1話 ハローワールド
ハローワールド。新たな命が世界に産まれました。祝福してください。皆さま、もっと祝福してください。
どうやら、祝福してくれるのは二人だけのようです。二人の男女です。片方は金髪で金眼です。まぁお美しい方です。もう片方は白髪で青眼です。ちょっとかっこいいですね。
誰ですか?この二人。なんて冗談です。わかってますよ。ありがとうございます。産んでくださって。
え?自分は誰かって?それは、ちょっとわからないですね。名前がまだわかんないっていうか、曖昧です。
「見て!リュウガ、レオニスが目を開けたわ!」
今わかりましたね。どうも皆さま、レオニスと申します。今はそうですね、産まれてから何日経ったのでしょう?
とりあえず、自分は可愛い、それはもう可愛い赤ちゃんです。
え?赤ちゃんなのになんでそんなに色々知ってるかって?なんでなんでしょう。
考えられることといえば、自分が天才ということですね。はっはっは。
冗談はさておき、本当に、一体なぜ自分には意思があるんでしょうか?赤ちゃんってみんなそう?そんなわけないですよね。
まぁ、そんな些細なことはどうでもいいでしょう。皆さま、もう一度言いますよ?祝福してくださーい!もっとですよ。もっともっと!足りなくないですか?え?なんで二人だけなの?おかしいでしょ!もっと祝福してくださいよ!
すみません。なんでもないです。聞かなかったことにしてください。っと、無駄なこと話してたら、金髪の女に抱き上げられました。
ご飯です?お?ご飯ですか?待ってましたよ。ありがとうございます。その恵みに最大級の感謝を。
おい待て、白髪の貴様、お前じゃ無理だろ。お前じゃ自分にご飯渡せないでしょう?さっさと下ろしてくださいよ!
「ちょ、なに泣かしてるのよ。リュウガって子供の扱い下手そうよね」
「いや待て、俺はなにもしていないぞ?ただ抱っこしただけだぞ?」
「抱っこが下手だったんでしょ?交代しましょう?」
そうだよ、そういうことだよ。気づいてくれて何よりです。自分お腹ぺこぺこのぺ◯リーヌ状態ですから。さぁ、ご飯!
ん?あれ?くれない感じです?ちょっと?すいませーん。ご飯くれないんです?
あぁそうですか。そう来ますか。それならこっちにも考えってもんがありますよ。いやごめんなさい嘘です。そんなものないです。
もう。ご飯欲しいんですけどー?ぷりーずぷりーず、こっちおいで。あげてこへいでぃーじぇーぱーりない。
なんです?今のなんです?ぷりーずのあと自分なにも言ってないですよ?
はぁ。辛いです。空腹とは嫌なものです。成長できませんよ。
「シャルナだってダメじゃんかよ。あれあれ?どうしましたぁ?」
「あぁ!そんなこと言っちゃうんだ。リュウガのばーか!」
「バカって言ったほうがバカなんですー!」
うっさいわぼけ!何がバカって言ったほうがバカじゃ。頭悪いかよ。
「ちょ、待って待って。やばい、レオニスが、やばい」
「っ!?待って待って待って、ちょっと待って、なんでレオニスが泣いてるのか考えましょう?」
「お、おう。あれじゃないか?お腹すいたとか?」
「あぁなるほど。たまにはやるじゃない」
お?やるじゃないか。えーっと確かリュウガだっけか?よくやったぞ。楽園はすぐそこだ。
えー、どうも皆さま。ここはシャルナ?の胸の中でございます。なぜここにいるのかというと、なんと、なんとですよ?食事でございます。はい拍手。ぱちぱちぱちぱち
んー、美味である。実に美味である。ごめんなさい嘘ですー。普通ですー。特にこれと言って特質すべき点もございません。
でも幸せならおっけーです。ぐっとサムズアップ。
なに!?手が、手が、動かぬ!!ちくしょーっ!!ちくしょーっ!!サムズアップがぁああ!!できぬ!!
すいません取り乱しました。別にそこまでサムズアップしたいわけじゃないんです。申し訳ございません。
「え?レオニスまた泣いてない?」
「えぇ?どうしてどうして?っていうか、リュウガなに見てるのよ?」
「今更それ気にします?シャルナさんったら乙女ですね」
「うるさい!へんたい!」
「おい。そこまで言うことないだろ」
あー、やばいやばい。これはまずいですよ。サムズアップできない悲しみから湧き出る尿意。なんと言うことだ。
これは、あれですね。垂れ流しですね。お嫁にいけなくなってしまうのですけど?助けて!シャルナさーん!!
