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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
15歳編

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第六十八話 王宮

私は15歳になりました。気を引き締めないといけません。


私はお母様にお願いしてお勉強の合間に王家との社交に頻繁に同席させていただくことになりました。

お母様はやっと侯爵令嬢としての自覚がでてきたのねと喜んでいました。

外交官として働く上で王家とのやりとりも必要よと私のお勉強の時間を調整してくださいました。


私は王妃様主催の夫人の集うお茶会にお母様と一緒に参加した帰りです。お母様は王妃様とお話があるのでお庭を散策して待っています。

まだ愛しい少女は行儀見習いとして現れてないでしょう。お茶会では少女の話題はでませんでした。


あれは、側妃様でしょうか・・。

なにか黒い靄が見える気がします。上皇様が黒い靄が見えたら迷わず浄化魔法を使いなさいと教わりましたわ。


側妃様に礼をします。

「レトラ嬢、顔をあげなさい。」

「ごきげんよう。側妃様」

「貴方が王宮にいるなんてね」

「恐れながら側妃様、お顔の色が優れませんので治癒魔法をかけさせていただけませんか」

「あなた、どうして」

「お許しいただけませんか。私、心配でお傍を離れられません」


側妃様に差しだされる手をとって聖属性の浄化魔法をかけます。つぎに体力と精神力の回復の魔法をかけます。


「あなた、王宮の医務官よりすごいわね」


黒い靄は薄くなったけど、完全には取り切れていません。浄化の魔法の応用で魔石を作ります。純度は最大です。

うん。できました。


「ありがとうございます。側妃様、こちら献上させていただけませんか。体が楽になると思います」

「これは・・」

「聖属性の魔石です。心配でしたら王宮魔導士に危険がないか確認させてください。」

「ありがとう。」


側妃様の侍女に魔石を渡しました。


「もしお許しいただけるならまた魔法をかけに伺います。いつでもお召しください」

「レトラ嬢は派閥が違うのに?」

「派閥など関係ありません。王家の皆様が健やかにお過ごしいただくために働けることは臣下の喜びです。恐れながら、ご無理だけはしませんようにお願い申し上げます。」

「この緊迫した状況で・・・。ありがとう。私がお茶に誘えば参内する?」

「よろこんでご一緒させていただきます。」

「そう。レトラ令嬢、また」

「はい。失礼させていただきます」


礼をして側妃様が立ち去るのを見送ります。まだ行儀見習いの少女は現れてないんですね。

そういえばニコラスは王宮騎士団の訓練場に行くと言っていました。そういえばお母様はニコラスと一緒なら先に帰ってもいいと言っていたので見に行きましょう。

ニコラスは私の行先の騎士達の訓練にいつも混ざるんですけど、大丈夫なんでしょうか。たまにはイラ家で訓練しなくていいのかな…。武門貴族のことはよくわかりません。


訓練場は自由に見学できます。訓練場内に入るには手続きがいりますが、外なら自由です。


「騎士様、頑張ってください!!」


黒髪の少女がいました。行儀見習いの服ではありません。今日もピンクのワンピースです。

王宮に来る服ではありませんが残念ながら今日はエリを連れてません。

すれ違う騎士の方には礼をして少女のもとに向かいます。


「レトラ嬢、ニコラスを迎えにきたの?」

「ごきげんよう。いえ、見学に参りました」

「おいで、特等席に案内するよ」

「お気持ちだけで大丈夫です」

「他の騎士に絡まれるかもしれないだろう。ニコラスも喜ぶから」


ニコラスの友人の騎士に手をとられて、案内されます。視線が集まるのは仕方ありません。

私は訓練場内まで進む気はなかったんですが・・・。中には騎士の許可がないと入れません。


「リリア嬢、久しぶりだな」

「お久しぶりです」

「お転婆娘が成長したな」

「お恥ずかしいです。お忘れくださいませ」


小さい頃治癒魔法の練習台にした騎士達には頭が上がりません。魔法の練習には騎士団の訓練場が一番だったんですもの・・。黒髪の少女に睨まれてるのはなんでしょう・・。


「あの方は?」

「彼女か。よく差し入れ持って来てくれるよ。」

「可愛い少女に騎士達の心は鷲掴みですか?」

「俺は好みじゃないけど。なんか騒がしいな」

「ご一緒します。」


騒がしい時は大体怪我人がいます。

騎士達が集まってるところに急ぎ足で向かいます。

ニコラスがいました。


「リリア、良いところに。見れるか?」

「見てみないとわかりません」


ニコラスに腕をひかれて騎士の集団の中心を目指します。


「どけ、」


ニコラスの一言で道ができるって、イラ家の権力って王宮騎士団にも通用しますの?


二人の騎士が血まみれです。

出血の多い騎士から治癒魔法をかけます。ざっくり肩を斬りましたね。これくらいなら中級魔法で充分ですね。


「リリア、傷の治癒だけでいい。体力と精神はいらない」


傷は塞がりました。


「失った血は戻らないので、安静にしてください」


もう一人は足をざっくり斬ってますね。同じく治癒魔法をかけ、傷が塞がりました。


「ニコラス、回復薬をわけてください」

「もういいよ。帰ろう」

「はい?」

「傷が塞がれば問題ない。俺、もう帰っていいですか?」

「帰れ、次は勝つ」

「そう簡単に勝ちは譲りません。リリア、行こう。ここはもう大丈夫だから」


ニコラスに強引に手をとられて訓練場を後にします。


「悪い。もう終わったんだな」

「いえ、お母様はまだお話されてます。先に帰っていいそうです。ニコラス、あの少女と話がしたいんですが」

「少女?」

「訓練場で応援してましたよ。ピンクのワンピースの」

「気づかなかった。話は今度だ。リリア、調子わるいだろ?」

「いえ、疲れただけです」

「魔力いるか?」


確かに魔力を使いすぎました。浄化の魔石を純度最大で作るのは魔力消費が激しいんです。


「欲しいです」

「ほら」


手を広げるニコラスに抱きつきます。ニコラスの魔力が送られてきます。体が暖かくなってきました。


「ありがとうございます。もう大丈夫です」

「抱いて帰ろうか?眠いだろう?」

「大丈夫です」


ニコラスの腕から抜け出して、馬車を目指します。

少女が訓練場にいるならまた行けば会えるでしょうか。まず礼儀を覚えてもらえないといけません。

残念ながらその後、時々訓練場に顔を出しても少女と出会えることはありませんでした。

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