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イリナ試験を受ける

箱にはシンプルだが装飾を施されていた。その装飾が、すり減り丸みを帯びていることから長く人の手を渡ってきたことがわかる。

イリナはその箱を受けとり蓋を開けようとするが、びくりともしない。


「お父様、これは」


困惑したの声で問いかけるたイリナに、アルマンは告げる。


「君が女王になると言ったら渡してほしいと前王から預かっていたものだよ。これでも一応国宝だから大切に扱ってほしい」


じゃないと、うちの家なくなっちゃうからね。とおどけた様子のアルマンに顔がひきつる。


「その箱の中には、開ける人物の『希望』が入っているらしい」

「『希望』ですか?」

「そう。そして、その箱は王にしか開けられない。言ってしまえば王になるための試験みたいなものかな?」


王になるための試験というのなら簡単に開かないのにも納得がいく。


(それなら、なにか他の方法があるはずよ。普通ではない方法が………)


イリナは箱をくまなく観察するが、ボタンなどの仕掛けも見当たらなかった。そんなイリナの様子をアルマンは頬杖をついて眺めている。


「あぁ、そうそう。その箱を1ヶ月いないに開けれなければ大人しく諦めてもらうからね」

「それは、もしかして()()2()()()結婚式までにということですか?」

「本来は君と殿下の結婚式の予定だったけどねぇ」


アルマンの言葉の裏には王妃の「無理やりにでも結婚させるぞー」という意思を感じた。


(そんなのごめんだわ!)


「………わかりました。必ず、必ず!この箱を開けてみせますわ!」


力強く宣言したイリナは、そまま箱を持って勢い良く部屋を出ていく。それを見送った書斎に先程の執事が戻ってきた。


「旦那様、便箋をご用意いたしました」

「ありがとう。もう下がっていいぞビル」


再び執事を下がらせると、アルマンは手紙を書き伝書鳩にそれを持たせる。

そして、窓から王宮へ向かう鳩を見送るとそっと窓を閉めたのだった。






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






自室に戻ったイリナをナタリアが出迎えた。


「おかえりなさいませ、お嬢様。お茶をご用意しておりますが、先にお着替えなさいますか?」

「そうね。せっかくだし先にお茶をいただくわ」


そう言ってイリナは、ソファに腰かけるとナタリアがお茶をいれてくれる。

いつもより、少しミルク多めで淹れてくれたミルクティーは疲れた気持ちを解してくれた。


(今日は、色々事件が起きすぎよ)


ようやくほっと一息つけたところで、今度は蜂蜜を入れてみる。そうすると優しい甘さが体中に染み渡り何とも言えない心地よさが広がる。

さて、イリナは紅茶から目を話ちらりと横目でナタリアをみる。そこには好奇心で目を輝かせ、わくわくが抑えられない顔でこちらをみている自身の侍女がいた。

イリナは、横長のソファにスペースを作りパタパタとソファを叩いた。


()()()()()()()()、今日あったこと聞いてくれる??」

「もちろんです!お嬢様!!」


これが、合図だった。ナタリアは、待っていました!と言わんばかりにソファに座る。

ここからは、女子会の時間である。


こうして、イリナの長い夜は終わってくのだった。

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