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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
15歳編

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第七十六話 後継

女神の壺の修復もおえ、後継問題も解決したので村を発とうとしましたがもう一晩だけ泊まってほしいと頼まれ出立を伸ばしました。

扉を壊した代わりに直して封印を施すことを提案したら辞退されました



今夜はお祭りだそうです。村長は息子が跡を継ぐと言ったのが嬉しかったのでしょう。

私はお酒は飲めないのでお茶をいただいてます。


村長の息子はニコラスを気に入り、村の女性も交えて必死に口説いてます。

自分以外に修復できる人が欲しいのはわかりますけど。それなら村人を鍛えればいいのに。

楽したいんですよね。村のために手段を選ばない気持ちはわかります。

ニコラスが女性に囲まれてるのも新鮮です。やっぱり男性は女性に囲まれると嬉しいものなのでしょうか・・。

私にはよくわからない世界です。



「お嬢様、あれはいいんですか?」

「はい?」

「坊ちゃん、捕られますよ」

「本人の意思なら構いません。この村に残りたいと言われたら困りますが」

「困るんですか?」

「はい。イラ侯爵夫妻になんと説明すればいいか」

「あんなに怒ってたのは」

「無理矢理はいけません。でもニコラスがどうしても残りたいと言うならば私がイラ侯爵夫妻に謝罪します」



「巫女、それは本当?」


ディーンが変な顔をしています。村長の息子がニコラスから離れて私のところにくるとは思いませんでした。

私、あなたのこと嫌いだからできれば話したくありません。

リリアなら不快な顔をしますが、今は巫女なので我慢します。


「なんですか、突然・・・」

「本当にあいつがここに残りたいって言えば手放すの?」

「手放すもなにも彼は私のものではありません。」

「巫女もその気になれば残るの?」


言葉の意味がわかりません。


「ありえません。私には帰らなければいけない場所もやるべきこともあります。これでも忙しい身なのです。」

「帰るのか」

「はい。私は絶対に帰ります。」


この村に残る理由も残りたい理由もありません。

なんで残念そうな顔してますの。


「そうか。本当に俺でいいのかな」


本当に人を怒らせることが得意な人ですね。手元のお茶を一気に飲みました。


「お嬢様!?」


ディーンの止める声など気にしません。


「これ以上、嫌味を言うなら相手になりますよ」

「悪い。巫女より向いてるか」


またイラッとしました。でも否定はできません。だって悔しいけど私は壺の修復をうまくできませんでした。悔しいので意地悪を言おうと思います。


「私は村の次期跡取りが女性に見向きもされないことのほうが心配です。ちゃんと守り続けてください」

「俺はあの時、巫女以外の声を聞いたんだけど、巫女には聞こえた?」


私の意地悪無視ですか・・。真剣な顔で見られてるけど、なんて言いました?声・・?

「声ですか?」

「ああ。女の声が」

「それ以上聞きたくありません。さっさとニコラスの所に帰ってください。」


幽霊です。ディーンのお腹に抱きつきます。お腹なら剣をふる邪魔にはなりません。


「巫女?」

「嫌です。聞きたくありません。」


怖いです。女の人の声が聞こえるなんて。昔、私にしか見えない少女に会いました。・・最近はそんな話を聞きません。

でも1度あれば2度目があるかもしれません。


「お嬢様!?離してください。」

「ひどい」

「泣かないでください。こんなの見られたらまずいです。ほら、適任者あっちにいるから行ってください」


女の声・・。怖い。ディーンもひどい。


「ディーン、何をしている?」

「お嬢様、離してください。坊ちゃんのところに行ってください」

「声が聞こえた・・。」

「リリ、何があった?おい」

「巫女と壺の修復をしているときに女の声が聞こえた話をしたら、こうなった」

「リリア、それはきっと女神の声だから。さまよう女の声じゃない。新たな後継への女神からの祝福だよ。駄目だな。待てよ。手に持ってるのって、ディーン、なんで酒を呑ませた。俺達はこれで。行くよ」

「は?行くの?マジで」

「参加はしただろ。最後まで付き合う義理はない。リリに近づくな」

「巫女だけじゃなくお前もなの・。だから村一番の村娘にも目をくれずに」

「あの程度は美人とは言わない。」

「え?嘘だろ?まさか、こいつ」

「さぁな。村の存続のためにしっかりやれよ。」


眠くなってきました。声が遠い。


「リリア、寝ていいよ。疲れたんだろう」


頭におかれる手に甘えることにしました。


「いかない?」

「ああ。お休み」


魔力の使い過ぎでしょうか・・。もう駄目です。そのまま眠ることにしました。

起きると馬車の中にいました。本を読んでるニコラスに声をかけます。


「なんで・・」

「起きたか。昨日挨拶もすませたし引き留められたら面倒だから早朝に発った」

「ニコラス、いいんですか?」

「なにが?」

「あんなに残ってほしいと頼まれて」

「俺が残ってよかったの?」

「残りたいなら止めません。イラ侯爵夫妻の許しさえあればですが」


ニコラスに髪をぐしゃぐしゃにされてます。


「何しますの!?」

「素直じゃないな。俺はずっとリリアの傍にいるから安心しろ」

「な、別にそんなこと思ってません。髪をぐしゃぐしゃにしないでください」


なぜか嬉しそうな顔のニコラスに意味がわかりません。

いつかいなくなるんですよね・・。

私はこの居心地の良さを手放せるんでしょうか。

ニコラスの肩に頭を預けると、優しく頭を撫でられます。今だけは先のことは考えずにこの暖かさに身をゆだねてしまいましょう。

さすがに疲れましたわ。

オリビアは元気でしょうか・・。

止まない雨が降らなくて良かったです。一時的に豪雨が降ったそうですが、偶然ですよね。

私が壺を落としたせいではありませんよね。


帰りは何事もなく帰ることができました。

お母様が暖かく迎えてくれました。


私はお母様に話を聞いてぞっとしました。


水の女神の部屋では水の魔法以外を使ってはいけないことを私は知りませんでした。

聖属性魔法をたくさん使いました。

壺に治癒魔法をかけたことは秘密です。お母様、そんな目で見ないでくださいませ。

私は疲れを理由に自室に逃げました。

そういえばお母様から渡された本にも禁忌として記されてありました・・。

お母様、こんなにたくさんの本を渡されたら、全部は頭に入りません。修復の方法しか頭に入れてませんでした。

今回は絶対に私だけが悪いのではありません。

お母様には絶対に言えませんが…。

お母様は怒ると、とても怖いんです。

当分は大人しく過ごしましょう。わかってます。ちゃんと社交に行きます。

お母様に怪しまれないように過ごす方法を考えないといけません。


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