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14話 本当は全部わかってる

予定では10話くらいで2章いってるはずなんだけど、無駄なこと書きすぎたげんぱく

 あなたに届かないから、まだ認められない。

 あなたに追いつきたいから、まだ認めるわけにはいかない。

 あなたのことが好きだから、まだ……


 どうしてこうなったの!?

 わたしことアリア・ララモーラは現在困惑中。

 ここはわたしの家の中のわたしの部屋。わたしの部屋なのに、なんでレオがいるの!?

 それになんでわたしのベッドの中にいるの!?

 つまりは同じベッドで寝てるっていうことなんだけど、レオと同じベッドで……恥ずかしすぎ……

 早く脱出しないと、恥ずかしくて死んじゃうよ。

 え?動かない!体が動かない!ど、どういうことなの!?

 レオは隣で呑気に寝てるし、寝顔かわいいな……じゃなくって。どうしよう、これじゃずっとこのままレオと一緒。

 それでもいいかも……ってどうしちゃったのわたし!それじゃダメだよ。

 すぐ近くにレオの顔があるし、ちょっと近づくだけでキスできちゃいそう……

 本当にわたしってばなに考えてるの!?き、キスなんて恥ずかしすぎるよぉ。

 でもレオの唇がすぐそこにあって、少し近づけば触れてしまいそうな距離で、身体が熱くなってきたような気がする。

 してみたい……前したときは事故だったから、レオの熱さを堪能することはできなかったけど、今ならゆっくりレオを堪能できるはず。

 体もベッドの中なら自由に動くみたいだから、そっと顔を近づけて、わたしの唇をレオの唇に……待って待って待って、落ち着いてわたし。深呼吸は大事だよ。すーはー。

 無意識?無意識のうちにレオとキスしようとしてたの?無意識ってことはそれってつまり……!!

 違うの!えーと、きっとあの、誰かに操られるんだと思うの!!わたしはレオとき、キスしたいだなんてこれっぽっち……しか思ってないから……

 レオ。レオニス・アルラトスはわたしのことがす、好き。友人としてではなく一人の女の子として。

 初めて見たときにわたしのことが好きになったんだって。わたしにはよくわかんないけど。

 同年代の男の子から好きだなんて初めて言われて、すごく嬉しかったし、恥ずかしかったの。

 わたしもレオのことは好き。でもそれはきっと友人として。だからレオの好きとはちょっと違う。

 そのはずなのに、どうして……?

 目の前にレオがいるだけで胸は高鳴って鼓動が早くなる。身体も心なしか熱い気がするし。

 これじゃあまるでわたしがレオのことを……

 考えちゃダメ。好きだけどそうじゃないの。一人の男の子としてじゃなくて、お友達として大好きなだけだから。

 レオはわたしとキスしたいのかな?わたしがしてあげたら喜ぶのかな?誰にも見られてないなら、ちょっとくらいしても大丈夫だよね。レオにはたくさんのことをしてもらったし、お礼としてなにかあげなきゃだもんね。

 わたしの中のわたしはどうしてそんなにキスしようとしてるの!?本当にレオのことが好きな人みたいじゃん!!

 わたしとレオはまだ友達だからね。別にそういう関係じゃないから!!

 と、とにかく落ち着かないと。キスはダメだよ。したくないって言ったら嘘になるけど。恥ずかしいからダメだよ。

 でも、キスがダメでも抱きしめるくらいはいいよね?誰も見てないし。今は二人きりだし。

 レオに対してのお礼として抱きしめてあげるっていうだけだよ?別にわたしが抱きしめたいんじゃないからね?

 断じて違うから。勘違いしないでね。これはお礼だから。そうお礼。

 レオの背中に腕を回して、力を込める。

 ガッチリしててちょっと堅いけど安心感があって、なによりもすごくあったかい。

 レオ、大好き……

 と、友達としてだよ?それ以外の感情なんて一切入ってないからね?友達として大好きってだけだから。

 しばらくレオの熱を感じていたい。

 ドキドキしてるのがわたしなのかレオなのかわからないけど、すごくうるさい。もしわたしのだったらレオにも聞こえちゃいそう。

 ……?……!?

