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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
14歳編

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第五十九話 隣国3

私は隣国に来ています。

今日は視察です。


「ニコラス、視察先にお世話になった神殿があるんだけど寄付金いりますか?」

「いらない。レトラ侯爵が対応したよ。」

「わかりました」


王太子殿下達を大神殿の前で待ちます。

到着されたので、中に入りましょう。

大神殿長が入り口で跪いてむかえられるのはどういうことでしょう。普通の神殿では、そんなことはありえません。私は引きましたが王太子殿下が対応されるので見守りましょう。

王太子殿下はどんな時でも穏やかに対応されていてすばらしいです。見習わないといけません。


大神殿長に案内され、最後に祈りの間で祈って終わりです。

どうして、祈りの間に神官達が集まっていたのかは、わかりません。気にするのはやめましょう。きっと文化の違いでしょう。

この後は博物館と歴史館を視察して終わりです。

王太子殿下は視察のあと、王族の皆様とお食事をされます。

王族のお付き合いは王太子殿下にお任せしましょう。


私はオリビアとエクリ公爵邸に向かいます。

エルとエリに用があるんです。

エクリ公爵に挨拶をして、サロンに案内されました。

すでにクレア様が待っていました。


「リリア、待ってたわ」


両手を伸ばして抱きついてくる腕を引き剥がし、睨みつけます。


「クレア様、オリビア様に失礼は許しません」

「クレア様、このたびはお招きありがとうございます」

「オリビア様、ようこそおいでいたただきました」


クレア様、えらいです。ちゃんと挨拶できてました。

動じないオリビアは流石です。


お茶会がはじまりました。

クレア様がじっと見てくるので、仕方がないので、渡すことにしました。オリビアなら許してくれるでしょう。


「クレア様、お土産です。どうぞ」


クレア様にお土産の小説を渡します。


「リリアが選んだの?」

「私は苦手なのでオリビア様が選んでくださいました」

「リリアは恋愛小説より伝記や文化の本が好きだものね。観劇もすぐ寝ちゃうもの」

「ごめんなさい」

「リリア、あとは?」


どうして、物足りなそうに見つめられてるんでしょうか。


「これだけですが、」

「殿下には映像水晶・・」

「クレア様も欲しかったんですか?」

「うん。最後の三人でお昼寝してるの私も欲しい」

「はい?3人?セノンとシロしかとってないですが・・・。ディーン?」

贈ったものがおかしいです。さすがに自分の映像を贈ったりしませんよ。

そういえば贈り物はディーンに預けました。そして、録画したのはディーンです。ディーンをじっと見つめます。


「あれ、俺、もしかして渡すの間違えた?ノエル様用渡した?」


お兄様用ってなんですか?戸惑うディーンを睨みつけます。


「ディーン、言いましたよね。私の映像を勝手にとるのはやめてくださいって」

「俺の主はお嬢様ではありません」


確かにそれは事実ですが…。悔しいです。


「だからセノンがディーンには懐かないんですよ」

「構いません」


ディーン、悔しいのに強がりをいってます。ディーンのことは後です。


「クレア様、第二王子殿下への贈り物は間違えました。一度返してもらいます」

「だめ。あれがいい。可愛かったから」

「確かにセノン達のお昼寝は可愛いです。私のところは編集してください。お兄様用なら変なものではないでしょう。」

「ディーン、言い値で買い取るわ。私の分も用意しなさい」

「オリビア!?」

「坊ちゃん、無言で睨まないでください。すみません。気をつけます」


ニコラスがディーンを睨んでます。人の映像を勝手にとったからです。自業自得です。イラ侯爵家にきちんと躾をしてもらってください。ディーンはニコラスに任せましょう。


「クレア様、お願いがあります」

「お願い?」

「はい。滞在中にエリとエルに会いたいんですが」

「いるから呼ぼうか?」

「ありがとうございます」


「クレア様、私一度二人っきりでお話したかったんです」

「オリビア様?」

「オリビア様、クレア様は礼儀がいまいちですが」

「リリア、小説のお話を二人っきりでしたいの。私が盛り上がってる隣でリリアが眠ったら楽しめないわ」

