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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
14歳編

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第四十八話 告白

小説の作者かもしれない少女とのお話も終わったので、馬を走らせてます。


「リリア、少し寄り道しないか?」

「急がないと暗くなります」

「俺がいるから平気。レトラ侯爵夫人には帰りは遅くなるって伝えてある」

「わかりました」


ニコラスについて馬を走らせます。

馬を繋いでいるニコラスにならいます。


「もう少し待ってて」


木の下に座って待っていると辺りが暗くなりました。足元が光ってます。

よく見ると白い小さい花が咲き誇ってます。この花びら光ってるんですね。すごい。


「この時期だけ、咲くんだ。」

「綺麗。神殿の絵画のようですね」

「好きだろ?」

「はい。好きです。」


ニコラスは綺麗な場所を見つけるの得意なんですよね。凄いな。

セノンも連れてくればよかったです。いつか連れてきましょう。


「なぁリリア、俺と婚約してくれないか」

「え?」

「婚約しよう」


真面目な顔なので冗談ではなさそうですが意味をわかってるんでしょうか。


「まだもう一人の少女と出会ってませんよ」

「絶対リリアを捨てない。騎士の誓いをたててもいい。俺はリリアの隣に自分以外が立つなんて耐えられない。信じて。頼むから」


手を取られて懇願される状況に戸惑います。


「ニコラス?」

「リリア、俺はリリアの願いのために離れたけど一日もリリアのこと忘れなかった。会いたくてたまらなかった。リリアは違う?俺の名前呼んでたよな」

「なんのことでしょうか?」

「全部見た。」

「見た?」

「ディーンの服に映像魔石をつけていた。あと隣国でリリアの泊まっていた屋敷は常に記録されていた。風呂やトイレ、寝室以外は」


映像魔石はうつしたものを記録する。映像水晶との違いは魔石に直接魔力をこめないと映像をみれません。映像魔石は映像水晶より記録できる量が多いので高価です。映像魔石の映像は魔石が壊れればなくなります。ただ映像水晶は、うつした映像を複製することができます。複製して編集ができるので人気があります。


恐ろしい事実を知りました。


「それって、」

「記録は証拠になるだろ?それにまだ子供のリリアが大人に利用されないようにって」

「お父様!?」

「お前の大好きなお兄様も」

「お兄様が・・。お兄様とお父様のお考えなら仕方ありません。恥ずかしすぎます。ディーンの映像魔石って、まさかニコラスも」

「俺はつけてないよ」

「見たのは・・」

「リリアの家族とうちの家族だけ。母上がノリノリで編集してたよ。」

「もう駄目です。恥ずかしくてどうしたらいいかわかりません。あんまり覚えてないんです。」


手を振り払って膝を抱えて顔を隠します。恥かしくてきっと顔が赤くなってます。見苦しい映像がたくさんあることはわかります。


「無理に思い出さなくていい。ただ離れてた時、俺のこと思い出さなかった?」


頭にポスンと手が置かれています。

いなくなってから考えなかったわけではありません。でも言いたくないです。


「俺はリリアが俺以外の男の隣にいるのも結婚を申し込まれるのも嫌なんだよ」

「そんな記憶はないんですが」

「隣国の第二王子と一緒に過ごしてただろ。側妃に誘われただろ?」

「あれは冗談ですよ。」

「本気だったよ。リリアに惹かれてたよ」


ニコラスのありえない話に顔をあげます。真剣な顔のニコラスに首をかしげます。もしかして精神異常おこしてますか?


「ありえません。どこをどう見たらそうなるんですか」

「鈍いよな。俺はリリアが傷ついてるのを見て、怒りが止まらなかった。でもリリアが俺の名前呼んだの嬉しかったんだよ。困って視線を向けるのは俺がいた場所だろ。距離を置きたいっていわれてショックでたまらなかった。でもあの映像みたら離れられない。リリアが会いたい、たすけてって俺のこと呼ぶの見て抱きしめたくてたまらなかった。好きなんだ。俺はリリアを守るためだけに強くなった」


映像見られてたことが恥ずかしくて、顔の赤みが消えません。私を、守るためだけって。

ニコラスに抱き寄せられました。腕が暖かくて安心する。でも、いずれなくなる。もし信じて、捨てられたら耐えられない。じんわり胸の中に広がる暖かさを鍵をかけて閉じ込めます。ニコラスが優しいのも今だけだもの。