 待って待ってちょっと待って、なんでわたしレオのこと抱きしめてるの?

 そんな恥ずかしいことわたしができるわけないのに……なんで?どうして?

 おかしい。今日のわたしは絶対におかしいよ。さっきからずっと胸がドキドキしてるし。

 とにかく、早くレオから離れないと熱くて頭が溶けちゃいそう。

 でも、もうちょっとだけこのままでもいいよね……

 ダメダメダメダメ。ここで油断したら思う壺だよ。今の敵はわたし自身。誘惑には負けないんだから!

 レオの温もりを惜しみつつも体を離……せない!?なんで!?さっきまでは動いてたのに!!

 このままずっと抱きしめ続けてたらさすがに熱すぎて意識が飛んじゃう。

 そもそもなんでこんなに熱いの?レオの神力?でも心地いい。

 そうじゃなくて、とりあえずレオから離れないと。作戦を練ろう。

 レオを起こしてみる?却下。わたしが寝てる最中に抱きついていたっていう事実を知られるのはさすがに恥ずかしすぎるよ。

 レオだったら抱きしめ返してきそうだし。ダメ!鎮まってわたしの中のわたし!!抱きしめられたいなんてそんなの思ってないから!!

 別の方法を考えないと……レオのことは考えちゃダメ。今のわたしじゃ絶対ダメな方に行く気がするから。

 なんで動けないのかを考えるべきだと思うの。わたしがレオから離れたくないとかそんなわけないからね。多分。

 わたしがレオを好きすぎてこんな風になってるわけじゃないとして、というかそんなわけないから!!あと考えられるのは、お母さん?

 適当に言ってみただけだけど、そんな気しかしなくなってきた。

 だとしたら、わたしが動けないのは風のせい?うん。そうだよ。きっとそう。わたしがレオから離れたくないわけじゃないからね。

 お母さんの風だったとしたら、私の風で吹き飛ばせるはず。

 わたしの周りだけに風を具現させなきゃだけど、レオには傷つけちゃダメだから、離れたいけど離れられないし、威力を下げたらお母さんの風は吹き飛ばせなくなるし……

 今はレオを抱きしめてる状態だから、神法を使おうにも使えないし、どうしよう。さっきからずっと熱いし。

 抱きしめちゃったときからそうだけど、この熱さはおかしい気がする。わたしがドキドキしてるから熱いのかとも思ったけど、さすがに熱すぎるよ。

 この熱ってどこかで感じたことあるような……えっと、確か……!?

 思い出しちゃダメだよ!絶対ダメ!さっきのは身体が勝手に動いちゃっただけだから!

 ……そっちの方がダメだよ。勝手にってことは、レオも言ってたけどそういうことになっちゃうじゃん!

 もう考えないようにしよう。この熱さは神力の熱なのは間違いないけど、なんでこんなに溢れてるんだろ?

 さすがに熱すぎるから吸収するべきかな?こんなに熱かったら苦しいだろうし。

 手足からというより、胴体から吸収っていう感じになるから、できるかどうか不安だけどやってみよう。

 胸に意識を集中させて、レオの熱を吸収。

 んっ……レオの、熱いのが入ってくる……

 熱いのはなくなったけどわたしの中がすごく熱い。呼吸も荒くなっちゃってるし、これはまずいかも。

 なんか、レオの顔見れない。すごくドキドキする。それに身体ももっと熱くなるし、どうなっちゃったの?

 どんどんレオのことが愛おしく感じてくる。好きだよ、レオ。

 本当にまずいかも。好きって気持ちが溢れてくる。その気持ちに嘘はないけど、いつもと違う。こんなに胸が熱くなったの初めてだもん。

 早く離れないと。大丈夫だから。わたしならできるよ。レオを傷つけずに周りの風を吹き飛ばすだけだから。

 目を閉じて、レオの温もりを感じながら描いてみる。

 描くのは具現する風じゃなくて、五体満足で離れて立っているわたしたちの姿。

 離れたいって想いだとできないのはわかってる。だってわたしが離れたいって想ってないんだもん。わたしは離れたいんだけど、わたしの中のわたしが離れたいって絶対想ってないから。

 神法は想いの力。なら、わたしが想うのは、お母さんへの対抗心。

 お母さんの思う通りにはさせないんだから!レオとずっといさせようなんてそんなの別に嬉しくないんだから!!……嘘だけど。

 とにかく、神力を集中させて……って、え?