「おしっこ?なんかそんな気がするわ」
「なるほどな。穿くもん穿いてるし別にいいだろ」
「そうね。ふぅ。一安心」
もうだめぇ。限界ぃ。あっ!ああぁぁ……っ!!
えー皆さま。今のはなかったことにしてください。なにも見なかった。いいですね?
ん?待てよ?もしかしなくても、全て吸収されている!?
ふはははは。どうも皆さま。誇りを守り抜きました。お嫁にいけそうです。
「リュウガ、代えのやつ持ってきて」
「ん。りょーかい」
きゃー、やめてぇ。シャルナさんやめてぇ。剥かないでぇ。今度こそお嫁にいけなくなっちゃう。
えー度々すいません。皆さま、自分は全裸でございます。産まれたままの姿です。すごく恥ずかしいのです。
くそー、許さんぞ、シャルナめ!!絶対やりかえしてやるんだからぁ!!
「ほいよ」
「ありがと」
こ、これが、剥かれて、そして穿かされる感覚。目覚めてしまいそう……
嘘です。すいませんでした。
待ってください。すんごい眠いですよ。急に眠いですよ。これはまずいです。
ちょっとほんとにまず……
「え?このタイミングで寝るの?」
「こいつ、すごいな……」
「どうせ、リュウガの遺伝子でしょ?はぁ。将来が不安だわ。私みたいに可愛い子見つけられるかしら?」
「自分で可愛いって、否定できないけど」
「ほんと、幸運よね。リュウガって」
「あぁ、神に感謝してるよ。シャルナと出会わせてくれてありがとうってな。あと、レオニスが無事産まれてきてくれてありがとうって」
「そうね。強く、育てていきましょう!」
あっという間に一年。
ハローワールド。ふぁーすとあにばーさりー。皆さま祝福してください!!もっと祝福してください!!
どうやら祝福してくれるのは二人だけのようです。ママとパパ。つまりはシャルナとリュウガです。
「「誕生日おめでとう!!」」
「ありがとう、ございます……」
「レオニスはすごいわね。まだ一歳なのに、歩けるし、言葉も話せるなんてね」
「あぁ本当にな。すごいぞ、レオニス」
そんな褒めても全くなんも出ませんよー。照れちゃいますね。大したことないじゃないですか。
「たいしたことじゃないです。ただ、からだのなかのちからをつかってるだけです」
「リュウガ、聞いた?」
「あぁ、しっかり聞いた」
「本当にすごいわ」
「あぁまったくだ」
「「神力の操作だなんて」」
え?神力の操作ってなんです?ただこうなんか体内にあるもやっとしたのを、こうぱっと使ってるだけなんですけど?
「ねぇ、リュウガ。もしかしてだけど」
「多分そうだな。レオニスは、神子だ」
「流石私の血!土の神子ね!」
シャルナが喜んでます。なんですか?神子ってなんです?
「かみこってなんですか?」
「レオニス、神子っていうのはね、すごい力を持った子なのよ!」
え?自分すごい力持ってるんですか?初耳ですよ?
「あぁ、本当にレオニスはすごいな」
リュウガまで褒めてくれます。どういうこと?まさか、自分超レオニスとかになれるんですか?でも髪もともと金髪だし。
「難しい話はもうちょっとおっきくなってからしましょう?レオニス、とりあえずいっぱい食べていいわよ」
「は、はい」
お言葉に甘えさせていただきます。んー。美味じゃー。美味じゃー。こんなに美味しいのはじめてなんだけど。
至高の逸品でした。ありがとうございますシャルナ様。
「ごちそうさまでした」
「レオニス、土をこう出してみたいって願いながら力込めてみてくれない?」
「こう、ですか?」
びっくりです。どこからともなく土が出てきました。これはきっとすごいことです。超レオニスです。
「やっぱり!レオニス、あなたは私たちの誇りよ」
急にシャルナさんに抱きつかれました。少し苦しいです。でも幸せですね。安心できます。
いっぱい食べたら眠くなってきました。このまま幸福感に包まれて寝ることにしましょう。おやすみなさい。
そういえば、自己紹介がまだでしたね。自分はレオニス・アルラトス。父、リュウガ・アルラトスと、母、シャルナ・アルラトスの間に産まれた男の子です。
金髪で、青眼です。かっこいい子とでも覚えていてください。
一体なんなのかはわかりませんが、土の神子というものらしいです。多分ですが、怒ったりすると超レオニスになれます。
だいたいそんな感じです。
それでは皆さままたどこかでお会いしましょう?
そして二年後、レオニスは世界を知った。
ふざけすぎました。まともに書きます