「オリビア、クレア様に3倍返しは駄目です。暖かく見守る気持ちでお願いできますか」

「もちろんよ。今回は友好を深めるためにきたんだから」


オリビアがそう言うなら大丈夫でしょう。それに二人には親睦を深めてもらわなければいけません。


「わかりました。席を外します。クレア様、エリ達のもとに行ってもいいですか?」

「お嬢様、庭のサロンにご案内しましょう。」

「リリア、話が終わったら行くから待っててくれる?」

「もちろんです。失礼します」


オリビアにはスペ公爵家の護衛がついているから平気かな。


「ディーンは残れ。俺が行く」


ディーンが残るなら安心です。

侍女に案内されて移動します。

庭のサロンで待ってると来ましたわ。エル、こんなに大きくなって。


「二人がいるので使用人はいりません。仕事に戻ってください」

「わかりました」


侍女が離れていきました。


「リリ様、お久しぶりです」

「リリ様!!」


笑っている二人の様子に安心します。あんなに痩せてたのに、ちゃんと、お肉がついて良かったです。

ちゃんとした生活をさせてもらってるんですね。



「仕事中にごめんなさい」

「お会いできて嬉しいです。」

「私も会えて嬉しいです」


エルの頭を撫でます。 

さて、これからが本番です。

これからやることは人に見られてはいけません。


「ニコラス、ここは平気ですか?」

「人の気配がある。結界張ってやるよ」

「ありがとうございます」


ニコラスがサロンに結界をはりました。


「エル、手袋を外してください」


エルが手袋を外すと手に奴隷の刻印があります。


「内緒ですよ」


エルの手を包んで聖属性の治癒魔法をかけます。消えましたわ。

エリにも同じ魔法をかけます。


「リリ様、これは」


エリの目から涙があふれました。


「当分は手袋で隠してください。この魔法は内緒です。お祈りをたくさんして神のご加護があったからです。これで本当の意味で自由です。」

「なんて、なんて、お礼を申し上げれば」

「あの村でたくさん二人に助けられました。お礼ができていなかったので」

「リリ様…。」

「リリ様、僕は役にたった!?」

「ええ。エルは大活躍でしたわ。小さいのに大人に負けない働きでした」

「これからも役にたつ?」

「エルの頑張り次第です。」

「リリ様、今度は連れてってくれる?」

「うん?」

「僕、執事の仕事できるよ。文字も計算も。だからリリ様と一緒に行きたい」

「私についてきてどうするの?」

「役にたつ」

「気持ちは嬉しいけど、他にも色々やりたいことを見つけたほうが」

「僕、リリ様の笑った顔が好き。だから笑ってくれるために頑張るよ。母さんもリリ様が大好きだよ」

「うちはエクリ公爵家よりお給金少ないですよ。ケーキもないのよ」

「母さんとリリ様がいればなんにもいらない」


格好良い。

どうしましょう。私、ちょっとときめきました。こんなに純粋に好意をむけられるなんて。

エルに手を出したら犯罪です。わかってます。


「ニコラス、どうしよう」

「断ればいいだろ」

「私、こんなに純粋に好意をむけられたの初めてです。」

「リリア、どういう意味?え!?なんでうっとりしてんの」

「もちろん手をだしたりしません。犯罪ですもの」

「お前、俺にはそんな反応したことないよな」

「洗脳された言葉なんてときめきません」

「いい加減そこから離れろよ」


不思議そうにみるエルに気づいて、社交用の顔を作ります。


「リリ様?」

「ごめんなさい。なんでもないわ。私だけでは決められないの。お兄様に相談してみるわ。エリ本気なの?」

「はい。お連れ下さい。よくしていただいておりますが私達がお仕えしたいのはリリ様です」

「わかりました。」


二人から要望が出るとは思いませんでした。奴隷の二人は意志がなかったんです。嬉しい変化です。


「リリア、結界解くよ。オリビア嬢達が来た」

「お願いします」



クレア様達のお話は終わったみたいです。後ろのディーンの顔が青いです。クレア様がなにかやらかしたんでしょうか。

でもオリビアもクレア様もすがすがしい顔をしているから大丈夫です。たぶん。

クレア様には聖属性の魔石を作ってさしあげたら満足していただけました。魔力がこもっているので、使いみちは色々ありますもの。喜んでいただけて良かったですわ。

お茶会も終わりましたし帰りましょう。

エリ達のことはお兄様に相談しましょう。侍女と執事が増えても問題ありませんわ。


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