 わたしの神力がレオの方にも行ってる……どういうこと?どんどんレオも熱くなってくし。それにしても、全然レオ起きないじゃん……

 レオの神力を吸収したから、その神力がレオの方に戻ってるのかな?

 でも、今使おうとした神力が戻っちゃった。これで神法が使えるとは思えないけど。

 それに、レオが危なそうだしやめておいた方がいいのかな?

 あ、あれ?勝手に神力使われてくような……もしかしてもう神法始まっちゃってる?

 神力もレオの方に行っちゃったから中断することもできないし、レオになにかあったらどうしよう。

 わたしの力でレオを傷つけるとか、そんなの許せないよ。レオだって、レオの力でわたしを傷つけたら泣きながら謝ってきそうだし。レオと好きの意味は違くたって、好きなのは変わらないんだから、す、好きな人を傷つけるとか絶対いや。

 もうどうしようもないから、わたしにできるのは祈ることだけ。レオに傷一つつきませんように……

 そっと目を開けて、レオの元から離れてみる。できた!!

 レオは傷一つついてないし、完璧だね!

 結局どんな神法になったのかな。描いたのが未来の光景だったから神法自体は未知なんだよね。

 わたしの身を守るみたいに内側から外側に少しだけ風が吹いてる。範囲は小さいけど、吹いてる風量が尋常じゃない。

 え?なにこれ?わたしの周りを完全に覆ってるしこれじゃ絶対レオにも当たったと思うけど……

 レオは安らかに寝息を立ててる。本当に無傷だ。どうしてなんだろう。

 レオの周りにも、風?わたしの神法でレオにも同じ風をはったの?でもわたしから送った風なら横向きの風になるから内側から外側の縦の風なんておかしいし。

 レオ自身で発動してるわけないもんね。まだ寝てるし。

 だとしたら、さっきレオの方に行った神力?それしかないよね。わたしの願いを持った神力がレオの方に行って神法を発動した。みたいな感じなのかな?

 どちらにせよ、うまくいってよかったね。

 さてと、わたしはお母さんを探さないと。どうせ近くで見てるんでしょ?さすがに今日のはやりすぎだからガツンと言ってやるの。

 ……その前に、レオを部屋から出すべきな気がする。

 そういえば、なんでレオはわたしのベッドの中にいたの?

 わたしと一緒に寝たくて夜の間に忍び込んだとか?レオには入っちゃダメって言ってたからそんなわけないと思うけど。だとしたらまたお母さん?まだわかんないからなんとも言えないけど。

 レオと一緒に寝てたってよくよく考えたら恥ずかしすぎだよ。

 寝てる間になんかされてるかもしれないし……べ、別にされたいわけじゃないんだって!!

 わたしのレオへの想いはまだそんなんじゃないから!!……まだ。

 と、とにかく、レオを起こそう。

 神法を解いて、レオの肩を揺さぶる。


「レオー、朝だよー、起き……」


 ちょっと待って、嘘でしょ?本当言ってる?

 ……レオってシャルナさんの子なんだって今はっきりわかった。意地悪。


「いつから、いつから起きてたの!?」

「抱きしめられたときに目が覚めました。そのあとにすぐに意識失いました」

「わたしレオのこと抱きしめてないから、それは夢だよ。多分」


 大丈夫。レオならこれで信じてくれるはずだから。最悪の事態にはなってないと思う。


「え?あ、夢?じゃあやっと夢でもアリアに会えたってことか。すごい嬉しい」


 わたしはレオのこういうところが嫌い。わたしに対しての好意を一切隠さないで、ずっとわたしを好きでいてくれるそんなところが嫌い。だから……大好き。

 違うよ。好きだけど好きじゃないから。そういう好きじゃないってさっきも言ったからね?勘違いしちゃダメだよ。

 とりあえず、レオを信じてくれたみたいだし、早くベッドから出てもらわないと。これはわたしのベッドなんだから。


「……レオ、はやくわたしのベッドから降りて」

「……え?なに言って……!?」


 レオの動きが一瞬見えなくなるほどに速くなった気がしたけど気のせいだよね?

