でると腰の後ろ側から先に感覚があり、そこからくすぐったいようなムズムズするような感覚が伝わってくる。
「あう…」
なんか可愛い変な声出た。
変な扉開く前に手を離す。
「…こうかな…」
視界に写っていたモフモフを右へ左へと動かす。
自分の意思で動く…
これは……ハハハ(乾いた笑い)
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どうやら俺は女の子になってしまったようだ。
しかも頭に突起が2つと後ろ側の腰のあたりにもふもふした物が付いていた。
早い話が獣人、犬獣人である!
「どうしてこうなった」
いや転生した理由は死んだんだからあってもおかしくは無い・・・よな?
だがなんで性別女でしかも犬獣人なんだ・・・
これではケモナーの方々(主に俺とか)が大喜びしてしまうではないか。
姿は犬獣人で女。背中の中ほどまで伸びた白い髪に頭の上に白い犬耳が付いている。
そして後ろ側の腰のあたりからも白い尻尾が伸びていた。
推定美少女。
鏡などが無いので拝むことは出来ないが。
そんなことを考えていた時、異変が起こった。
「ーーーーーーー!!」
レイの耳にドラゴンの咆哮のようなものが聞こえたのだ。
レイはとっさに音の聞こえた方向を見た。
そしてそこには・・・
ドラゴンがいた。
さっきの言葉を訂正しよう。
ドラゴン「のような」咆哮ではない。
ドラゴン「の」咆哮だった。
転生そうそうドラゴンに会うとか、普通そんなことあるか?
いやそんなスライムもいたな。
ともかく、これからどうするか・・・
逃げるか、戦うか。
どちらも無理だと思われる。
いや実際無理でしょこんなの。
この獣人の力がどれだけなのか全くわからないがドラゴンとは基本的にその世界で最強に匹敵するだけの力を持っているのが普通だ。
戦える犬といえばドーベルマンあたりを想像するが、犬の攻撃といえば「噛み付く」だろう。
あの硬そうな鱗をもつドラゴンを?
確実にこっちの歯が先に死ぬだろう。
ならば逃げるか?
こっちは地上、あっちは空。
馬力にもどうしようもない差がありそうだ。
結局どちらも現実的ではない。
(ああ、短い人せ・・・これ人なのかな?とりあえず短い獣人生だった・・・)
そんな馬鹿なことを考えていたときだった。
「あの、そんなに警戒されても困るんだが・・・」
「へ?」
思ったより優しそうなドラゴンだった。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「お主は全く気づいていなかったようだが、近くに魔獣がたくさん近寄ってお主を食べようと狙っておったぞ」
「それでいきなり咆哮を・・・」
「そういうことだ。驚かせたようで悪かったな」
「いえ、助けていただいてありがとうございます」
どうやらこのドラゴンさんは俺を助けるために行動してくれたらしい。
ドラゴンさんがいなければ俺は魔獣のご飯になるところだった・・・転生そうそう死ぬところだった。さっき覚悟したけど。
「あの・・・ドラゴンさん?」
「あぁ、まだ名乗っていなかったな。我の名は神竜バハムートだ。お主の名はなんと言う?」
「雨宮麗です」
「では雨宮麗、もう理解しておると思うがお主は一度死に、転生してこの世界にたどり着いた」
「やっぱり・・・」
やっぱり俺は異世界転生したらしい。
さっきまで実感が無かったが、そう言われて実感が湧いてきた。
「バハムートさん」
「どうした?」
「何故僕は転生できたのでしょうか?それとも死んで転生することは普通なんですか?」
「我もこれから話そうと思っていたところだ。まず死んだら普通ならその魂が生まれた世界でまた別の物になって生を授かるものだ。
だが、お主は死ぬ直前、犬を助けようとしていただろう?」
「は、はい?」
確かに助けようとしたが・・・そういえばあの犬助かったのかな・・・
「実は、その犬は我のペットでな」
・・・はい?
確かに野良犬にしてはきれいな犬だとは思っていたのだ。
美しい白い毛並みの犬だった。
まさか異世界のドラゴンのペットとは・・・
ドラゴンも犬飼うんだな。
「目を離したすきにどこかへ消えてしまってな・・・この世界にいるならすぐ見つかるはずなのに中々見つからないと思ったら・・・まさか世界渡りを発動していたとは・・・」
逃げられてんじゃねえか。
それにしても世界渡りか、そんなスキル? のようなものか? もあるんだな
「我のペットが世界渡りを使って危険を脱しようとしたところへお主が世界渡りによって生じた次元の裂け目へ飛び込んでしまった・・・
そのため、お主は次元ごと引き裂かれ、死亡してしまった・・・」
「え?ちょっと待ってください」
「どうした?」
「僕は車に轢かれたんじゃ・・・」
「いや、今言った通り、次元ごと引き裂かれて死亡した・・・」
なにそれ怖!
「それでだ、自分のせいで死んでしまったお主に恩を感じていた我のペットがお前を助けるため魂を融合させ、転生したあとお主は世界渡りによってこの世界に飛ばされた。
そのような姿になっているのは融合した我のペットの魂の影響だな」
「なるほど・・・」
レイはそっと胸に手を当てる。
融合した魂を感じることはできないけど・・・
でも、かすかに思うものはある気がする。
「それでだ」
「?」
「お主の世界で転生といえばチート能力だろう?」
「まさか・・・」
「恐らくそのまさかだ。
お前にも能力をやろう。」
バハムートさんまじ神!
いや実際「神竜」って名乗ってたし神の事情知ってるし神かそれに近しい人物なのだろう。
ドラゴンだけど。
「だがもちろんいくつか制限がつくがな。
主な制限は与えられる能力は1つだ
さあ、何にする?」
「1つか・・・」
実は友達と話したことがある。
能力を貰えるとしたらどんなものにするか?
故にレイの答えは・・・
まだ兵器要素はでてきません。
次の話からタイトル詐欺回避できる・・・はずです