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夢みる令嬢の悪あがき  作者: 夕鈴
14歳編

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第四十六話 上皇

なぜかニコラスがうちに住み始めました、お母様はお父様達がいないから男手はありがたいわと言ってます。男の使用人はいますよ。でもかわいいセノンを狙って強盗が入ったら困ります。そしたら強いニコラスが家にいてくれるのはありがたいです。

今日は上皇様が遊びにきています。

上皇様もプリンがお気にいりなので、お土産にいただいたお茶とプリンでお茶会です。


「上皇様、こないだの光の祝福大好評でしたわ。教えていただきありがとうございました」

「リリアが喜ぶならいくらでも教えてやろう。教会の神官は使えぬ者が多いからな。」

「ありがとうございます。上皇様、セノンがプリンしか食べないんですが大丈夫でしょうか」


上皇様は病人の治療もお手の物です。上皇様にセノンを渡すと頬をつっついてます。


「大丈夫じゃよ。セノンは食べたいものしか食べん。今の暮らしに満足しているみたいじゃよ」

「プリンだけで病気になりませんか?」

「ならん。こやつは特別だから食わんでも死なん。」

「セノンは凄いですね。でもプリンだけじゃ寂しいから何か食べられるもの探そうね」


上皇様から返されたセノンを受け取る。


「リリア、セノンも魔法が覚えられるが、教えるか?」

「いえ、いりません。セノンが覚えたいなら止めませんが。セノンはいるだけで幸せをくれるので、私が守りますわ。」

「そうか」

「上皇様、どんな魔法も通さない結界ってありますか?」

「魔力が強い者には結界は効かん」

「そうですか」

「他国の魔導士相手にも効果のある結界魔法を覚えたいんです」

「魔詛か。これをやろう」


上皇様が腕輪を外してくださいましたが。


「これをつけて結界をはれば魔詛は弾ける。」

「いいんですか?」

「ああ。私はたくさんあるから好きに使いなさい」

「ありがとうございます。セノン、これ、つけてもいい?だめ?お願い。プリンあげるから。いいの?ありがとう」


セノンの足につけると腕輪がセノンの足のサイズに変わりました。


「リリアもつけなさい。ついでだからニコラスもつけておけ」

「ありがとうございます。」

「リリア、プリンとお茶のおかわり」

「上皇様、失礼しました。お持ちしますね。セノンの分も持ってくるから、待ってて。ニコラス、セノンを抱いてて」

「わかった。」


セノンをニコラスに預けてプリンとお茶のお代わりを用意します。

上皇様がいる時は人払いをしてあります。それに上皇様のお茶の好みは難しいので私が淹れます。


「ニコラス、リリアは望んでおらん。だがお前は違うだろ?」

「俺には神獣のことはわかりません。ただリリアを守るために力を貸していただけるなら幸いです」

「リリアはセノンを守ると言っているが」

「どこで漏れたんかわかりません。ただリリアを殺せば神獣の力を手に入ると手を出してきた者がいます。リリアは絶対に守りますが、せめてセノンも自衛くらいはしていただきたい」

「後悔してるか?」

「離れたことですか?リリアを守れなかったのは後悔してます。でもおかげで強くなれました。昔の俺だと守りきれたかわかりません」

「たまにリリアと来い。修行をつけてやる」

「ありがとうございます。なぁ、セノン、リリアは俺が説得するから魔法覚えてくれないか?自衛だけでいいから、リリアは当分戻ってこないよ。上皇様のお茶の用意は時間がかかるから」

「セノンも一緒に連れてこい。魔封じのローブをかけて、その腕輪をつけていればセノンは見えなくなる。セノン、黙ってないで話さんか。」

「リリアと離れたくない。リリアはいぬとしてみている」

「リリアはお前が話しても魔法を使っても変わらないよ。私のセノンは凄いって感動するだけだ。嫌ったり怖がったりしないよ。どんなセノンも大好きって言うよ。お前が浚われた時はずっと泣いてた」

「離れたくない」

「非常時だけでいいよ。普段は俺が二人共守るよ。ただどうしてもだめな時だけ力をかしてほしい」

「にこらすが?」

「ああ。リリアもセノンも守るよ。犬だろうと神獣だろと関係ない。うちの犬にも戦う訓練をさせているしな。でも俺がセノンと先に話したって知ればリリアがずるいって騒ぐから内緒な」

「リリアはきもちわるいって」

「言わない。ありえない。」

「リリアに内緒ならやる」

「俺もお前が話せることは言わないよ。助かる。ありがとな」

「当分隠れ宿にいるから尋ねてこい。セノンは私がみてやろう。」

「リリア、いっしょ」

「そうだな。三人で行こうか」

「ニコラスも大人になったな」

「お世話になりました。上皇様、魅了の魔法を防ぐ方法はありますか」

「魅了魔法は聖と闇属性の二種類がある。聖属性の魅了は闇の魔石で闇属性の魅了は聖属性の魔石で防げる。」

「両方身に付けても効果があるんでしょうか?」

「ああ。リリアの聖属性の魔石なら問題ない。ただ闇属性はな、ノエルがいればいいんだが。セノン、闇属性の魔石を二つ作れんか。そんなんでいい。ほれこれに結界書いて使えばよい」

「ありがとうございます」



「お待たせしました。ニコラス、セノンありがとうございました。セノンおいで」


ニコラスからセノンを受け取ります。

「セノン、どうぞ。本当にプリンが好きなのね」


「リリア、聖属性の魔石作れるか?」


ニコラスに言われて魔石を作ります。

「大きさはそれくらいでいい」

「リリアの魔石は見事じゃな。これなら十分じゃ」

「リリア、もう一つ同じものがほしい」


よくわかりませんが同じ魔石を作って渡します。願う属性によって作る魔石は変わります。


「両方、俺がもらってもいい?」

「ええ。」


「リリア、当分はこの国にいるから遊びにおいで」

「はい。伺います。お気をつけておかえりください」


帰っていく上皇様を見送ります。


「相変わらず、お忙しい方ね」

「そうだな。」

「ニコラス、何作ってるんですか?手伝います?」

「大丈夫だ。リリア、なにかほしい装飾品ある?」

「セノン、なにがほしい?」

「リリアが欲しいもの」

「特にありません。夜会の時しかつけませんし、あれ?」


この腕輪、外れません。


「ニコラス、上皇様にいただいた腕輪外れません」

「邪魔にならないからつけておけよ。」

「聞かれたらなんてお答えすれば」

「俺からもらったっていえばいいよ。お守りかわりに」

「誤解を招きます」

「誤解じゃないから。」

「ニコラスには令嬢の大変さはわかりませんわ」


侍女を呼んで、片付けていただけましょう。


「ニコラス、いつ見つけた少女に会わせてくれますの?」

「来週の休みでいいか?」

「わかりました。お願いします」


少女に会えば、憂いが減りますわ。誰を選ぶんでしょうかね。

どれだけ可愛らしい子なんでしょうか。

不安なような楽しみなような複雑な気分です。




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