 あれ?もう立ってる。いくらなんでも速すぎる気がするけど、どうなってるの?


「ごめん!本当にそんなことする気は一切なかったって言うか、夜寝たときは自分の部屋だったんだけど、本当にごめん!」

「レオは謝らなくていいよ。悪いのは全部お母さんだから」

「え?リリアさん?」


 よくよく見たらレオの顔がものすごく赤くなってる。か、かわいい。嘘。別にそんなこと思ってないから。本当全然思ってない。

 あのレオが?いつもは全然恥ずかしがらないのに。なんで赤くなってるんだろう?わたしのベッドで寝る勇気はなかったのかな?

 でもレオ自身の意志でこっちにきたわけじゃないし、起きたら急にわたしのベッドだったら恥ずかしいよね。

 わたしがレオのベッドにいたら……考えちゃダメだよ。そんなの恥ずかしすぎだから。

 話を戻さないと。


「うん。わたしが起きたらレオが隣にいて……隣にいたの」

「……そ、そうなんだ。寝てる間になんかしなかった?」

「えぇ!?」


 まさか、バレてる!?でも意識失ってたんだよね?あぁでも抱きしめたときに起きちゃったから抱きしめられたのはわかってて、でもでもさっき夢って信じてたからそれは大丈夫だし……

 もしかしてわたしが寝てるレオに対してなんかするって思われてるってこと?

 レオがわたしのことをそんなふうに思ってるだなんて思えないけど、それしかないのも事実だし……


「もしかしておれ、アリアに対してなんかしちゃった?」

「あ、え?いや、なんもされなかったよ」


 そっちね。そりゃそうだよね。レオがわたしにそんなこと思うわけないもんね。わたしとレオの好きは違うからね。


「……ならいいんだけど。アリアは俺になんかした?ってそんなわけないか。ごめん今のは忘れて」

「ど、どうしてそう思うの?」


 やっぱり夢っていうのは無理があったのかも。でも、レオはわたしを信じきってくれてるし、ちょっと胸が痛いけど、バレるのは恥ずかしいから押し通すしかないの。


「身体の中がすごい熱かったから。自分の神力の熱をこんなに感じることなんて普段じゃありえないし、なんかあったのかな?って」


 別に神法のことを伝えたとしても、抱きしめたのがバレるわけじゃないし、言ったほうがいいのかもしれない。

 レオに黙っておくのはなんか嫌だし。


「それはね、わたしがさっき神法を使ったからなの」

「え?どうして?」

「お母さんがレオをわたしのベッドに運んだのはほぼほぼ間違いなくて、わたしが起きてびっくりしてベッドから出ようとしたときに体が動かなかったの。それで、お母さんの魔法だと思って、それを吹き飛ばすために神法を使ったの」

「俺の身体が熱かったのはなんでなの?」

「神法を使う前にね、なんかよくわかんないけど、レオの身体から神力が漏れてて熱かったから吸収してから使ったんだけど、レオから吸った神力がレオの方に戻っていって、レオの方でも神法が発動されてた」

「なるほど。俺から神力が漏れてたってことは、アリアが俺に触れてたってことだよね?なんで触れたの?」


 え!?どうして触れたって確信してるの?レオが熱くなったのってわたしが抱きしめたからなの?

 ……バレてる?


