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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
15歳編

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第七十三話 浄化の泉

私は東の辺境の村を目指しています。予言の巫女姫の噂は有名みたいです。

私、昨日の方に詳しいお話を聞けば良かったです。

うっかりしていました。


宿を出ると、外には人が集まっています。


「巫女姫を批判するのはお前か」


着ているローブを脱ぎます。

ニコラスは巫女の護衛騎士の装束持ってたんですね。


「私は神の教えに従うだけです」

「神など何もしてくれない。神官達も」


それは私に言われても困ります。

笑顔を作ります。


「何を信じるかは自由です。皆様に神のご加護がありますように」


光の祝福をして馬車に乗り込みます。


「ニコラス、巫女姫はどうして好かれてるのかしら」

「予言が当たるからだろう。本当に予言か怪しいけどな」

「どうしてですか?」

「物は言いようだ。船の事故だって、仕込めるだろ?それに日時さえ指定しなければ外れたことにはならない。嵐だって情報を集めればある程度は予想できる。占いと同じで」

「ニコラスは神官なのに、予言や占い全く信じませんね」

「人は自分の信じたい物だけ信じるんだよ」

「信じたい物か・・」


信じたい物ってなんですか。

馬車が止まりました。

「リリア、結界張ってて。外に顔出すなよ」


ニコラスが馬車を降りていきました。

よくわかりませんが、結界を貼って本を読みましょう。お母様、こんなに本を持たされても読み切りません。

しばらくすると帰ってきました。


「もう解除していいよ」


結界を解除します。


「なにかあったんですか?」

「なんでもない。リリア、この本読んでおけよ。俺は読み終わった」


ニコラスから渡された本は魔導書でした。

初めて目にします。これは、おお!!修復の方法がのってます。

ただ水の女神の壺は水属性の魔力を使わないと修復できないのですか。私、水属性魔法そんなに得意じゃないんですが、できますかね。


「リリア、難しいなら俺が引き受けるよ」


ニコラスは水や風の魔法が得意です。私よりも使える魔法が多いんです。


「どうにもならなければお願いします」


馬車が止まりました。今日はここまででしょうか。

宿の手続きはディーンがすませてくれています。せっかくなので街の散策に行きましょう。


宿で食べる果物をいくつか買いました。


人が集まっています。

ローブ姿。もしかして


「神の怒りが舞い降ります。神は聡明な第二王子が国をおさめると申されています。神の声を聞かない」


演説してます。


「ニコラス、あれですかね?」

「かもな。」


神の声を語るなど許されません。


「あの人に雨を降らせていいですか?」

「目立つから駄目だ。離れるよ」

「私はお話してみたいです」

「駄目だ。雨は駄目だけど、これならどうだ?」


巫女姫を砂嵐が襲いました。

フードが脱げて、あの人、間違いありません。あの少女です!!

砂まみれですわ。

これでは演説はできません。

ニコラスに腕を引かれて、宿に帰りました。


「やはり人気があるんですね」


部屋着に着替えて街で買った果物にかじりつきます。

酸っぱい。これは、ハズレです。


「俺がもらうよ。リリアはこっちな」


果物を交換してくれました。今度は甘くて美味しい。


「どうしてニコラスはいつも当たりが多いんでしょうか。」

「さぁな。むしろ、リリアの引きの悪さのほうが凄い」

「嬉しくないです。私も美味しいものを引き当てる才能がほしい」


膝の上のセノンを撫でます。

セノンにはスープを食べさせたら眠ってしまいました。


巫女姫がこれ以上、人気が出る前になんとかしないといけません。

今できるのは止まない雨を防ぐだけか。

宿で休んだ私達はまた馬車に揺られてます。


「お嬢様、本当に行きたいんですか。徒歩ですよ」

「行きたいです。一人で行ってくるので馬車で待っててもらって構いません」

「ディーン、寄ってやれ。一人で抜け出されたらたまらない」

「わかりました」


神具を守る村の近くには浄化の泉があると言われています。

この泉に入ると、浄化されるといわれます。呪いや毒にも効果があるそうです。

洗脳に効果があるかはわかりません。


馬車が止まったのでおります。今日は巫女服は着てません。


魔力を手繰って歩き出します。ディーンはセノンとお留守番です。

少し進むと泉がありました。

止められる前にローブを脱いで、泉に入ります。

気持ち良い。

潜ってみようかな。魚がいるんですね。体が軽い。この泉、不思議です。息ができるなんて凄い。

さすが神話の世界。

神具を守る村を穢れから守るためにあるそうです。昔はこの泉の裏が村の入り口だったそうです。

この泉を渡らないと村には入れなかったと言われています。

今は村自体が小さくなってしまい、村の入り口はかわったそうです。


この泉、気持ちが良い。どうしよう。このままここにいたくなってしまいました。

もう少しだけならいいかな。


「リリア、起きろ、リリア」

「ニコラス?」

「泉に飛び込むな。そして寝るな」

「なんか気持ちが良くて、もう少しだけ」

「駄目だ。魔力が溢れてるから魔石を幾つか作って放出しろ。魔力酔いおこすよ」

「魔力あげます」

「いらない。もう充分」

「なんでそんなに顔赤いんですか?治癒魔法かけますよ」

「気にするな。純度の高い魔石をさっさと作れ」


体を起こして、魔石を作ります。純度高め、純度重視。


「リリア、もういい。」


気付くと大量の魔石ができていました。

体が軽くなりました。


「ニコラスも泉に入りました?」

「どっかのバカが上がってこないからな。今度、水に飛び込んだら、レトラ侯爵夫人に言うからな」

「泉の中で息もできたし、気持ち良くて」

「俺がいなきゃ死んでいたからな。リリアの体が泉の魔力を吸って、魔力が膨れ上がって、体が弾けた」

「え?ニコラスは大丈夫ですか?」

「俺は聖属性持ってないから、普通の泉と変わらない」

「え?浄化の泉なのに?」

「どこまで本当かわからないけど、リリアには毒の泉だよ」

「ニコラス、何か変わりませんか?」

「リリアのバカに頭が痛いくらい。2回溺れたんだから泳ぐのもうやめろよ」


洗脳は解けませんでした。


「当分は控えます」

「絶対に一人で飛び込むなよ。泳げても水の中で寝る奴は溺れたというんだよ」

「ごめんなさい。」

「わかればいい。馬車に戻るよ」

「わかりました」


差し出される手に手を重ねて立ち上がります。

信用ないのか手を離してもらえないので手をひかれたまま馬車に戻りました。




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