「怖い」

「それなら眠るまで手を握ってるよ。年齢さえ許せば今すぐ結婚したい。リリアの近くの男にリリアは俺のって言いたい」


ニコラスの言ってることがおかしいです。


「ニコラスとディーンしかいません」

「王太子殿下と親しいのに?」

「親しい?」

「市で会ってるだろ?情報なんていくらでも手に入る」


一度城まで護衛してもらった時以外も見られていたのでしょうか。ただ目的は知らないようです。


「王太子殿下の愛しい少女探しを手伝ってただけです。親しいと言われるほどのものではありません」

「約束したんだろう?」


約束?そういえばしましたね。


「大人になったら遊びに行こうって誘われたくらいです。」

「は?いいや。リリア、俺のこと嫌い?」


離れたいけど、嫌いではありません。


「ずるいです」

「リリアの願いを二つ叶えた。どこの国でも亡命できる。俺が取ってきた国以外も亡命するなら少し時間をくれれば用意してやるよ。リリアが行くなら俺も行くけど」

「頼んでません。勝手にいなくなったのに。」

「しばらく会えないって言っただろ?」


ニコラスの胸から顔をあげて睨みつけます。


「だからって、4年もいなかったんですよ!?なにがしばらくですか!?」

「距離置きたいって言ってたし、俺も必死だったんだよ。リリアが突然冷たくなるし。心配した?」


嬉しそうな顔にイラっとしました。顔をそむけます。


「ニコラスなんて知りません。」

「図星だろ?顔が赤いの気づいてる?なぁ、リリア、素直になってくれないか」

「帰ります。離してください」


ニコラスの胸を力いっぱい押して、離れて立ち上がると手を掴まれました。


「婚約手続きしてもいい?」

「私はお父様の命に従います」

「レトラ侯爵が頷けば俺との婚約断らない?」

「う、」

「リリア、好きだ。」


じっと、見つめられると勘違いしそうになるからやめてほしい。

自分が容姿に優れていることを自覚してほしい。


「洗脳」

「俺は父上から婚約の話を聞く前から好きだったから洗脳じゃないよ。むしろ俺がリリアを洗脳しようとしてたし」

「はい!?」

「ずっと俺の嫁になるって教えてただろ?リリアが俺と結婚しても困らないように色々教え込んでたしな。リリア、俺と結婚すれば好きにできるけど他の男だと違うよ。厨房への出入りも許されず、セノンも飼えないだろ?商人は家に呼ぶから市にも行けなくなる。スラムにも遊びにいけない。他の男と婚約すればこんなに自由にできないよ。お前のお父様は婚約させないって言っても殿下や公爵家からの縁談は断れない。俺で手を打たないか」


恐ろしい事実を突きつけられている気がします。


「一理あります」

「だろ?だから俺と婚約しよう。俺が傍にいれば映像魔石で常に監視はさせないよ。」


映像魔石はまずいです。お忍びがばれてしまいます。自由にできないなんてつらすぎます。あの美味しい串焼きが食べられないなんて。


「わかりました。」

「本当?俺と婚約してくれる?」

「お父様に従います」

「その言葉忘れるなよ」

「その企んだ顔はなんですか!?」

「俺がいない間、無事でよかったよ。リリア、幸せにするから」

「成人するまで信じられません。」

「素直じゃないよな。成人したらちゃんと言えよ」

「先の事はわかりません」

「帰るか」


辺りを見ると真っ暗です。


「ニコラス、こんな真っ暗で帰れるんでしょうか」

「リリアは夜の馬は初めてか。相乗りするか?」

「私はうちの子に乗ります。」

「ゆっくり帰るか。星空を見ながら馬に揺られるのもいいだろ?」

「神秘的ですね。連れて来てくれてありがとうございます」

「リリアのためだからな。帰ろう。」


ニコラスに手をひかれて歩きます。

昔はそんなに身長がかわらなかったのに。でも大きくなってもニコラスの隣は居心地がいいです。

すっかり忘れてましたがニコラスの洗脳どうやったら解けるんでしょうか・・。

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