16話 告白
めっちゃ短いです。前回と繋げろよってくらい短いです。
物語は進んでしまうから、もう後には戻れない。
誰も望んでいないその先へと歩みを進め、振り返る。
もうすでに、歩んできた道は闇の中。
ずっと一緒にいられたら……
「それは……」
「アリア、俺はアリアのことが好き。初めて会ったあの日から、ずっと好きだった。もう何度も言ってきたことだけど、俺はアリアのことが大好き。だから、俺と一緒に生きてほしい!」
アリアの顔が急速的に赤くなっていく。いつまでも慣れることのない好意をぶつけられるという行為。そんなところが好き。
「そうだよね。わたしはもう十分に時間をもらったんだよね……」
アリアが覚悟を決めたようにこっちを見てくる。頬は未だ赤いまま。
ちゃんと答えてくれるみたいです。まだ約束の5年がたったわけでもないのに。そんなところが好き。
「レオ、前にお母さんが言ったこと覚えてる?世界を見てきてって」
頷いて見せるが、一体なんの関係があるんでしょうか?
「わたしの知ってる世界はここだけ。わたしの世界にはここにいる人しかいないの」
アリアが少しだけ顔を俯きかけるが、頭を振って戻ってくる。
その目には先程はなかった感情が見てとれる。それは悲哀?
「お母さんが言ったことはどうでもいいの。でもわたしは世界が見てみたい。どれだけ狭くてもいいから、わたしは世界を見てみたいの。だから、だからね……」
アリアの表情を直視することが不可能になる程に眩しい、この世界の光を全て詰め込んだかのような笑顔がそこに咲いた。
しかし、目を逸らすわけにはいかない。じっとアリアの方を見る。
少しだけ緊張感を感じさせるようにそっと口を開き、そこから漏れ出た言葉は、
「世界の半分をわたしにくれたら、あなたのものになってあげる!」
少なくとも一人の男の子の人生を変える一言だった。
「わかった。世界の半分をあげればいいんだよね」
アリアが笑顔で頷くのを確認して、表面にはおくびにも出さないが心の中でグッドポーズ。
世界の半分を取ってくるだけでアリアと一緒に生きていけるなら安いもんですね。
「今すぐの方がいい?」
「……うん」
少しだけアリアの顔の赤さが増した気がするけど、善は急げですね。
世界の半分を取るにはどうすればいいか?そんなときは先生に聞けばいいんです。
「じゃあ、先生に聞いてくるね」
「え?聞くってなにを……」
アリアの言葉を最後まで聞かずにその場から飛び立つ。
惚けるアリアの後ろにそびえる大樹はいつもより激しく揺れていた。
舞い散った二枚の葉っぱは別々の方向に飛んでいき、ついぞ出会うことはなかった。
全速力で飛行し、あっという間に自宅へと帰宅。
驚きの声を上げたシャルナ先生に対して、前置きもなしに質問をぶつける。
「世界の半分ってどうやったら手に入りますか?」
「え?急にどうしたの?」
「早急に世界の半分を取りに行かなきゃならなくなったので」
アリアの願いですからね。
というのは、言わないでおきます。先生に茶化されるのは精神ダメージ大きいですし。
「よくわかんないけど、世界が欲しいんなら魔王様にでも頼んでみれば?」
「なるほど」
さすが先生です。魔王様だなんてすごい発想です。
以前一回名前を聞きましたが、よくよく考えたらすごい昔に情報で頭パンクしたときに魔王の情報もあった気がします。さっぱり覚えてませんが。
唯一わかるのは、世界の中心にいるということ。
「世界の中心ってどこなんですか?」
「この世界が4つに分かれてるのは知ってるわよね。北西がアカーシャ。北東がミドラ。南東がイエレン。南西がオルバス。その中心だから、右手側にミドラ、左手側にイエレンのところをまっすぐ行ったらあると思うわ。確証はないけどね」
やっぱり先生に聞くのが一番ですね。なんでも教えてくれるんです。最高の先生です。
「じゃあ行ってきます」
「え?本当に行くの?」
「はい」
「……そう。じゃあ気をつけてね」
先生が一瞬複雑そうな顔になりましたが、すぐに笑顔に戻り、送り出してくれました。
「行ってきます」
「えぇ。なるべく早く帰ってくるのよ」
長い旅になりそうですが、リュウガやリリアさんにも挨拶しておくべきかもですね。
いやでも、やっぱり早く終わらせてアリアと一緒に生きたいのでそっち優先です。
心の中で行ってきますしておきます。
勢いでここまで来てしまいましたが、よくよく考えたら、アリアと長い間会えないんですよね。泣きそう。
でも、アリアの望みを叶えるためだから。
何もかも全て、アリアのためだから。言い方を変えれば、全て自分のためだから。
アリアが幸せならそれでいい。そこに俺がいるならもうなにも言うことはない。
待っててね。今世界取ってくるから。
飛び立っていったレオニスの背中を見て、シャルナは深く後悔した。
なぜ止めなかったのだ。と。
離れていく息子の姿を見ながら、シャルナはただ、己の犯した過ちを悔いることしかできなかった。
ごめんねレオニス。そして、ごめんねアリアちゃん。
無力な母はただ、息子の無事を祈ることしかできなかった。
一粒の涙が零れ落ちた……
とりあえず一章は終わりました。ここまで読んだ人はいらっしゃいますか?あ、いない。すいませんでした。




