第五十六話 修行1
私はお茶会地獄も一段落したのでニコラスとセノンと上皇様のもとにお世話になっています。
お母様にニコラスとの仲をアピールしろと命じられましたが難しかったです。
上皇様から自己回復魔法を教わりました。
必要ないと思ったんですが、ニコラスが譲りませんでした。でも結界よりも難しくなさそうです。
幾つか聖属性の魔法を教えていただきました。
あとは結界魔法の特訓です。
ニコラスはセノンと別室にいます。
最近、氷の魔法を覚えましたの。これでプリンも蔵に行かずに作れます。
上皇様の家でお世話になる間は家事は引き受けます。
自由に料理できるのは楽しいです。必要なものは倉庫から自由に使っていいと言われています。
上皇様の家にはなぜか常に物であふれる倉庫があるんです。しかも欲しいなと思うと出てくるんです。
魔法の仕掛けがあるんでしょう。上皇様は時々出かけますがほとんど家にいます。
お忙しい上皇様がこんなにのんびりしているなんて意外です。
教会の最上位が上皇様です。上皇位を継げるのは世界で二人のみ。とてもすごい人なんですよ。
「リリア、セノンと契約しないのか?」
「上皇様、契約ってなんですか?」
「主従契約じゃ」
「必要ありません」
「セノンと話せるぞ」
セノンと話せるのは楽しそうです。
膝の上のセノンを見ます。頭を撫でますと気持ちよさそうに目を閉じるセノンが可愛い。
横にいるニコラスもセノンを優しく見てます。
「それは魅力的ですが、私はセノンには自由でいてほしいんです」
「セノンは契約したがってるぞ」
「セノンがですか?セノンどうして」
セノンがくうんと鳴いてますが、うーん、よくわかりません
「神獣の契約は一生で一度じゃ。セノンと契約すれば他の使い魔は持てん」
「セノンはどうして契約したいんですか?」
「リリアと離れたくないようじゃ。あと他にとられることを恐れておる。」
「セノンが望むならずっと一緒にいます。使い魔も持つ気はありません。セノンと話せるのは魅力的ですがセノンを縛ってまでやりたくはありません」
「契約するとセノンの力を使えるようになる。ただ望まないなら使わなければいい。契約してもセノンの意思を縛ることはできん。それにセノンはリリア以外とも契約できる。だからこの契約で不利益があるのはリリアだけなんじゃ。」
「セノン、契約したいの?上皇様、契約ってどうするんですか?」
「セノンに噛ませて、その傷口を舐めればいい」
セノンに前に腕を出します。
「セノン、契約したいなら噛んでいいよ」
「うっ。」
セノンが噛んだところを舐めてます。優しいな。
「セノン、大丈夫よ。痛くないわ」
傷口を舐めるってこういうことですか?
セノンが光りました。私の噛まれた腕も光ってます。これ大丈夫なんですか!?
だんだん光がおさまってきましたわ。
「セノン、具合悪くないですか?」
「りりあ」
「しゃべりました!!セノン、凄いわ。違いますわ。どこかおかしいところはない?」
「うん」
「よかったです。どうしましょう。ニコラス、セノンが可愛すぎて私はどうすれば」
「リリア、落ち着いて、」
「リリア、これでお互いどこにいても居場所がわかる。」
「なんと!?。話せて、居場所がわかるなんてすばらしいです。セノン、プリンのほかに食べたいものはありますか?」
「お前、最初にきくことそれなの」
「りりあのぷりんがいちばん」
「私、セノンが可愛すぎてどうしていいかわかりません。また作るからね。眠いの?」
セノンの頭を撫でると寝はじめました。
「上皇様、セノンはみんなとお話できるんですか?」
「セノンが望めばじゃ。」
「リリア、セノンを狙うやつが増えるから話すのは人がいないとこにしろよ」
「わかりました。セノンのこの可愛さは狙われて当然です。頑張って私が強くならないといけません」
「そうだな。修行がんばろうな。ただ今日は休んでろよ。上皇様、よろしいですか」
「ああ。相手をしてやろう。幾つか新しいのを覚えるか?」
「よろしくお願いします」
ニコラス達が出て行ったので私はセノンのプリンを作りに行きましょう。
私のプリンが一番なんて可愛すぎますわ。
この可愛いさは国宝級ですわ。セノンが可愛くて幸せです。
顔がにやけてしまいます。まぁニコラス達もいないからいいです。
隣国か…。
またセノンが痛いことされないといいんだけど。
「セノン、今度隣国に行くんだけどお留守番してる?」
寝てるから答えませんよね。
「どうかあなたに幸せが訪れますように。」
プリンもできました。
膝の上にセノンを抱き上げます。
「セノン、いざとなったら一人で逃げてください。」
隣国もですが、私にはこれからの運命にあらがえるのかな。
気づかない振りをしてるけど、怖い。
護衛はニコラスじゃない個人の護衛を雇えばいいんです。
そしたらニコラスがいなくなっても生存の確率はあがります。
でも、私個人に忠誠をくれる騎士なんているでしょうか。