「ど、どどどうしてわたしがレオのこと触ったと思うの?」

「あくまで仮説なんだけど、アリアと触れてるときだけ俺自身の神力の熱さを感じるんだよね。よくはわかんないんだけどさ、繋がってる感覚って言うのかな。初めてあって、その、あれしたときからずっと」


 繋がってる……確かにわたしもそんな気がする。

 わたしたちはお互いの属性の神法を使えるし、神力をお互いに与えることもできる。

 そしてなによりも、わたしはレオの神力を感じることができる。

 わたしがお母さんに触れたとしても神力の熱を感じることはない。でもレオだけは感じることができる。

 わたしのも、レオのも。

 さっきはあれだったから!非常事態で冷静じゃなかったからわかんなかったんだよ!!

 お互いの神力が引き合ってる感覚がするの。だから触れば熱くなる。触れ合った場所から神力が漏れ出て、温度が上がっていく。

 こんなのレオ以外には起きないから、やっぱりレオは特別。繋がってるんだと思う。

 繋がってるって……なんか恥ずかしい……


「それはなんかわかるけど……」

「手、繋いでみる?」


 これで手を繋いで熱くなっちゃったらわたしが抱きしめたのがバレるかもそれない。だからここは丁重にお断りして……


「うん」


 うん?今の返事はわたし?また無意識下だったの?それじゃあわたしがレオと手を繋ぎたいって思ってるみたいじゃん!!

 思ってないから!手を繋ぎたいだなんてそんなのちょっとしか思ってないから!!

 レオから差し出された手を見てちょっとだけ鼓動が早くなった気がしたけど、気のせいだね。うん。気のせい気のせい。

 少しだけ躊躇いつつもしっかりとレオの手をにぎる。


「あったかい……」

「うん。これは間違いなく俺たちの神力だね。もう片っぽの手と比べればわかりやすいんだけど、やっぱりアリアと繋がってる場所だけ神力が漏れ出るみたい」


 もう言い逃れできなくなっちゃったじゃん!!どうしようどうしよう。

 でもあれだよね。触れただけで、抱きしめたっていうのがバレるわけじゃないから大丈夫だよね?多分。


「それで、アリアはなんで俺に触れたの?」

「そ、それは、目の前にレオがいたから……」


 墓穴ーっ!!わたしのバカーっ!!

 前もあった気がする……わたし言い訳下手なのかな……


「……!?えっと、どこに触れたの?」


 ここはソフトに手に触ったとでも言っておけば大丈夫。抱きしめたなんてバレないから。

 ダメダメ。きっとわたしはまた無駄なこと言っちゃうから、ここは何も言わずに視線だけで、示してみる。

 今もまだ繋がってる手の方を注視。今もまだ繋がってる……え!?

 そうだよ。わたしまだレオと手を繋いで……恥ずかしくなってきた……

 でも視線を外したら意図が伝わんないし、どうしよう。


「顔赤くなってるけど、本当に何したの?」

「え!?いや、それは今手を繋いでるからであって、触れたことに関しては関係ないっていうか?」


 レオが深呼吸してるけど、何かあったのかな?まぁいいや。

 とにかく、わたしじゃ視線で伝えるなんてできるわけないってことがわかったから、ここは覚悟を決めていうしかないっぽい。

 手に触れただけ。手に触れただけ。手に触れただけだから。


「えっとね、レオが寝てる間に少し手が震えてたから、にぎっただけだよ」

「そっか。だからあのとき……ありがとうアリア!」


 不意打ちの笑顔に少し胸が熱くなった気がしたけど、気のせい……じゃないかも。

 なんの感謝かは全くわからなかったけど、抱きしめたのはバレてないから大丈夫だよね?わたしうまくできたよね?

 うん。あとはお母さんに文句言いにいくだけだね。


「うん。じゃあお母さんに文句言いに行ってくるね。レオは、一緒に来る?」

「いやいいよ。俺は自分の部屋に戻っておくね」


 一緒に部屋を出て、外でレオとは別れた。

 ここからが本題だよ。お母さんが犯人かどうか確かめて、なんであんなことしたか聞き出さないと!

