第11話 友達
そうして、夕ご飯を済ませたレイはメリアの部屋にいた。
「もう半日経つのに、まだ目覚めない・・・」
その部屋のベッドには小さく寝息をたてながら眠る少女がいた。
「ここにいたのか」
「あ、クーゲルさん・・・」
ドアの開く音と共に少女の父、クーゲル=ミエーラが現れた。
「君は自分の部屋で休まないのかい?」
「いえ・・・何故か、落ち着けなくて・・・」
「そうか・・・でも、大丈夫だよ。
メリアは魔力量が多いから、魔力切れになってから回復するのに普通の人よりも時間がかかるんだ」
「そうなんですか・・・」
おそらく、誘拐されたあとに抵抗するために様々な魔法を撃ったのだろう・・・
すると、クーゲルさんはベッドの脇にあった水晶を持ってきたものと取り替えた。
「それは?」
「あぁ、魔力石だよ。
魔力の回復を補助してくれる。
そろそろ効果が切れる頃だからね、別のものと交換する必要があるんだよ」
そういうものもあるのか。
「じゃあ、僕は自分の部屋に戻って休むことにするよ。
君も、あんまり夜ふかししないようにね」
「はい、ありがとうございます」
「それじゃあ」
そう言い残してクーゲルさんは部屋をあとにした。
「俺もそろそろ戻ろうかな・・・」
そうしてドアに手をかけるとメリアがうなされるような声をあげる。
(誘拐の時を思い出しているのかな・・・)
少しでも安心できるように、メリアの手を握ってあげる。
するとメリアは落ち着いた寝息をまたたて始める。
すると、レイのまぶたが重くなる・・・
握った手から何かが吸われるような感覚を感じながら、レイは静かに眠りへ落ちていった・・・
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「ん・・・」
私は日の光を感じて目を開けた。
「そうだ!誘拐犯!」
そこで気づいた、いつもの自分の部屋だ。
「えっと・・・確か・・・」
なんとなくだけど、覚えてる。
私を助けてくれたのはレイちゃんだ。
意識が朦朧とする中、私を何度も呼んでくれていた記憶がある。
すると、左手のかすかな重みに気づいた。
そこには私を助けてくれた少女、レイが手を握りながらスヤスヤと眠っていた。
私は静かに微笑んだ。
そして少女を起こさないようにこっそりと、
「ありがとう」
時計を見るとまだ朝ごはんまでは時間がある。
私はもう少しの間、少女の寝顔を眺めておくことにした・・・
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「ん・・・あ!」
「おはようございます、レイちゃん」
「お、おはよう・・・よかった、目が覚めたんだね」
「私を助けてくれてありがとうございます」
「よかった・・・本当に・・・」
そんな話をしていると、ドアをノックする音が聞こえてきた。
「どうぞ」
「失礼します。
おや?お嬢様、お目覚めになられたようで私も嬉しく思います」
「それで、私はどれくらいの間眠っていましたか?」
「昨日からです、お嬢様」
「いつもよりはやい?」
「そうでございますね・・・」
「え?いつも?」
「あぁ・・・
私は魔法の練習の時にたまに魔力を込めすぎてそのまま魔力切れで倒れちゃうのよ。
そういうときは最低でも2日は眠るんだけど・・・」
「そうなんだ・・・」
「お嬢様もお目覚めになられたのであれば朝食を用意しましょう。
今ヒューズに伝えて来ます」
「わかった」
「失礼します」
そうしてトマスさんは部屋をあとにした。
「それで、どうやってあの誘拐犯たちを倒したのか教えてくれませんか?」
「いいですよ」
「あと、そろそろ敬語を使うのやめませんか?」
「え!?伯爵家のお嬢様にそんなことしたら・・・」
「本人がいいって言ってるんだからいいんです!
それに私達はもう立派な友達なんだし」
「え、えぇ!?」
「ほら、レイ。
まずは名前呼びから!」
「メ、メリア・・・」
「はい、よくできました。
それで、どうやって助けてくれたの?
やっぱり、レイの不思議な武器で?」
「そうだよ」
そして、誘拐犯を捕まえた話をしていると、朝食の用意ができたことをトマスさんが伝えに来てくれ、朝食を食べるため2人は部屋をあとにした・・・
0話と1話が少し修正されています。