 わたしの家は二階建てで、二階にはわたしの部屋と、空き部屋が二つ。そのうちの一つが今はレオの部屋だね。

 一階にはお母さんの部屋と滅多に帰ってこないお父さんの部屋。それとリビングとトイレとお風呂がある。

 お母さんはいっつも自分の部屋で何かやってるから、とりあえずお母さんの部屋に行ってみた。

 案の定お母さんはなんかやっていた。いっつもなにやってるんだろう。まぁいいや。


「お母さん、説明して!」

「あら、バレちゃったのね〜。さすがアリアね〜」

「バレたもなにも、この家にはレオとわたしとお母さんしかいないじゃん!」

「確かにそうね〜。それで、なにを説明すればいいのかしら〜」

「なんであんなことしたの?」

「え?あんなことってなにかしら〜?」


 絶対わかってて言ってるじゃん。言うの恥ずかしいんだけど……


「そ、それは、レオをわたしのベッドの中に運んだり、離れないようにさせたりとか……」

「あはは。そうね〜。アリアが喜ぶと思ったからかしら?」


 喜んでなんか……ちょっとしかしてないんだから!

 でもお母さんにバレるのは嫌だから、全く喜んでないってことにしておかないと。嘘だけど。


「全然嬉しくなかった」

「ねぇアリア。なんでレオニスくんに抱きついたの?ねぇアリア。なんでなんで?」


 とてつもなく腹が立つ聞き方してくるよこの人。

 でも確かに一番ついて欲しくないところだから、それがわかってるからこんな聞き方なんだろうな。でもやっぱ嫌。


「それは、体が、勝手に……」


 あれ?わたし正直すぎない?待って待って、こんなの無意識でレオを抱きしめちゃうくらいレオが好きって言ってるようなものじゃん!


「そうなのね〜!やっぱりアリアはレオニスくんのことが無意識のうちに抱きしめたくなっちゃうくらい好きなのね〜!!」


 やっぱり。でも違うから!!それだけは違うから!!


「ち、ちが、わたしとレオの好きはまだ違うから!!」

「それはアリアが認めてないだけでしょ?」

「……」


 わかってるよ。本当はわかってる。わたしはレオのことが好き。それも、レオの好きとほとんど違わない好きってこともわかってる。

 わたしが認められてないってことくらいはっきりわかってる。でも、でも、やっぱりまだダメ。

 レオはわたしとずっと一緒にいたいって、一緒に生きていきたいって言ってくれた。

 だけど、わたしはそこまでじゃない。一緒に過ごすうちに、好きの意味がどんどん変わってきているけど、本当の意味でレオと同じになったわけじゃない。

 だからまだダメなの。まだ認められないの。


「わかってる。全部わかってるけど、それでも、まだダメ……」

「……そう。アリアがそれでいいならそれでいいけどね〜。いつまでもレオニスくんに甘えていちゃダメよ?」

「甘えてなんか……いや、そうだよね。わたしはレオの想いに甘えてるだけなんだよね」


 レオがずっと好きでいてくれてるから、絶対そうだってわかってるから、わたしは言ってしまえばいくらでも時間が残されてる。

 それこそ、考えられないけどレオ以外の人を好きになる可能性だって一応残されてる。

 これを甘えてると言わなかったらなんて言えばいいの?


「アリア、あなたは幸せものなのよ?レオニスくんみたいなかっこいい子にあんなにも好意をぶつけられてるんだから」


 本当にそう思う。心からそう思える。

 わたしは幸せ。レオがわたしのことを好きでいてくれてる。それだけで幸せ。


「うん。わかってるよ」


 まだ、レオに対して素直にはなれないから、待たせることになっちゃうけど。


「レオニスくんと会えてよかったわね〜」


 でもこんな素直じゃないわたしでも、一つだけ、これだけは言えるんだよ。


「うん!レオと会えて本当によかった!!」


「あぁそういえばお母さん、話逸らしたって忘れてないからね?身動き取れなくなったとき本当に熱くて危なかったし、神法で振り解こうにもレオも巻き込んじゃいそうで危なかったんだからね?」

「……あはは」

「あ、ちょっと、逃げるの早すぎ!!」


 いつかあなたに面と向かって好きって言えますように……

現在2020年8月3日

琴里誕生日おめでとう!!

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